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第2部 嵐の前の平穏な日々
【4章】39話 お褥辞退のその先は貴女次第
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反乱関係者一族の婦女子の『夫人』の方々の中には、35歳以上の方が7人おられます。
一番年上の方が帝国侯爵家の先代未亡人、57歳なのです。
18歳で長男を産み、その長男は20歳で妻に娘を産ませ、その娘が19歳……
この先代未亡人さん、美魔女なのですね……だいたい『夫人』の方々は侍女さん並、悪くても女中さん並の方ばかり……
「『愛人』となり『お褥辞退』?抱いていただけるのですか!」
喜色満面の顔がそこにありました。
「いえ、何もしません、ただ建前として『愛人』になっていただければ、『お褥辞退』でそのまま免責、自由が手にはいりますよ」
見る見るうちにガッカリしたような……
「私はイルマタル様のお側を離れるぐらいなら、免責などいりません」
「侯爵家なんて伏魔殿みたいなもの、それは浅ましい生活でした」
「夫は外では権謀術数の限り、内では女漁り」
「私はといえば、次々とできる夫の愛人に身を焦がし、追い出すことばかり考えている」
「一日として、心安らぐ日々は無かったのです」
「その結果が反乱騒ぎでの侯爵家の断絶です」
「当初は屈辱だった奴隷生活、でもイルマタル様の優しさに接し、この生活も良いもの、その美しいお顔を毎日拝し、日々不安なく送れる」
「もう私は57です、色恋は諦めておりますが、余生はお側で過ごさせてください」
先ほどの喜色満面の顔は何だったのでしょう?
言葉とは裏腹に、恋に焦がれる小娘さんの顔ですよ。
そもそも私は、60歳定年をとうに超えたおっさんです。
57歳なんて、美しければ許容範囲なのですがね。
だいたい自信満々ではないですか?
『火遊び相手をたぶらかす』ことなんてね、凄い媚ですから。
「……そうですか……ご希望なら免責になったとしても、私に仕えていただきます」
「40歳で『お褥辞退』ですからいわゆる定年、その後は『参与』として60歳ぐらいまで働いてください」
「免責を受けているのですから自由人、召使さんぐらいの給料ですが、支払いましょう」
「その後はささやかですが、死ぬまで年金を支給しましょう、『顧問』として助言をしてください」
「住み込みの召使さんと同じで、家は今までどおり、ただ貴女が私以外の方と婚姻すれば、その場で寿退職をしてもらいます」
「私は57歳です、『火遊び』ならともかく婚姻など望み薄です!」
「それに私は、イルマタル様のお側を離れたくありません!ご迷惑とは思いますが、私は愛しておりますので!」
そこへ更に、別の先代未亡人さんが、
「私も同じ思いです、私は55ですがイルマタル様のお側を離れたくありません!愛しております」
「お義母様……」
王国侯爵家の正妻さんが、さらに言葉を続けて、
「私もお義母様のおっしゃるとおり、いまではイルマタル様を愛しております、死ぬまでお側にいさせてもらいます」
残りの四名の方も口々におっしゃるのですよね……
聖天様は千里眼をお持ち?さらには『名をはばかる方』の凄いご『褒美』、57歳を筆頭に美魔女さんたちからの告白を受けるとはね。
で結局、こうなりましたね。
40歳を過ぎ『お褥辞退』となった『愛人』の方で、私の女奴隷である『参与』を望めば、2年後に『若返り』の力を行使してあげます。
そもそも『お褥辞退』まで働いてくれた女奴隷さんは、問答無用で自由民にしてあげます。
それまでに寿退職する奴隷さんは、自身の代金を返還していただく決まりです。
ただ自身の給料を毎月あてがっていますので、『お褥辞退』までには自由民となっているはずです。
私は自由民のままで『参与』になっていただき、『若返り』の力を行使しても良かったのですが、サロン・キティから『物言い』がついたのです。
『若返り』の行使は、女奴隷であることが前提……
私に抱かれるのは嫌なんて者は、『参与』にしないそうですね。
