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第二十章 茶番劇は誰の為の物?
正妻はまことに強し!
しおりを挟む宴もたけなわ、そろそろ盛り上がってきました。
おや、やはりお父様と、あぁ、白川宮様ができあがりつつあります。
脇坂伯爵も危ないですね……
久光お兄様は……おや、皇太子殿下と盛り上がっておられます。
「そろそろ出そうですね!」
「そうですね!」
「まぁ、今回は前回のようなことはないでしょうが、もし出たら、いいですね」
「分かっています、『見ない、見えない』ですね」
「その通りです!殿方の相手はそれぞれの奥様にお任せです!」
「しかし、皇太子殿下がお酔いになられたら?やはり雪乃様が……」
「先ほどいいましたが、逃げましょう!一目散に逃げます!」
料理も三分の二はなくなってきています。
1種類20人前作っていたのですがね……
「お酒はあるかしらね」
「まだありそうですね、でもビールのなくなり方が早いですね」
「追加しましょうか」
「おやめ下さい、殿方はあったら有っただけ飲まれますよ」
文子様の言葉です。
我が家のメイドさんは大忙しです。
「本格的にあの方達のことも考えなくては……『巫女』ですか……もう、どうしましょうか……ドンドン増えてくるのですが……私が物欲しそうにするからでしょうか……」
「私たちもその一人ですから、なんなのですが、あえて言えば雪乃様があまりに美しく、あまりにお優しい、男も女も魅了することが原因かと……つまり雪乃様は罪な女ということですね♪」
ダイアナ様、こんなことを云うのですよ。
「私もその意見には賛成ね」
「慶子お姉様!お兄様のお相手は良いのですか?」
「皇太子殿下がね、旦那様を取って行ってしまったのよ、何でも雪乃様について聞きたいそうよ」
「相当ご執心ね、雪乃さん、皇太子殿下をお尻に敷けるわよ♪」
「酷い云い方ですね!」
「ご自分で云ったのでしょう、お父様たち、大受けしていたわよ」
「白川宮様が?」
「そうよ、でも不思議よね、私の知る女性は皆『お尻が大きい』のよね、お母様でしょう、皇后陛下でしょう、そうそう、メアリー様なんか、凄いわよね、中でも雪乃さんは一番ね」
「慶子様に云われたくありませんね、久光お兄様、いつの間にか恐妻家になっていますよね」
「そうね……でも、殿方は『締めておかねば』ね、最初が肝心なのよ」
「あの、慶子様はメアリーお姉様をご存じなのですか?」
ダイアナ様が聞きますと、
「同い年でね、私は華族高等女学校でね、メアリー様は王立のパブリックスクール、ダイアナ様もそうだったでしょう?」
「あっ、それで」
「どういうこと?」
私が聞きますと、
「華族高女と王立パブリックスクールは、夏休みの間にフェンシングの交流試合があるのです、結構、出場選手の間でお友達になったりするようです」
「私は四年と五年に選抜選手になったのよ、メアリー様と二年連続で試合をした仲なのよ、以来、文通しているわ」
「そういえばメアリー様、妊娠したそうよ、私もね、出来たみたいなのよ、まだ旦那様には言ってないけど、近々お医者様に行ってくるわ♪」
えっ、ご懐妊?
「そうとは知らず、おめでとうございます、でも……知らずに、秋なすを出してしまって……」
「いいのよ、『秋なすは嫁に食わすな』でしょう?でもね、もう授かってしまっているのだから、種も何もないわよね♪」
慶子お姉様……
「ところで聞くのだけど、あのお料理、本当に雪乃さんが作ったの?」
「結構、頑張りました!でも、パンとケーキは購入しました」
「お料理の腕前、凄いわね、特に『アランチーニ・スコップ仕立て』というお料理、実は旦那様がお気に召したようで、私も作ってみようかな……なんて思ったのよ、教えてくれない?」
「いいですよ、木曜と土曜の午後は空いていますから、云って下さればお教えいたします」
「助かるわ♪」
いうだけいうと、ハル様のもとへ、なにか二人でお料理を取りに行かれています。
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