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第2部 嵐の前の平穏な日々
【4章】46話 チョロQトラックは爆走します。
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カノーヴァ子爵領までは、大半が草原と聞きました。
SHERP ATV は草原を時速35キロで爆走中?です。
あまり草の背丈の高くない、芝生に毛の生えたような草が見渡す限り続いています。
ところどころに魔物なのでしょうね、かなりでっかいのがウロウロしていますが、逃げていきますね。
このあたりには、小さな魔物も一杯いるそうで、これがかなり凶暴と聞いています。
「魔物ばかりですね」
「このあたりは、魔物平原と呼ばれています」
「呪いの森よりも酷いといわれている場所です、動くものは小さな虫まで全て魔物です」
「イルマタル様でなければ最早、白骨となっていますよ」
そして午後五時、草原にも夕闇が迫ってきます。
「休憩にしましょう、すこしトイレも必要でしょうし」
皆さん、我慢していたのでしょうね、SHERP ATV の陰で……
その間に夕食を取り出します。
「夕食はピザですよ」
Mサイズを四枚、マルゲリータ、ミート、シーフード、トロピカル……
フレンチフライポテトも四種類、コーヒーとサラダは人数分ですね。
でも、それなりのお値段、700円以下となると、この宅配ピザにはピザサンドなんてものがあります。
これなら700円以内、十分ですか♪
まぁ、業務用の本格的な冷凍ピザなら、450円ぐらいでお取り寄せできますので、これでしょうね。
そして最後に私もおトイレ、やはり貞操帯なんてものをはずして、はぁ~~
やっぱり面倒くさい!
アーヴェさんも違和感なく食べていますね、やはりロマンチック・ドリーム・タウンの食堂へ、入り浸っていたのでしょうね。
ここまで140キロ、あと160キロです。
夜間はさすがに時速25キロ、午後の六時から走り、いまは十時、240キロを走破しました。
目の前にはかなり幅の広い川が横たわっています。
夏になれば雨が降り始め、このあたりは湖のようになるといわれています。
本当のところは誰も知りません、噂なのです。
だって魔物平原、だれも詳しくは知らないのですから。
「夜に川を渡るのは危険です、今夜はここで野営します」
SHERP ATV の中には折りたたみ式の簡易ベッドが二つありますが、ここは一度取り寄せたことのあるキャンピング・トレーラーを使用します。
四人で寝られますからね……ダブルベッドは私とエヴプラクシヤさんですよ、二段ベッドにアーヴェさんとベンヴェヌータさんです。
シャワーが使えますので、とりあえず体をさっぱりと……
なにかお腹が減りました、というより疲れたのでしょうね、甘いものが欲しくなりました。
そこで……
「ねえねえ、エヴプラクシヤさん、これ、食べてみない?」
お昼に食べたぼた餅です。
「あっ、それ、お昼に食べたやつですね、私もいただけませんか?」
ベンヴェヌータさんが目ざとく見つけます。
「アーヴェさんもどうですか?」
「はい……では、いただきます……あの……」
「あのーもそのーもないの!貴女はベンヴェヌータさんのお友達なのでしょう」
「ベンヴェヌータさんは私の妻の一人、そのお友達が困っているから、力を貸すまでですよ」
「色々考えることはないのです、任せなさい!」
「もう、だから好きなのですよ♪」
ベンヴェヌータさん、惚れ直した?
「明日は早いですから寝ましょうね」
二段ベッドの方に、カーテンなどを引いてもらえるように促して……
エヴプラクシヤさんとごそごそした私です。
朝の五時半、エヴプラクシヤさんと私が起きたら、二人はもう目覚めていました。
アーヴェさんが恥ずかしそうにしています。
「まったく……」
ベンヴェヌータさんが一言だけいいました。
顔を洗い、トイレを済ませ、朝食です。
某ファミレスのデリバリーにヒレカツ卵とじ丼、これお気に入りに登録していますから、自由に出せるのですよね♪
朝の七時からなら、ハンバーガーチェーンのデリバリーがあるのですけどね……朝●●●なんてね……
今度ロケ弁でも幾つか取り寄せようかしら……
すばやく丼をかきいれ、六時にはSHERP ATV のエンジンがうなり始めます。
「いきますよ!」
目の前の川に乗り入れますと、おお、浮きましたね。
水上は時速6キロ強、派手に水しぶきを上げながら、確実に前進するではありませんか!
