上 下
42 / 133
第三十四章 惑星ネットワーク

小笠原は遥か

しおりを挟む

 次の日、朝から東京は、近衛師団が厳戒態勢を引いています。
 会見場の、グランドプリンスホテル赤坂旧館近辺は、それは凄い警戒態勢です。
 戦車まで動員されていますし、第一師団も臨戦態勢でいるようです。

 そこへ、東京ハウスへお迎えに来てくれた、近衛師団のハンヴィーM1152で乗り付けました。
 記者さんたちは遠くの方にいます。
 もちろん車寄せは、望遠レンズでも映らぬように、囲いをつけています。

 ここは元李王家・東京邸、1階の結婚式場になって居る所が会見場です。
 雰囲気いいですね……
 ナスターシャロシア大公女と、エステラ王女も同席と決まりました。

 二人とも、会見場が結婚式場と聞いて、気合いが入る事……目がくらむほどの美女さんに、仕上げて来ています。
 私……軍服なんですが……この差は何でしょう。

 私は顔をヴェールで覆って、会見に望む事になります。
 テレビカメラも待機しています。
 ナスターシャさんとエステラさんが、顔を上気させています。

「ミコ様、凛々しくて素敵ですわ……」
 期待するように、じっと私を見つめる二人……

「さて、会見ですよ!」
 すこしむくれている二人でした。

「日本の皆さま、まずこのような、失礼な姿でのご挨拶を申し訳なく思っています、よんどころない理由で、素顔を隠さなければなりません」

「日本の皆さまに、御知らせがあります」
「ナーキッドと日本政府は、小笠原諸島の母島列島に、火星へのステーションを建設することで合意いたしました」

「母島への連絡は、東京湾の第一海保、第二海保、第六台場、長崎の端島、大阪湾の友ケ島、が日本政府より提供されています」
「ここから小笠原へ、シャトルを走らせる事になると思います」

「母島のステーションは後一月で完成します、少なくとも東京湾の第一海保からは、母島のステーションが完成すると同時に、運用開始出来るでしょう」
「火星の日本への割り当ての地域、および都市は、後日、同盟通信に取材を許可しますが、ほとんど完成しています、現在日本政府と細かい調整をしています」

「一言申し上げれば、ナーキッドはナーキッド協定参加国に対しては、全力でその責任を全うする所存です」
「日本という国を守るための手助けに、努力は惜しみません」

「世界は中露の核戦争以外でも、かなり深刻な状況を示しています」
「正直、このままでは済むとは思えませんが、少なくとも日本国籍をお持ちで、暴力組織構成員以外の方は、何とかする所存です、ご安心ください」

「それでは、ご質問をどうぞ、出来る限りはお答えいたします」
「私は嘘は嫌いですので、御耳に痛い事もあるでしょうが、その時は、年若い者の勇み足として、大きな御心でお取りください」

「まずはナーキッドの日本に対する考えをお示しくださり、日本人として心底安心しました」
「質問は、暴力組織構成員はどうしてわかるかという事です」

「日本政府からの資料提供もありますが、火星へのステーションゲートでは、大変失礼な事ですが、心理探査もいたしますので、過去の事は全て判ります」
「現にアメリカでも、マフィアの構成員はゲートではねさせていただいています、勿論、犯罪者もです」

「それについて、罪を償った者、犯罪組織から足を洗った者は、いかがする御考えですか?」

「人はその行動に対して、責任を持つべきでしょう、たとえ今、罪を償ったといっても、それは罪を犯した上での反省に過ぎません」

「先に罪がある以上、その上の反省などで、罪を償えるものではありません、まして二度三度の者が、陽の下で平穏に暮らしているなど、私には理解のそとです」

「相手方の、罪の赦免願いでもあれば別ですが、もし相手方が死亡などしている場合は、それまでです」
「人は多かれ少なかれ罪を犯しますが、限度があります」

「例えば若いころ、暴力組織の構成員として、人々に迷惑をかけていたとします」
「妻をめとり子供が生まれ、心を入れ替えてまっとうな生活をしているとします」

「しかし若かりし頃、その方は自分がいま幸せを感じている境遇にいた、多くの人々に対して何をしていたか、誰がその罪を断罪するのですか」

「心を入れ替えればそれでいいとは、私に言わせると戯言に過ぎません」
「過去は消せません、その罪はどこまでもついてきます」
「涙や後悔で消せるなら、それは不公平という物です」

