老後のおかしなおかしな女学生生活 転生一年目

ミスター愛妻

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第四章 高等女学校入学

撫子寮

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 今日は四月五日、撫子寮へ入寮する日です。
 何故か、宮殿から馬車がやって来ました。
 あっというまに、私の荷物は運び出され、忙しい久光お兄様の代理として慶子様が付き添ってくださります。

 なんでも、私が入寮したあと、皇后様に呼ばれているとか、どうやら久光お兄様との、ご結婚の日取りなどを報告するとのことです。
 なんといっても女王殿下ですから、降嫁する以上、宮中へ正式に報告する必要があるのでしょう。
 当然、久光お兄様もご一緒です。

 白川宮ご夫妻も呼ばれておられるようですね。

 まぁ大変ですね……帝室一族を妻にもらうというのは……
 この間から、執事さん夫婦とハル様は、伯爵邸の改装、新しい使用人の教育など、何かと忙しいようですね。

 お兄様、大丈夫かしら?
 朝から顔が引きつっていましたけど……まぁ慶子様がご一緒ですし……女はこうなると強いですからね……

 うふふ、お兄様は慶子様のお尻に敷かれるのは確定です!

 撫子寮へ着きました。
 綺麗な洋館ですね……赤煉瓦で二階建て、こじんまりとして全室個室のようです。
 定員は10名、つまり寮室が10あるそうなのです。

 内部はかなり立派で、玄関横に舎監室があり、玄関からホールへ入りますと、廻り階段があり、2階に寮室があるそうです。
 夜は一応、電灯などがありました、電気が使えるようですね。
 たしか私のいた世界、東京では、1911年、つまり明治44年に『電気供給事業を開始』――ウィキペディア、東京都交通局より――したとネット検索にありましたから。
 
 一階にはホールと共同のお風呂、会議室、家族との面談室、おトイレ、読書室兼用の勉強室、一応洗濯場と炊事場がついています。

 つまり自分で掃除洗濯、そして自炊せよ、ということなのですかね。
 一応舎監さんが常駐とのことで、慶子様と一緒に挨拶に伺いました。

 まぁ、女王殿下の付き添いですからね……えらく丁寧な扱いを受けました。
 
 荷物を搬入し、舎監さんにチェックをうけます、何でチェックを受けるのか?
 どうやら女学生としてふさわしくない荷物、衣服などないかチェックするそうです。
 この後、寮の規則など、細々とした説明を受け、昼前には慶子様は帰られました。

 昼食はお弁当を頂いています。
 お祝いとのことで、五段の重箱です、折りですけどね。

 どちらにしろ、この後は自炊しなければならないでしょう……

 自炊は必須と思いましたが、この女学校には購買室もこの春から新設されており、寮の女学生は前日に申し込めば、朝昼晩と簡単なお弁当を手配してくれます。
 なんでも、朝はおにぎり2個とお漬け物、昼はパン、菓子パンかサンドイッチとか、夕食はご飯に何か一品をのせた物です。
 
 更にいえば髪型も規制がゆるくなり、外巻きやラジオ巻き、マーガレットなども校則の範囲内となったのです。
 今までは『おかっぱ』か『お下げ髪』、ほとんどの生徒は『おかっぱ』ですが、新入生は私のように外巻きも居るようです。

 新聞に、批判的に書かれています。

 『ついに、帝国第一高等女学校、女学生の要求に屈する、誠に嘆かわしい』
 などと書かれていたのですね。

「週末に次週のメニュー表を玄関前の掲示板に貼りだします、各自で申し込み表に記入してください、量は少ないですが、足りない方は各自で自炊してください」
 最低減の食事は何とかしてくれるようですね……  
 
 門限は六時、でも五時半には必ず戻る事、六時五分前には点呼するそうです。
 もし門限破りをすると、始末書を書き、相当にしかられるようです。
 
 撫子寮は女学校の敷地の中にあり、この敷地はぐるっと高い壁に取り囲まれています。
 そうそう、この帝国第一高等女学校は宮殿横に校地を構えているのです。
 直ぐそこには憲兵の分署があり、この春から夜の六時から朝の六時まで、警備をしてくれる様なのです……
 なんとも警戒厳重な女学校……

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