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第三十一章 聖女のお仕事
撫子ミルクホールは盛況です。
しおりを挟む恩賜婦人図書館倶楽部が開店したのは二月二十五日、珍しく暖かい日でした。
談話室の内 『撫子ミルクホール』も開店、『恩賜財団 青鞜会 帝室岩倉姫宮婦人図書館』の新規採用のウェイトレスさんが働いておられます。
各種新聞や官報を取りそろえ、『王国カフェ』から提供される、インスタントコーヒーと粉末ミルクを使い、コーヒーを提供しています。
当然、ミルクホールですから、粉末ミルクでつくるミルクも提供、正直この粉末ミルク、かなり牛乳に近いのですよね♪
メニューはコーヒーとミルク、そしてパンの耳のラスクです。
ラスクの料理法は、製本したものをウェイトレスさんに渡して、練習していただいたのです。
全てフライパンで簡単に作れますし、一応簡単に手に入るパンの耳をメインの材料としています。
シュガーラスク、キャラメルラスク、黒糖ラスク、ココアラスク。
これを飲み物に添えてお出しするわけですよ。
軽食類としては、
キッシュ、ピザ、フレンチトースト、ビスマルク風焼き、ホットケーキ風。
これらもフライパンで作れますよ♪
さすがに『聖女青鞜局』が採用した方、お綺麗な上に料理上手……
正規職員は三名で全員十五歳……なんでこれほどの方が身売りなのでしょうね……
補助職員が二名増員されています。
こちらはさらにお料理上手ですね。
どうも元はお料理屋の娘さんと、宿の女将さんのようですね……
宿の女将さんは未亡人でした。
お二人とも高等小学校卒業、採用年齢の上限、二十歳です。
この二人、かなりの負債とお聞きしています。
身売りを決意されたとき、あまりの美女で、娼館がそれでも支払うといったそうですね。
しかし、せめて娼館よりはお国の役所の方に採用されたいと、保護者保証人と協議し、応募されたようです。
公告にはかかれていませんでしたが、女性が年季奉公するというのは、身を任すというのは暗黙の了解事項、別に雇い主が乗り逃げしても構わないという意味……
しかしハッキリさせるために、『聖女青鞜局』面接時に内々で、『青鞜会総裁』に身を捧げられるか聞いたようです。
ここで否はあり得ませんでしょう、含んで応募しているのですから。
二人は帝室の誰かに、遊ばれる身分と理解したようですね。
採用された方々は、理解されておられると報告を受けています。
超色っぽいお二人と、これまたお綺麗で初々しいウェイトレスさんが働くミルクホール。
やはりというか、手を握ろうとする者や、お話を望む者が出てきたのですよ。
どこかの女給さんと間違えた馬鹿どもです。
即刻出入り停止、新聞にこの男の名前を公表させた『聖女青鞜局』。
お仕事、熱心にしてくださっております。
開店の新聞広告に、この旨、しっかりと書いて有りますので、文句は表だってはでませんね。
帝国の半国営ミルクホールですからね♪
この一件で、『青鞜会』というものが、帝国の女性政策の実施組織、そのように認識されたのです。
そして、『青鞜会総裁』である私、岩倉姫宮雪乃王女はその御神輿。
誰もが知っているだろう、皇太子殿下の許嫁に内定と云うより、決定している以上、帝国の中枢部の意思ととらえたのです。
さらに『青鞜会総裁』の愛人に、ダイアナ王国第六王女がなっている以上、王国も遠からず、この帝国の女性政策を実施する……
知識人はそのように思ったようです。
撫子ミルクホールは盛況です。
当初、所詮は国営のミルクホール、なんとなく官僚的でサービスも悪い……
そのように思われていましたが、美女がニコニコとミルクやコーヒーを、お菓子のようなラスク付でのサービス。
新聞や官報は読み放題、その上、提供される軽食は値段の割に美味しくてボリュームもある。
あっというまに帝都の有名店になったのです。
ただね、日曜がお休み、苦情が『聖女青鞜局』に届けられるので、新聞の意見広告を出していました。
利益目的の店ではない以上、従業員の給料は安い、その為、福利厚生などを充実、官庁なみの休日という契約となっている。
諸兄には、はなはだ申し訳なく思うが、ご了承願いたい。
まあね、本来は図書館に来る、女学生さんの休憩所としての撫子ミルクホールですからね。
だんだん女性客がふえてきて、殿方は居心地が悪くなってきたようですね……
こられる男性客は数が減少し、紳士が多くなってきました。
上品なミルクホールを、この紳士方はお気に召したようです。
帝室岩倉姫宮婦人図書館の司書さんや、事務職員さんの研修も始まり、二月の終わりには、帝国内で買いあさった蔵書が搬入されたのです。
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