「罪と罰は天秤にかけられるもの、罪の天秤が多く傾くなら、良き事をいく倍もしなければ天秤は戻りません」
「もし罪を購える良き事をしているなら、ゲートは開かれます」

「判断が難しい場合、ご存知のナーキッドの二人の参与、フランシスコ・ロドリゲス氏、イエス会総長と、ギヨーム・ド・ヴィシエ氏、テンプル騎士団総長に任せる事にしています」 

 会見は終わりました。
 誰もが最後の審判がやってきたと、思ったようです。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません

真理亜
ファンタジー
第二王子のマリウスが学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付けた相手は人違いだった。では一体自分の婚約者は誰なのか? 困惑するマリウスに「殿下の婚約者は私です」と名乗り出たのは、目も眩まんばかりの美少女ミランダだった。いっぺんに一目惚れしたマリウスは、慌てて婚約破棄を無かったことにしようとするが...

かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない~現代ダンジョンのある学園都市で、俺はミステリアス美少女ムーブを繰り返す~

不破ふわり
ファンタジー
生まれ変わるならば、美少女であるのが当然である。 男は死後、愛読していた現代ダンジョン系漫画の世界に憑依転生する。 が、その憑依先はかませ役♂だった。 「どうして女の子じゃないんだ……!」 転生するなら美少女が良い。 そんな当たり前な真理を胸に、男はかませ役♂(出番はもうない)として目的のために生きていく。 目指すは原作で一年後に起きるTSイベントの奪取。そして、念願の美少女化! これは現代ダンジョン世界に生きる探索者の物語。 そして、TS願望に脳を焼かれた男の物語である。 なお、TS願望が転じて行った女装行為が原因で、原作の全勢力から未知の新勢力と認識され警戒されていることは考慮しないものとする。

冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!

ユウ
ファンタジー
トリアノン公爵令嬢のエリーゼは秀でた才能もなく凡庸な令嬢だった。 反対に次女のマリアンヌは社交界の華で、弟のハイネは公爵家の跡継ぎとして期待されていた。 嫁ぎ先も決まらず公爵家のお荷物と言われていた最中ようやく第一王子との婚約がまとまり、その後に妹のマリアンヌの婚約が決まるも、相手はスチュアート伯爵家からだった。 華麗なる一族とまで呼ばれる一族であるが相手は伯爵家。 マリアンヌは格下に嫁ぐなんて論外だと我儘を言い、エリーゼが身代わりに嫁ぐことになった。 しかしその数か月後、妹から婚約者を寝取り略奪した最低な姉という噂が流れだしてしまい、社交界では爪はじきに合うも。 伯爵家はエリーゼを溺愛していた。 その一方でこれまで姉を踏み台にしていたマリアンヌは何をしても上手く行かず義妹とも折り合いが悪く苛立ちを抱えていた。 なのに、伯爵家で大事にされている姉を見て激怒する。 「お姉様は不幸がお似合いよ…何で幸せそうにしているのよ!」 本性を露わにして姉の幸福を妬むのだが――。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

女神様から同情された結果こうなった

回復師
ファンタジー
 どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。

百合チート持ちで異世界に転生したとか百合ハーの姫になるしかない!!

無色
ファンタジー
 女の子とイチャラブしてぇ〜。  通り魔に刺されて死んだはずの私が目を覚ますと――――そこは見たこともない世界だった。 「あぅあぅあー」  あっれぇ?!私赤ちゃんじゃん!何これどうなってんのー?! 「こんにちは神でーす♡顔が好みすぎて転生させちゃった♡」 「だぅあーーーー!!」  剣?魔法?そんなの神様からもらったチートで余裕余裕……じゃない!!  スライムより弱いじゃん助けてーーーー!!!  私が神様にもらったチートって……女の子に好かれる百合チート?!!  なんッじゃそりゃーーーー!!  …いや最高だな神様ありがとー!!  しゅごい人生楽しみでしょうがなさすぎりゅ!!  ウッシッシ♡よーし新しい人生、女の子にいーっぱい愛されるぞー♡!!  幼なじみも魔女もロリっ子も、みんなみんな私のものにしてやるぜーー!!♡  これはファンタジーな世界で繰り広げられる、百合好き拗らせスケベ系女子による、何でもありの人生再生計画。  可愛い女の子たちに囲まれてキャッキャウフフするだけの、或いはヌルヌルグチョグチョしたいだけの、ドタバタだけどハートフルな日常のストーリー。  私が幸せになるための物語だ。  小説家になろうにて同時連載中  なろう版では一部挿絵有り、より多く更新されております

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

処理中です...