老後のおかしなおかしな女学生生活 転生一年目

ミスター愛妻

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第一章 お嬢様になりました

女子の進路

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 夕食は豪華なものでした。
「雪乃、好きなだけ食べなさい、お前は少しやせすぎている」

「ところで学校のことなのだが、先ほど当家の顧問弁護士が来て、結果を知らせてくれた、合格したそうだ」
 お兄様がそう云いながら、奨学生試験の合格通知を差し出しました。

「本当に『帝国第一高等女学校』で良いのか?華族の息女が通うような女学校ではないが?」
 華族や裕福な商家の娘が通うのは、『華族高等女学校』と呼ばれる学校で、華族の息女は無試験で入学出来る特典があります。
 ただ、学費はべらぼうに高く、貧乏な男爵家になると学費が払えないようなのです。
 
 そのためとは言いませんが、学力的にはかなり低く、学費さえ払えれば簡単に入れる女学校です。
 しかも、この『華族高等女学校』を卒業すれば、社交界に必ずデビューできます。
 
 『帝国第一高等女学校』というのは、女子の教育機関としては名門で、才媛が集まる女学校として有名なのです。
 奨学生試験とは学費免除となるもので、超難関試験として知られています、華族の息女が受かるなんて滅多にありません。
 もっとも華族の息女は受験もしませんが……

 ライバルとなる西のほうにある、『帝国第二高等女学校』よりも、学力として頭一つ抜けているともっぱらの評判です。
 『帝国第一及び第二高等女学校』は学費が無料とはいいませんが、かなり安いのです。

 女子の最高学府と呼ばれる二つ高等女子師範に、かなりのこの『帝国第一高等女学校』から進学しています。
 帝国唯一の女子医専である、『帝都女子医学専門学校』の奨学生試験合格者もかなり出しています。

 ちなみに二つ高等女子師範学校からは、さらに二つの国立文理科大学にも進学可能、この国立文理科大学は高等女子師範学校卒業生には受験を認めているのです。
――これについては、東京文理科大学・東京高等師範学校・東京第一臨時教員養成所一覧・ 昭和18年度 という東京文理科大学が出版したものに、東京文理科大学、四、本学諸規定、(一)東京文理科大学学則、第一章 学部、第十八條、に、本学に入学許可すべき者として、女子高等師範学校の名がある。また第十九條、においては、女子高等師範学校専攻科の名がある。作者――

 また最高学府である、七つの帝国大学のうちの、『第三帝国大学』の入学試験も受験可能、事実、年に一人か二人、女学生が入学しています。
 この学士を持つ女性はかなりの確率で、『帝国第一及び第二高等女学校』、『帝国第一及び第二高等女子師範学校』に教師として奉職、というコースをとることは、帝国内では有名なのです。
 当然ですが、まれに博士号を持つ女性もでますが、世間からはいいようにはいわれないようですね。

「私は就職して、お兄様のお役に立ちたいと思っています、学費の高い『華族高等女学校』ではご迷惑をかけます」
「雪乃!私はお前の為なら、学費ぐらい何ともないよ、この朝比奈の家は貧しいわけではないぞ!」

「お兄様、お聞きください、朝比奈の家の娘が『帝国第一高等女学校』に入学となれば、少なくとも世間は感心してくれます」
 たしかに『帝国第一高等女学校』入学となれば、世間は才媛と賞賛してくれます、もっとも華族の妻は諦めることになりますね。
 あまりに賢い女は、敬遠されるのはどこの世界でもあるのですよ。

「聞けば久光お兄様は、あの難しい帝国陸軍士官学校を首席でご卒業、陸軍大学校も首席、『恩賜の軍刀』をいただいたと聞きました、その妹が不出来では、陸軍参謀本部に勤務の、お兄様の顔に泥を塗ることになります!」

 そう、久光お兄様は、府立一中から帝国陸軍帝都幼年学校予科入学、同校卒業(首席)。
 帝国陸軍中央幼年学校卒業(首席)。
 帝国陸軍士官学校卒業(首席)。
 歩兵少尉任官、近衛歩兵第一連隊(旗手)。
 陸軍大学校(首席で卒業、中尉)。
 隣の王国へ駐在武官として赴任後、陸軍参謀本部勤務(大尉)
 現在三十歳でなんと独身なのですよ。

 とんでもない陸軍のエリート軍人、俸給は『やっとこ大尉』ですから、私の感覚では約年収三百万、もうすぐ少佐になるそうですので約年収四百五十万、なんとかお一人で生活出来る程度なのです。
 ありえないほどのイケメンのうえエリート軍人、お嫁さんなど望めば、誰でもホイホイと嫁いできそうです!

「雪乃、私の顔などどうでもいい事、お前は本当に『帝国第一高等女学校』に行きたいのだな?」
「はい!私は久光お兄様にご迷惑などかけたくないのです!」

 少しばかり困った顔のお兄様……
 でもお兄様の困った顔も素敵なのです♪

 お兄様は、私の言い分を認めてくださり、『帝国第一高等女学校』に入学することが決まったのです。

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