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第七十章 巡礼の道
アヨーディヤーの門番
しおりを挟む「私たちは巡礼のものですが、コータヴィー様に拝謁いたしたく、巡礼証の発行をお願いしに参りました」
「これは些少ではありますが、通行税としてお納め願います」
ライラさんが、そういって小青銅貨を一枚、門番に渡しています。
「三名か?」
「左様です、ご主人様と護衛の方と私です」
「私たちはこのアヨーディヤーは始めて、宿屋などお教え願えませんか?」
「それからクワドロ様に、信仰深き者としてご挨拶いたしたいのですが、お取次ぎ願えませんか?」
「これは心広き門番様への、感謝のお礼です」
ライラさん、さらに小青銅貨を一枚、門番に渡しています。
「では私の懇意にしている宿屋を紹介しよう」
「その宿屋でこれを渡すと、巡礼証のことを教えてくれる」
ライラさん、門番の出した札を受け取ると、さらに小青銅貨を一枚、門番に渡しています。
「結局、手数料は小青銅貨三枚なのですね」
「最後の小青銅貨は、アヨーディヤー以外では無いと聞き及んでいます」
「札を持って、指定の宿屋に行かなければならない、さぞかし高い宿賃なのでしょうね」
「一人小銀貨一枚なのですが、私は近くの安宿でかまいません、中陶貨一枚で十分です」
「三人一緒に泊まるのよ、最上級のお部屋に泊まりましょうよ、手足を伸ばして、久しぶりに寝ましょう」
宿屋はどっしりとした石造りの建物でした。
「門番の方の紹介をいただきました、部屋は空いていますか?」
ライラさんが、例の札を差し出しながら、受付で云っています。
チラッと札を見た受付は、
「特別サービスが、用意できるお部屋が空いておりますが、何分お高い料金をいただくことになります、よろしいでしょうか?」
「聖なる巡礼の途中、いささかあるじ様もお疲れのご様子、すこし疲れを取りたいとの、ご希望でもありますので、それで結構です、よろしくお願いします」
「二階の、左の突き当たりの部屋が特別室です」
「そうそう本日は隣の部屋に、クワドロ様にお仕えする方がお泊りになられます」
「ご挨拶に伺われることをお勧めします」
「後ほどルームサービスのものが、お知らせいたします」
二階の左の突き当たりの部屋……
「殺風景に部屋ね、換気が悪いようね……血なまぐさいわ」
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