川に泳ぐ魚も、魔物ばかりだそうで、美味しいかどうかわかりませんが、魚影は一杯見えますね。
30分ばかり手間取りましたが、無事に渡り切ったのです。
さて、目的地まであと60キロ、二時間あればつくでしょう……
そして二時間後……
カノーヴァ子爵領の領都が見えてきました。
一応、城壁や堀に囲まれています。
城門がありますのでそちらに向かいます。
衛兵さんが、右往左往しているのがおかしいですね。
「私はオスク・スクールに学ぶイルマタル・ロイスターです」
「この度、クラスメートであるアーヴェ・ヴェーナが、カノーヴァ子爵殿の第二妾となられると聞き、妻であるモスク大公国公女エヴプラクシヤと、ラテラノ王国キアッピーニ侯爵家令嬢ベンヴェヌータとともに、花嫁の介添えとしてやってきました」
「カノーヴァ子爵殿との面会を希望する、お取り次ぎを願いたい」
驚いていましたね、いま噂の戦女神イルマタル・ロイスターが、乗り込んできたのですからね。
「少々お待ちください、主に取り次ぎますので……」
「そこな衛兵殿、私がイルマタル・ロイスター本人であると調べぬのか?」
「いえ、このような『オーパーツ』をお乗りになられる以上は、女神様ご本人です」
おゃ、肩透かしをくらったような……ここで否定すれば、戻って魔物を追い立ててくるのですけどね、そのドサクサに……
「うーん、残念!」
小さい中世ヨーロッパの村ぐらいの規模ですか、ここの領主がお金持ちね……
案内されたのは小さい城館、おしゃれな雰囲気、瀟洒な建物です。
カノーヴァ子爵とその正妻、そして妾さんが出迎えてくれます。
「イルマタル・ロイスター様を心より歓迎いたします」
「カノーヴァ子爵殿、わざわざご丁寧に、しかし私は親友のアーヴェ・ヴェーナの介添え、まずはアーヴェに言葉をかけていただきたい」
「アーヴェ、私がカノーヴァだ、私に誠心誠意仕えることを命じる」
カチンときましたね……
「アーヴェ・ヴェーナです、このたびは私のような者を妾に迎え入れていただき、こころより感謝いたしております」
「正妻様、第一妾様にご挨拶をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ゆるす」
「正妻様、第一妾様、私がアーヴェ・ヴェーナでございます」
「よろしければ第二妾として、子爵様のハレムの一員に迎え入れていただければ幸いです」
「歓迎いたします、仲よくいたしましょう」
綺麗なご婦人たちですね……でも悲しそうな表情をされています。
「いま朝の九時、よろしければ朝食などご一緒いたしませんか?」
正妻さんが私に声をかけてくれました。
提供された食事は豪華なものでしたが、私、エヴプラクシヤさん、ベンヴェヌータさん、カノーヴァ子爵、そして正妻さんだけ、第一妾さんとアーヴェさんは露骨に内容が落ちています。
やはりこいつは叩きのめすべき男と認識しました。
SHERP ATV は草原を時速35キロで爆走中?です。
あまり草の背丈の高くない、芝生に毛の生えたような草が見渡す限り続いています。
ところどころに魔物なのでしょうね、かなりでっかいのがウロウロしていますが、逃げていきますね。
このあたりには、小さな魔物も一杯いるそうで、これがかなり凶暴と聞いています。
「魔物ばかりですね」
「このあたりは、魔物平原と呼ばれています」
「呪いの森よりも酷いといわれている場所です、動くものは小さな虫まで全て魔物です」
「イルマタル様でなければ最早、白骨となっていますよ」
そして午後五時、草原にも夕闇が迫ってきます。
「休憩にしましょう、すこしトイレも必要でしょうし」
皆さん、我慢していたのでしょうね、SHERP ATV の陰で……
その間に夕食を取り出します。
「夕食はピザですよ」
Mサイズを四枚、マルゲリータ、ミート、シーフード、トロピカル……
フレンチフライポテトも四種類、コーヒーとサラダは人数分ですね。
でも、それなりのお値段、700円以下となると、この宅配ピザにはピザサンドなんてものがあります。
これなら700円以内、十分ですか♪
まぁ、業務用の本格的な冷凍ピザなら、450円ぐらいでお取り寄せできますので、これでしょうね。
そして最後に私もおトイレ、やはり貞操帯なんてものをはずして、はぁ~~
やっぱり面倒くさい!
アーヴェさんも違和感なく食べていますね、やはりロマンチック・ドリーム・タウンの食堂へ、入り浸っていたのでしょうね。
ここまで140キロ、あと160キロです。
夜間はさすがに時速25キロ、午後の六時から走り、いまは十時、240キロを走破しました。
目の前にはかなり幅の広い川が横たわっています。
夏になれば雨が降り始め、このあたりは湖のようになるといわれています。
本当のところは誰も知りません、噂なのです。
だって魔物平原、だれも詳しくは知らないのですから。
「夜に川を渡るのは危険です、今夜はここで野営します」
SHERP ATV の中には折りたたみ式の簡易ベッドが二つありますが、ここは一度取り寄せたことのあるキャンピング・トレーラーを使用します。
四人で寝られますからね……ダブルベッドは私とエヴプラクシヤさんですよ、二段ベッドにアーヴェさんとベンヴェヌータさんです。
シャワーが使えますので、とりあえず体をさっぱりと……
なにかお腹が減りました、というより疲れたのでしょうね、甘いものが欲しくなりました。
そこで……
「ねえねえ、エヴプラクシヤさん、これ、食べてみない?」
お昼に食べたぼた餅です。
「あっ、それ、お昼に食べたやつですね、私もいただけませんか?」
ベンヴェヌータさんが目ざとく見つけます。
「アーヴェさんもどうですか?」
「はい……では、いただきます……あの……」
「あのーもそのーもないの!貴女はベンヴェヌータさんのお友達なのでしょう」
「ベンヴェヌータさんは私の妻の一人、そのお友達が困っているから、力を貸すまでですよ」
「色々考えることはないのです、任せなさい!」
「もう、だから好きなのですよ♪」
ベンヴェヌータさん、惚れ直した?
