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第六十九章 仮の宿

駅舎

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 簡単な朝食をとり、ライラに戦闘下着なんて着せて、テントを撤収、美子さんが、
「ではいきますか、ライラさん、アヨーディヤーまで案内してください」

 ペルペトゥアさんと同じような服を着て、杖を持ち、肩から小さいカバンをかけている美子さんです。
 勿論、髪はストロベリーブロンドの鬘です。

 ライラさんとペルペトゥアさんは、下着がすれるのでしょうね、お尻などがくねくねしています。

「二人とも色っぽいお尻ね」
「昼過ぎになれば少し慣れてきますよ、それまでの我慢ですね」

 三人はのんびりと歩いています、6キロを二時間ぐらいかけて道に出ました。

「ライラさんは、歩いてここまでやってきたのですか?」
「主様たちと一緒に荷馬車で……この道は凸凹で、揺れた拍子に転落したのです」

「夜までに、アヨーディヤーにたどりつけるのですか?」
「歩いてなら後三日かかります、今日は駅舎に泊まることになります」
「駅舎に泊まりながら、旅するしかありません」

 駅舎というのは、寒さがしのげる囲いと、屋根ががあるだけです。
 『天候予定表』が雨の場合でも、床が上がっているので、何とかなるそうです。
 
「駅舎を使うしかないのですが、一棟あたり一泊で、小青銅貨一枚します」
 
「本当は高いので、野宿すべきなのですが、豪雨の後ですので、穴を掘って夜をやり過ごすことが出来ません、駅舎に泊まるしかないのです」

「食事などは提供されないのですか?」
「一切ありません、自分で何とかすることになっています」
 
「テント生活のほうが、快適のような気がするわね、まぁ後学のために、駅舎というものに泊まってみますか」

 三人はそれからものんびりと歩き、途中で簡単な食事、といっても防災非常食で、石灰で湯を沸かし湯煎するタイプのものです。

 ハンバーグ丼とすき焼き丼とウィンナーカレーですけどね。 
 二人はこわごわ食べていましたが、口にあったようです。

「さてと、二人にはこれを預けておくわ、トイレが困るでしょう?」
 貞操帯の鍵を返した美子さん。

「体を捧げていただいたのですから、信頼している証ですよ」
「そういえばお尻のくねくねがありませんね、もう慣れたのですか?」 

「ティアマト様がお望みならば、お尻を振って歩きますが」
 ライラさん、かなり挑発的にお尻を振って見せました。

「もぅ、いきますよ!」

 こんな話をしながら、のんびり歩いたので、駅舎に着きますと、夜はすぐでした。

「宿泊代を支払ってきます」
 と、ライラさんが手続きに行きます。

「一番端だそうです」
 パラパラと先客がいるみたいで、薪を抱えて歩いている方などがいます。

 宿泊所は石造りで、石組みの基壇の上に立って、簡単な木造の屋根がかかっています。
 中には小さい囲炉裏があります。

 ドアと小さい窓がおのおの一つあり、ほぼ四メートル四方ですね。
 入り口の近くに小さな囲いがあり、水路が通っています。

「狭いですね、寝るだけですね」
「これでも定員四名なのですよ、もっとも定員なんて誰も守りませんが」

「とにかく火をおこしましょう、もうすぐ夜なのでしょう、ところでトイレはどうするの?」

 どうやらこの寒いのに、外でするしかないそうです。
 場所は建物入り口近くの、囲いがある場所……
 水洗トイレ?

「水を汲んできます」と、ライラさんが走っていきました。

 火をおこして、薄暗い室内が明るくなります。
 美子さん、じっと火を眺めていました。

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