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第二十九章 火の粉は遠く
満州動乱
しおりを挟むその事件は些細なことから始まりました。
アフリカ、コンゴ川中流あたりで、アフリカ駐留のロシア軍と中国義勇軍が、小競り合いを始めたのです。
もともとは何が原因か判らないほどの、多分くだらない言葉のやり取りだったのでしょう。
それが投石になり銃になり大砲になり、そして武力紛争になり……
アフリカ駐留のロシア軍は、かなりの装備を持った正規軍。
対する中国側は正規軍ではありますが、一応義勇軍と称しているので小銃、軽機関銃など……重砲などは装備していません。
結果は装備の差、そしてそのままロシア軍は、中国の占領地域に進撃しました。
中国義勇軍は壊滅、中国側に万単位の死傷者がでました。
もっともエボラ出血熱にやられたといわれています。
戦場では防御服などは邪魔でしょうから、でもロシア軍はどうしたのでしょうね。
実はナーキッドの開発したワクチンを、極秘に提供したのです。
勿論、タダではありません、選りすぐりの献上品をくれました……どう扱えばいいのでしょうね……
取りあえずオストプロイセン共和国の、ケーニヒスベルク城のナスターシャさんに預けておきました。
でもこれで、サハラを北上するエボラ出血熱に対する、ワクチンの効果が確かめられました。
アフリカの中国義勇軍壊滅のニュースは世界中に知れ渡り、その結果、中国国内の世論は激昂、ロシア制裁を連日叫んでいます。
世論に押され、軍部というより、この場合、地方軍閥の直隷派が暴発したというべきでしょう。
チャンスと思ったのでしょうね、長年の宿敵、奉天派が牛耳る、中華モンゴル共和国へ大攻勢をかけました。
中華モンゴル共和国を蹂躙し、満州を全面占領、東清鉄道を接収、旅順、大連のロシア極東州に連日の砲撃を加えています。
これを見て、中国世論はさらにナショナリズムが高揚、その昔の北京条約を破棄、ウスリー江以東の現在の沿海州の返還を叫んでいます。
中にはネルチンスク条約の国境線が、本来の中露国境、そこまで進軍すべしと、過激な意見も見えます。
またロシアと相互防衛条約を締結している朝鮮にたいして進撃、あっという間に北部を占領します。
これに対して朝鮮は、ロシアから提供されていた核で、ついに中国軍の総司令部がある長春爆撃を実行、地方軍閥の直隷派は統制を失います。
暴徒化した直隷派の軍は、半島北部占領地で大虐殺を始めます。
そして満州では、正規軍が中国本土より進駐して、永久占領の体制にはいり、中露国境に膨大な軍隊を集結させました。
誰がみても、沿海州のウラジオストックへ進撃する体制に見えます。
この状況で、中国はロシアに対して停戦を呼びかけますが……
ロシア軍の先制核攻撃が起こります。
中国の主要な大都市、全軍事施設、特に核兵器を持っていそうな所は全部です。
ロシアが保有する、膨大な核兵器が惜しげもなく使用されました。
はっきりいって米軍も黙認しています。
日米軍事同盟を通じて、情報が日本にも直前に入ってきたそうです。
日本海軍は全艦艇を動員して、日本の海岸線を守る体制に入りました、難民を入れない為です。
恥ずかしい事ですが、見つけ次第警告、従わなければ撃沈の命令が出ています。
これには米海軍も、太平洋艦隊を動員、協力しています。
東シナ海、日本海には、二つの大海軍国の大機動部隊が展開しています。
しかし戦術核は残っていました、中国軍は莫大な人員を保有しています。
その半分が壊滅したとしても、残りの半分でも世界有数の軍隊です。
ロシア正規軍とは、互角に戦える戦力が残っています。
何とか数十発残っていた戦略核兵器で反撃、イルクーツクなど、シベリアの主要都市は壊滅します。
同時に中国正規軍は全面反撃にでます、核砲弾など狂ったように使用しています。
ユーラシアの主要部分は放射能に汚染され、その中で補給の途絶えた軍隊が、相手を殲滅しようと死力をつくしています。
またたく間に、中国大陸およびシベリアは地獄絵図となりました。
この地域の人々の約半数が、死亡したと推定されました。
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