老後のおかしなおかしな女学生生活 転生一年目

第二十六章 お薬啓示

採用面接

　恩賜青鞜会看護高等女学校生徒は青鞜会所属、在学中といえど帝国の雇員待遇、そして陸軍出向となっています。
　その為、衛生看護実習は帝都第一衛戍(えいじゅ)病院が受け持つわけです。

　卒業したら衛生伍長待遇、判任待遇となります。
　入学すると衛生二等兵待遇、三年時に衛生一等兵待遇、五年時に衛生上等兵待遇、七年時に衛生兵長待遇、に昇進するのですね。
　それなりの軍事教練もあるようですよ。

　給料もくれるのですが、兵隊さんの約半分、その代わり兵士と違い、下着から特別衛生品、つまり生理用品まで全て支給されます。
　一応、夏と冬に三ヶ月分の賞与と帰省の往復切符が支給されます。

　制服はセーラー服、青鞜と名付けられるように、制服の靴下がブルー、濃紺のワンピース型で長いロングスカート……日赤の第一種制服を少々アレンジして採用しています。
　胸のリボンもブルー……質素な雰囲気を漂わせています。

　ただね……ブルーストッキング、それもターコイズですからね……どことなく質素な雰囲気のなかに、色っぽさが滲みでるのですね……
　
　そして校地ですが……陸軍が貸与してくれたのです。
　買っても良かったのですが、陸軍としては私の特許で揺さぶられたのに懲りたようで、積極的に協力してくれるのですね♪

　ペニシリンって、陸軍に蔓延する『淋病』、『梅毒』の特効薬でもありますから……兵士が罹れば戦力低下となります、これを有償にされると、お高くつきますからね。

　『恩賜財団　恩賜帝室岩倉姫宮婦人図書館』の横、つまりは帝都第一女子高等師範学校の隣の隣、ますます女ばかりの街になりそうですね。
　帝都第一女子高等師範学校には、附属の高等女学校、尋常女児小学校、幼稚園、臨時女子教員養成所も併設しています。

『恩賜婦人図書館倶楽部』内の、『撫子ミルクホール』は早く開業しなくてはなりません。
　牧野愛さんに返事をしました。
　土曜日の午後三時、採用面接を行いたい、場所は『帝室王女御用邸』……

　お母様、おばあ様、私で面接なのですよ。
　
　土曜日はメイドさんはお昼までですが、この日は残業をお願いしました。
　当然、残業代は支払います。

　指定の時間に、牧野愛さんは訪ねてこられました。
　千代子様が、談話室まで案内されてこられました。

　牧野愛さん、二十五歳とお聞きしていますが、心労のせいか、おやつれになられて……痛々しい。
　
「岩倉姫宮雪乃です、こちらは皇后陛下、こちらは皇太后陛下、私たちが面接させていただきます」
　驚かれていますね、お母様とおばあ様がご一緒ですものね。

　お母様が、
「愛さん、事情は雪乃から聞いています、失礼ですが、身元などは調べさせていただきました」
「学歴、職歴、身上書に文句はありません」
「ただ、こちらにも条件があり、それを呑んでいただければ、貴女の条件も了承いたします」

「条件とは、この雪乃に永年奉公人として身を売っていただく、巫女になっていただく、意味はおわかりですね？」
「若くはありませんが、私でよろしければ……」

「帝室に奉公する以上、永年奉公人として知り得たことは口外無用、たとえ奉公が解除されても、生涯口外無用を誓約できますか？」
「ご安心ください」

「妹さん、和さんとおっしゃるのね、帝室に伝わる秘薬を提供できますが、その場合、妹さんも、同様の扱いとなりますが、望まれますか？」
「そのお薬は確実に効くのですか？」
「効きますが、半年かかります」

「考える必要も無いかと思います、望みます」

「その為には、ここで巫女になるという覚悟を私たちに示していただきます、牧野愛、今この場で裸になりなさい」
　恥ずかしそうにされましたが、思い切りよく脱がれました。
　なかなか気の強そうな女性のようです。

　綺麗なお肌ですね、栗毛色の髪、身長は１７０センチ近いのではありませんか？
　右目が緑色、左目が青色で虹彩異色症、胸は私の見るところＤカップ、９２センチ？
　ボン・キュウ・ボンのナイス・スタイル……

「前を隠さないの！」
　おばあ様、厳しいです。

「体操はできますか？」
「普通には出来ます」
「Ｙ字バランスは？」
「なんとか出来ます」
「では、そのままＹ字バランスをお願い」

　黙ってＹ字バランスをする愛さんです。

「雪乃、この方を採用しましょう」
　お母様が、おっしゃいました。
　愛さん、一瞬、嬉しそうな顔をされました。

「当面、『恩賜婦人図書館倶楽部』内の、『撫子ミルクホール』でウエイトレスをお願いします、料理はこの小冊子に書いています」
「来年四月に、恩賜青鞜会看護高等女学校という新設校を開学させます、開学すれば、そこの教師をお願いします」