「明日は早いですから寝ましょうね」
二段ベッドの方に、カーテンなどを引いてもらえるように促して……
エヴプラクシヤさんとごそごそした私です。
朝の五時半、エヴプラクシヤさんと私が起きたら、二人はもう目覚めていました。
アーヴェさんが恥ずかしそうにしています。
「まったく……」
ベンヴェヌータさんが一言だけいいました。
顔を洗い、トイレを済ませ、朝食です。
某ファミレスのデリバリーにヒレカツ卵とじ丼、これお気に入りに登録していますから、自由に出せるのですよね♪
朝の七時からなら、ハンバーガーチェーンのデリバリーがあるのですけどね……朝●●●なんてね……
今度ロケ弁でも幾つか取り寄せようかしら……
すばやく丼をかきいれ、六時にはSHERP ATV のエンジンがうなり始めます。
「いきますよ!」
目の前の川に乗り入れますと、おお、浮きましたね。
水上は時速6キロ強、派手に水しぶきを上げながら、確実に前進するではありませんか!
川に泳ぐ魚も、魔物ばかりだそうで、美味しいかどうかわかりませんが、魚影は一杯見えますね。
30分ばかり手間取りましたが、無事に渡り切ったのです。
さて、目的地まであと60キロ、二時間あればつくでしょう……
そして二時間後……
カノーヴァ子爵領の領都が見えてきました。
一応、城壁や堀に囲まれています。
城門がありますのでそちらに向かいます。
衛兵さんが、右往左往しているのがおかしいですね。
「私はオスク・スクールに学ぶイルマタル・ロイスターです」
「この度、クラスメートであるアーヴェ・ヴェーナが、カノーヴァ子爵殿の第二妾となられると聞き、妻であるモスク大公国公女エヴプラクシヤと、ラテラノ王国キアッピーニ侯爵家令嬢ベンヴェヌータとともに、花嫁の介添えとしてやってきました」
「カノーヴァ子爵殿との面会を希望する、お取り次ぎを願いたい」
驚いていましたね、いま噂の戦女神イルマタル・ロイスターが、乗り込んできたのですからね。
「少々お待ちください、主に取り次ぎますので……」
「そこな衛兵殿、私がイルマタル・ロイスター本人であると調べぬのか?」
「いえ、このような『オーパーツ』をお乗りになられる以上は、女神様ご本人です」
おゃ、肩透かしをくらったような……ここで否定すれば、戻って魔物を追い立ててくるのですけどね、そのドサクサに……
「うーん、残念!」
小さい中世ヨーロッパの村ぐらいの規模ですか、ここの領主がお金持ちね……
案内されたのは小さい城館、おしゃれな雰囲気、瀟洒な建物です。
カノーヴァ子爵とその正妻、そして妾さんが出迎えてくれます。
「イルマタル・ロイスター様を心より歓迎いたします」
「カノーヴァ子爵殿、わざわざご丁寧に、しかし私は親友のアーヴェ・ヴェーナの介添え、まずはアーヴェに言葉をかけていただきたい」
「アーヴェ、私がカノーヴァだ、私に誠心誠意仕えることを命じる」
カチンときましたね……
「アーヴェ・ヴェーナです、このたびは私のような者を妾に迎え入れていただき、こころより感謝いたしております」
「正妻様、第一妾様にご挨拶をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ゆるす」
「正妻様、第一妾様、私がアーヴェ・ヴェーナでございます」
「よろしければ第二妾として、子爵様のハレムの一員に迎え入れていただければ幸いです」
「歓迎いたします、仲よくいたしましょう」
綺麗なご婦人たちですね……でも悲しそうな表情をされています。
「いま朝の九時、よろしければ朝食などご一緒いたしませんか?」
正妻さんが私に声をかけてくれました。
提供された食事は豪華なものでしたが、私、エヴプラクシヤさん、ベンヴェヌータさん、カノーヴァ子爵、そして正妻さんだけ、第一妾さんとアーヴェさんは露骨に内容が落ちています。
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