2年後というのは一応観察期間だそうです。
それに42歳で『若返り』の力を受ければ22歳、これで十分だそうです。
『顧問』になるのは60歳、このとき40歳の体、『若返り』を受けると、寿命がどうなるかは分かりませんが……余生をのんびりと過ごしていただきましょう。
でもね……美魔女さんたち、『参与』になったのですよね……『愛人』なんですよね……美味しかったけど……意思が弱い私……んんんん……なんとも言葉もない……侯爵夫人の誘惑に、おっさんは完敗です。
とにかく、これで夫人の方々も処遇も一件落着、頭の痛い問題も解決です。
でも、召使さんも『お手つき』を重ねれた者は『愛人待遇夫人』、『お褥辞退』で『参与』就任、よく考えられていますね。
望む女も『愛人』どまりに出来ますからね……恐ろしいサロン・キティの皆さんです……
でも『愛人』の話、侍女さん以下、ロマンチック・ドリーム・タウンに働く女たちは色めき立ったのです。
『若返り』の力ははっきりとは説明していませんが、なんせ57歳の方が『愛人』となり『お褥辞退』、そのまま『参与』になったのです。
そして37歳のお体になったのですからね、サロン・キティの皆さんが噂をこそこそと流していました。
女の噂ですからね、あっという間に広まったわけです。
「ねぇ、元帝国侯爵家のフランセット様、『愛人』になられた途端に、お若くなったわね、噂は本当なのよね」
「そりゃあそうよ、だってあの若さよ、もともとお綺麗な方だけど皺は隠せないものよ、お肌なんて皺どころかくすみもないわよ」
「いいわね、だって私28なのに……このごろ小皺に……」
『若返り』って20歳とは聞いていましたが、お肌年齢なんて、もっと若いのではありませんかね……つまりその個体年齢のベストなのでしょうね……
そうそう、元帝国侯爵家の先代未亡人さんは旧姓フランセット・フラン、フラン皇帝の一族さん、というよりお姉さんです。
「私たちでも『お手つき』になれば、お気に入りになり、逢瀬を幾度か重ねれば『愛人待遇夫人』、『お褥辞退』まで働けば、女神様のお側で死ぬまでご一緒できるらしいわ……つまらない伴侶を掴むより、いいかもしれないわ♪」
「そうね、ロマンチック・ドリーム・タウンって素敵なところだし、女神さまも素敵な方、いっそのこと住み込みに変えてもらおうかしら♪」
召使さんたち、食堂や喫茶室でこんな話をしているようです。
いつのまにか、『夫人』さんは私が抱くことを前提とした方々、となり、『侍女』の下から、『侍女の上、『侍女頭』の下の扱いと規定されていました』
一番年上の方が帝国侯爵家の先代未亡人、57歳なのです。
18歳で長男を産み、その長男は20歳で妻に娘を産ませ、その娘が19歳……
この先代未亡人さん、美魔女なのですね……だいたい『夫人』の方々は侍女さん並、悪くても女中さん並の方ばかり……
「『愛人』となり『お褥辞退』?抱いていただけるのですか!」
喜色満面の顔がそこにありました。
「いえ、何もしません、ただ建前として『愛人』になっていただければ、『お褥辞退』でそのまま免責、自由が手にはいりますよ」
見る見るうちにガッカリしたような……
「私はイルマタル様のお側を離れるぐらいなら、免責などいりません」
「侯爵家なんて伏魔殿みたいなもの、それは浅ましい生活でした」
「夫は外では権謀術数の限り、内では女漁り」
「私はといえば、次々とできる夫の愛人に身を焦がし、追い出すことばかり考えている」
「一日として、心安らぐ日々は無かったのです」
「その結果が反乱騒ぎでの侯爵家の断絶です」
「当初は屈辱だった奴隷生活、でもイルマタル様の優しさに接し、この生活も良いもの、その美しいお顔を毎日拝し、日々不安なく送れる」
「もう私は57です、色恋は諦めておりますが、余生はお側で過ごさせてください」
先ほどの喜色満面の顔は何だったのでしょう?
言葉とは裏腹に、恋に焦がれる小娘さんの顔ですよ。
そもそも私は、60歳定年をとうに超えたおっさんです。
57歳なんて、美しければ許容範囲なのですがね。
だいたい自信満々ではないですか?
