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第二十六章 お薬啓示

青鞜会設立

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 皇太后様がお父様を呼ばれました……
 神様の啓示の話、神楽の話、治療薬の話、そして巫女の女学校の話……

「すぐ手配しよう!しかし聖女の話は表に出すのか?」
「それは沈黙で答えましょう、大体、聖女というのは国民が知っている話、聖女に奉仕する巫女の女学校、巫女といえば何をさすのかは、誰もが知っている話しです」
「小規模で良いのではありませんか?雪乃も抵抗があるようだし」

「別に問題は無かろう、雪乃が気に入らなければ、神楽を踊らなければ良い話し、いくらでも仕事ぐらいはあろう」
「そんな訳にはいきません!」
「聖女奉仕が使命の女学校、雪乃に嫌われたとなると、その後に影響するではありませんか!」

 こんな話を聞いていたのですが、その時、閃いたのです。

「その女学校ですが、看護婦の高等女学校にしませんか?」
「看護科か?」

「学費無料ですが、それ故全員、永年奉公での看護婦育成機関、まえに提示した陸軍の看護婦さんになっていただき、卒業後10年で永年奉公を免除、ご結婚も可能、ただ生涯、聖女のことは口外無用の誓いをたててもらいます」

「戦時には、看護婦として動員させていただきます」
「なるべく伴侶は陸軍軍人を薦める、その為、出来るだけ美しい才媛を選抜する」

「赤十字の看護婦さんと違うのは、国の永年奉公人ですから、国家機密を知り得ても、喋る機会はかなり少ない、いつも憲兵さんが目を光らせる訳ですから」

「まぁ、そうなる、それに永年奉公人だから、機密保護を徹底的にたたき込むことも可能になるし……陸軍式にしごくことも出来るわけだ……」
 お父様、一人で頷いておられます。

「しかし、それでは神楽はどうなるのか?」
「永年奉公人、それも巫女と名が付く以上、それなりの夜の嗜みは仕込むということですよ」

「聞けば神楽はかなり恥ずかしい踊りのようです、聖女に侍るための覚悟を示す踊り、そのように言いくるめて学ばせれば良いだけです」
 お母様が説明しておられます。

「陸軍の看護婦ね、良い考えではありませんか?」
「幸いにも雪乃は帝都第一衛戍(えいじゅ)病院の名誉院長、それに今度の話しの原因になった娘さん、牧野愛さんといったかしら、帝都女高師の才媛だったのでしょう?丁度良いのではありませんか?」

「そうだな……文理科大学卒業と聞くし、永年奉公やむなしの女教師……はかったようだな……」

 そうでしょうね、まるで絵に描いたようなストーリーですから……

「でも、それなら巫女の夜に侍る女はどうするのか?」
「それこそ、雪乃が気に入った女生徒を抱けば良いのではありませんか?」
「巫女候補が巫女になるだけ、入学の条件に聖女が望めば、生涯奉仕を拒否出来ない、との一文をいれて、面接時に確認すればいいだけです」
「そうね、美貌が条件になるのですから、面接は必須ですからね」

 こうして、救護看護科だけの看護高等女学校設立は決まったのです。
 帝国赤十字は現在、救護看護婦は育成していなかったのです、災害などの時、救護班を編成派遣するわけです。
 こちらは、非常時が前提となります、だから永年奉公?となるのだそうです……

 校名は恩賜青鞜会看護高等女学校、高等女学校と女子専門学校が一体化した学校で八年制、女子高等師範学校並の扱いです。
 全寮制で卒業後は必ず陸軍看護婦として奉職するわけです。
 陸軍から委託をうけた婦人組織『恩賜財団 青鞜会』が運営することになります。

 『恩賜財団 青鞜会』は陸軍に協力はしますが、正確には宮廷の皇后直轄の『聖女青鞜局』なるところが管轄しています。
 この女学校は文部省からも独立しているのです。
 皇后直轄には『女官局』だけでしたが、部署があらたに増えたのですね。
 陛下と言われる方の直轄組織については、詳しい説明はありませんよ。
 
 経費は内廷費から出るのです、そして『聖女青鞜局』の経費は現在、篤志の寄付になっており、税務処理などは税務当局がしっかり行いますが、公表はされないのです。
 
 帝国赤十字は半独立組織で、皇后陛下を名誉総裁と仰ぐ決まりですが、こちらは直轄なのです。

 そうそう、『恩賜財団 青鞜会』所属女性は、『偕行社』にも出入り出来るようになりました、これ、将来の伴侶をあてがうためだそうです……
 つまり恩賜青鞜会看護高等女学校は陸軍の将校生徒の扱い、『陸軍予科士官学校生徒』や『陸軍幼年学校生徒』と同列なのです。

 頭の固い陸軍としては、大変な英断?
 私がフリーズドライ法の特許の無料使用について、もの申しましたので、決まったのですよ♪

 食い物がまずいと、力が出ないし、不満がたまりますよね、どこの世界の組織としてもね♪

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