上 下
65 / 108
第七十章 巡礼の道

アヨーディヤーの門番

しおりを挟む

「私たちは巡礼のものですが、コータヴィー様に拝謁いたしたく、巡礼証の発行をお願いしに参りました」
「これは些少ではありますが、通行税としてお納め願います」
 ライラさんが、そういって小青銅貨を一枚、門番に渡しています。

「三名か?」
「左様です、ご主人様と護衛の方と私です」

「私たちはこのアヨーディヤーは始めて、宿屋などお教え願えませんか?」
「それからクワドロ様に、信仰深き者としてご挨拶いたしたいのですが、お取次ぎ願えませんか?」
「これは心広き門番様への、感謝のお礼です」

 ライラさん、さらに小青銅貨を一枚、門番に渡しています。

「では私の懇意にしている宿屋を紹介しよう」
「その宿屋でこれを渡すと、巡礼証のことを教えてくれる」

 ライラさん、門番の出した札を受け取ると、さらに小青銅貨を一枚、門番に渡しています。

「結局、手数料は小青銅貨三枚なのですね」
「最後の小青銅貨は、アヨーディヤー以外では無いと聞き及んでいます」

「札を持って、指定の宿屋に行かなければならない、さぞかし高い宿賃なのでしょうね」
「一人小銀貨一枚なのですが、私は近くの安宿でかまいません、中陶貨一枚で十分です」
「三人一緒に泊まるのよ、最上級のお部屋に泊まりましょうよ、手足を伸ばして、久しぶりに寝ましょう」

 宿屋はどっしりとした石造りの建物でした。
 
「門番の方の紹介をいただきました、部屋は空いていますか?」
 ライラさんが、例の札を差し出しながら、受付で云っています。

 チラッと札を見た受付は、
「特別サービスが、用意できるお部屋が空いておりますが、何分お高い料金をいただくことになります、よろしいでしょうか?」

「聖なる巡礼の途中、いささかあるじ様もお疲れのご様子、すこし疲れを取りたいとの、ご希望でもありますので、それで結構です、よろしくお願いします」

「二階の、左の突き当たりの部屋が特別室です」
「そうそう本日は隣の部屋に、クワドロ様にお仕えする方がお泊りになられます」
「ご挨拶に伺われることをお勧めします」
「後ほどルームサービスのものが、お知らせいたします」
 
 二階の左の突き当たりの部屋……
「殺風景に部屋ね、換気が悪いようね……血なまぐさいわ」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

転生墓守は伝説騎士団の後継者

深田くれと
ファンタジー
 歴代最高の墓守のロアが圧倒的な力で無双する物語。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

処理中です...