『火遊び相手をたぶらかす』ことなんてね、凄い媚ですから。
「……そうですか……ご希望なら免責になったとしても、私に仕えていただきます」
「40歳で『お褥辞退』ですからいわゆる定年、その後は『参与』として60歳ぐらいまで働いてください」
「免責を受けているのですから自由人、召使さんぐらいの給料ですが、支払いましょう」
「その後はささやかですが、死ぬまで年金を支給しましょう、『顧問』として助言をしてください」
「住み込みの召使さんと同じで、家は今までどおり、ただ貴女が私以外の方と婚姻すれば、その場で寿退職をしてもらいます」
「私は57歳です、『火遊び』ならともかく婚姻など望み薄です!」
「それに私は、イルマタル様のお側を離れたくありません!ご迷惑とは思いますが、私は愛しておりますので!」
そこへ更に、別の先代未亡人さんが、
「私も同じ思いです、私は55ですがイルマタル様のお側を離れたくありません!愛しております」
「お義母様……」
王国侯爵家の正妻さんが、さらに言葉を続けて、
「私もお義母様のおっしゃるとおり、いまではイルマタル様を愛しております、死ぬまでお側にいさせてもらいます」
残りの四名の方も口々におっしゃるのですよね……
聖天様は千里眼をお持ち?さらには『名をはばかる方』の凄いご『褒美』、57歳を筆頭に美魔女さんたちからの告白を受けるとはね。
で結局、こうなりましたね。
40歳を過ぎ『お褥辞退』となった『愛人』の方で、私の女奴隷である『参与』を望めば、2年後に『若返り』の力を行使してあげます。
そもそも『お褥辞退』まで働いてくれた女奴隷さんは、問答無用で自由民にしてあげます。
それまでに寿退職する奴隷さんは、自身の代金を返還していただく決まりです。
ただ自身の給料を毎月あてがっていますので、『お褥辞退』までには自由民となっているはずです。
私は自由民のままで『参与』になっていただき、『若返り』の力を行使しても良かったのですが、サロン・キティから『物言い』がついたのです。
『若返り』の行使は、女奴隷であることが前提……
私に抱かれるのは嫌なんて者は、『参与』にしないそうですね。
2年後というのは一応観察期間だそうです。
それに42歳で『若返り』の力を受ければ22歳、これで十分だそうです。
『顧問』になるのは60歳、このとき40歳の体、『若返り』を受けると、寿命がどうなるかは分かりませんが……余生をのんびりと過ごしていただきましょう。
でもね……美魔女さんたち、『参与』になったのですよね……『愛人』なんですよね……美味しかったけど……意思が弱い私……んんんん……なんとも言葉もない……侯爵夫人の誘惑に、おっさんは完敗です。
とにかく、これで夫人の方々も処遇も一件落着、頭の痛い問題も解決です。
でも、召使さんも『お手つき』を重ねれた者は『愛人待遇夫人』、『お褥辞退』で『参与』就任、よく考えられていますね。
望む女も『愛人』どまりに出来ますからね……恐ろしいサロン・キティの皆さんです……
でも『愛人』の話、侍女さん以下、ロマンチック・ドリーム・タウンに働く女たちは色めき立ったのです。
『若返り』の力ははっきりとは説明していませんが、なんせ57歳の方が『愛人』となり『お褥辞退』、そのまま『参与』になったのです。
そして37歳のお体になったのですからね、サロン・キティの皆さんが噂をこそこそと流していました。
女の噂ですからね、あっという間に広まったわけです。
「ねぇ、元帝国侯爵家のフランセット様、『愛人』になられた途端に、お若くなったわね、噂は本当なのよね」
「そりゃあそうよ、だってあの若さよ、もともとお綺麗な方だけど皺は隠せないものよ、お肌なんて皺どころかくすみもないわよ」
「いいわね、だって私28なのに……このごろ小皺に……」
『若返り』って20歳とは聞いていましたが、お肌年齢なんて、もっと若いのではありませんかね……つまりその個体年齢のベストなのでしょうね……
そうそう、元帝国侯爵家の先代未亡人さんは旧姓フランセット・フラン、フラン皇帝の一族さん、というよりお姉さんです。
「私たちでも『お手つき』になれば、お気に入りになり、逢瀬を幾度か重ねれば『愛人待遇夫人』、『お褥辞退』まで働けば、女神様のお側で死ぬまでご一緒できるらしいわ……つまらない伴侶を掴むより、いいかもしれないわ♪」
「そうね、ロマンチック・ドリーム・タウンって素敵なところだし、女神さまも素敵な方、いっそのこと住み込みに変えてもらおうかしら♪」
召使さんたち、食堂や喫茶室でこんな話をしているようです。
いつのまにか、『夫人』さんは私が抱くことを前提とした方々、となり、『侍女』の下から、『侍女の上、『侍女頭』の下の扱いと規定されていました』
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