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第3部 邪神乱舞

【7章】88話 女神印のお薬……

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 聖天様って邪神じゃないかしら!
 よくもまぁ、あんな恥ずかしい『ご褒美』を考えられること!
  
 でも……早速胸が張って痛いのですが……お産したわけでもないのに……
 しかも、初乳と呼ばれるものが……

 もう!生理が来るというのに!

 乳汁来潮なんてのを始めて知りました。
 インターネットを検索して、それなりの知識をゲットしました。
 とにかく、移行乳から成乳へ……

 でも不思議なのは乳房の形は変わらない……乳首も乳輪も色も変わらない……
 ただ生理が近づくと胸が張ってきて、痛いのですよ……
 チョットばかり巨乳の女♪になるのですよね。

 愚痴っても始まらない……
 とにかく保存しなくては……

 『電動さく乳器』、そして『母乳保存バッグ』……
 冷凍保存すれば、最大六ヶ月保存できるはず……

 でですね、またまた聖天様が夢枕にお立ちになったのです。

「言い忘れたが、汝の母乳は『初乳』だ、大半の女性は、母乳は出産後に出てくるもの、汝の場合、生理が出産の代わりとなる、生理とはせんじ詰めれば、小さな出産と認定できるからな」
「だからというわけではないが、乙女の乳房のままだ、汝は永遠の処女であるわけだからな」
「そしてだ、ここが肝心な所だが、汝の母乳、粉ミルクにしても効果は変わらない」
「粉ミルクは自分でするしかないぞ」

「……」

 やはり聖天様は邪神です!
 そして策士です!
 例のおまけの『ご褒美』、ビニールの小袋を、再生ペレットから作れる生活魔法、このためにあるようなものではありませんか!

「そういうな、粉ミルクは汝の案で閃いたところもある、汝のいわゆる『月の物の血』、血液成分製剤、いやフリーズドライにして粉末化したら肉体の欠損も復活させる、そのような『褒美』など、追加しないか♪了承すれば簡単なフリーズドライ魔法を使用できるようにしてやるが、もちろん『粉ミルク』も簡単にできる♪どうだ」

 聖天さま、どうしても私に、恥ずかしい『月の物の血』案を、飲ませたいような気がします……
 なにか意味があるのでしょうが、このままでは最後の『聖水』あたりも……
 とにかく、このあたりで止めなくては……

「わかりました!『粉ミルク』と『血液成分製剤』、了承いたします!ただし私も恥ずかしいことをするわけですから、さらに『ご褒美』を要求しても良いですよね!」

「聞き分けがよいな、汝との会話は楽しいな♪言ってみよ、ささやかな物なら追加の要求は認めてやろう、交渉に入ろうではないか♪」

「ささやかな要求ですが、幾つかありますよ」
「なかなか手ごわそうだな、なにかな♪」

「まず、取り寄せ能力ですが、お試し無料や初回限定のものが多々あります、これを制限なしに取り寄せ可能とし、消耗品備蓄カタログに載るようにしていただきたい」
「つまり初回限定で、一種類しか取り寄せられないものを全種類取り寄せたい、そういうわけか?」
「はい」
「了承した」

「次も取り寄せ能力にかかわることですが、小袋化をお願いしたいのです」
「よくわからんが?」
「例えば菓子などで100グラムピーナッツの袋を取り寄せたとして、25グラムの小袋に分割する、または駄菓子に多いのですが一個あたりのものを100個購入するとして、これを四個当たりの小袋にまとめる、そんな能力です」
「取り寄せ後の話としてでよいのだな?」
「はい、できたら、液体などは小瓶化も含みたいのですか、さらに付け加えるなら商品のラベルも、そのまま縮小したものを印刷、貼り付けされている」
「ふむ、また変わった要求ではあるが……よかろう」

「さらに取り寄せ能力での物品でいいのですが、望めば解凍したものを取り寄せられる……」
「手間を省きたいというのだな、よかろう」

「もうひとつ……」
「まだあるのか!」

「第一次大戦前の物品の取り寄せを、今少し後ろに……第一次大戦終了までとか……」
「それは聞けぬ、『名をはばかる方』からの『ご褒美』の修正は、ささやかとはいいがたい、あきらめよ」
「……」
「取り寄せ能力の範囲とせよ、わかったな」
「そうですか……では『愛人のみ半分の350円』の括りを、『情人』までとなりませんか?」

「汝はカタログにこだわるのだな?」
「少なくとも私と『ねんごろに』なった方々、面倒は見る所存ですが、なら皆で仲良く楽しく生涯を過ごせないかと思うのです」
「通販カタログが使えれば、何があってもエーリュシオンでは生活に困らない、そう考えるのです」

「……うーん……ではこうしないか、今までの1400円は1500円、700円は1000円、350円は500円、そして望みの『情人』は使えるようにするとして250円」
「ありがとうございます♪」

「まだ喜ぶのは早いぞ、こちらも条件がある、わかっているだろう?」
「まさか?」
「そのまさかだ、『聖水』を承諾してもらおうか」

「……」

「よいのか?汝の大事な『ねんごろ』になった女を幸せにしたいのであろう?汝のわがままで、手放すのか?あまりに身勝手ではないか?」

「……」

「決まりだな、汝の顔は承諾したとある♪」

「ひとつお聞きしてよいでしょうか?」
「なにか?」

「なぜ聖天様は、私に『恥ずかしい』ことを要求するのですか?」
ここで聖天様は、いささか真面目な雰囲気をまといながら、
「邪神悪神に対抗するためだ、汝自身にはかの者どもは手もだせまい、しかし汝の『女』たちには害をなせる、しかもかなり強力にだ」
「呪いなどなら、遠くからでも簡単にかけることが可能、大規模にかけられたら、汝も困ろう?」
「『聖水』の出番ですか……」

「幸い小瓶化の魔法は授けることにしているので、『聖水』用に特別にスプレー瓶に詰めれるようにしてやろう」
「そこまでお考え下っているのですか……ありがとうございます、承諾いたしました」

「承諾するのだな」
「はい」

「そうか、では実行するとしよう」
「そうそう、後出しで悪いが『聖水』を取るのは『母乳』が出る時期の深夜とする、理由を聞きたいか?」
「いえ、今更ですから……」
「そうか、この『聖水』はかすかに良い香りがするようにしてやる、また『聖水』用に特別にスプレー瓶詰めたものは腐らないようにする」

「ありがとう……ございます……」
「汝、泣きそうな顔をしているぞ、そんなにうれしいのか?汝に喜んでもらうと、我も嬉しく思う♪」
「うっ……」

「そんなに喜んでもらうのだから、もう一つ褒美をやろう♪汝の女の部分、これからかすかに良い香りが漂う、嗅がせたら相手はムラっとなるかもな♪」

「うっ……鬼!聖天様は邪神です!」
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