惑星エラムより愛をこめて 第二部 大和撫子編 【ノーマル版】

第二十六章 エラムは楽し？

宇宙間連絡列車 其の一

　深雪さんが苦心に苦心を重ねて、探してくれたワームホール……
　エラムとのハイゲートではない連絡航路は、かなり複雑です。

　テラとエラムの宇宙には、直通のワームホールは見つからなかったのです。

　惑星エラムの宇宙から出ているワームホールの内の一本、これを抜けてある別の宇宙にでます。

　深雪さんの報告では、その近くといっても別の銀河ですが……
　その銀河の中に、このテラの中華文明に似た世界があったそうです。

　一応簡単な探査をすると、唐か宋程度の水準に見え、そこの世界の住民は、その星を中原と呼んでいるとの事。
　この惑星中原の近くに、このテラへ通じるワームホールがあるそうです。

　このワームホールを抜けると、私たちの天の川銀河の遥か彼方の銀河に、出ることができるようです。
　つまり二本のワームホールを乗り継ぐと、エラムからテラへたどり着けるということです。

　マレーネさんと薫さんが慎重に検討した結果、この航路は次のようになるようです。

　惑星エラムの第一衛星にインプットステーションを作ります。
　インプットステーションから最初の一番ワームホールの入り口、ここへステーションＡを置きます。

　一番ワームホールを通過、この近くにステーションＢを置きます。

　ステーションＢから、惑星中原の近くの、次の二番ワームホールの入り口、ここへステーションＣを置きます。

　二番ワームホールを通過、この近くにステーションＤを置きます。

　ステーションＤから、惑星ヴィーンゴールヴの衛星軌道のステーションＥへ、ここへこの航路の管理組織を置きます。

　惑星ヴィーンゴールヴのステーションＥから、火星の衛星フォボスの地下に、アウトプットステーションを作ります、ここが終点となります。

　ステーションＥは、惑星と軌道エレベーターで繋がることになります。

　インプットステーションからアウトプットステーションへは、ワームホールを経由して、ステーション間をロングワープする、列車を通すことになりました。
　これは２０人乗り、一応運転手と車掌の二人分を除いて１８名が乗客定員、二両連結の鉄道車両の様な宇宙船です。

　この二両連結の、ワームホール通行用列車がインプットステーションとアウトプットステーションを連絡するのです。

　つまり惑星エラムの第一衛星の、インプットステーションをでた宇宙間連絡列車は、ステーションＡからＦまでを各駅停車しながら、火星の衛星フォボスに置かれたアウトプットステーションにたどり着くのです。

　このインプット、アウトプットの両ステーションは地下に車両基地を作り、駅舎も地下で、小さな宿泊施設も造ることになります。