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シリーズ004
011 生存戦略
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何かに引っ張られたかと思うと、私はジャンヌと一緒に後ろの方へ投げ飛ばされていた。
「そこで伏せてろっ!」
鋭い声を出したのは、多分フィンさんだ。恐らく投げ飛ばしたのも。
そうしなければ、私とジャンヌは殺されていただろう。
「なに、あれ……?」
私達がいた場所を貫いていたのは、赤い金属の様な物体だった。カリスの野郎は魔法か何かで足元に影のように寄り添っているそれを操り、攻撃に使ってきている。
「なろっ!?」
リナは小太刀よりも先に銃を抜き、攻撃していたが全て金属に弾かれていた。
「無駄なことを……」
攻撃された後、一枚の壁として広げていた金属を操作して、槍状にしてからリナの方に放ってきた。躱してはいるが、金属の動きはかなり速い。フィンさんの方にも飛んできているけど、ぎりぎり躱している。
戦闘職でもスピード重視の二人だからまだ、対処できるのだろう。私ならあっさり殺されている。
「……リナちゃん、気付いた?」
「金属が勝手に防御したってこと?」
フィンさんの手から、何かが放たれた。それも簡単に弾かれてしまうが、元から当たるとは思ってなかったのだろう。
リナの銃も、フィンさんの飛び道具も防がれたが、その際カリスの野郎は見てすらいなかった。攻撃され、防がれた後に確認するように目を向けているのだ。
「勝手に防御してくれる魔法とか、そんな便利なものあったっけ?」
「多分、これ異世界の考え方だわ。自動で攻撃に反応して防ぐとか、思いっきり自動電算機じゃん」
「初めて聞いた時はこっちも驚いたけど、割と簡単に、魔法で応用できたんだよ」
おのれ天才肌め。少しはその才能を分けろ。
……なんて言っている場合じゃない。
「ねえ、ジャンヌ。しっかりして、ねえ!」
「ん…………みぃしゃ、さん?」
まだうまく口が動いていないが、意識を取り戻しつつあった。でも、私にできることは可能な限り後ろに下げて、少しでも回復の時間を稼ぐこと位しかない。
「いいからじっとして、娼館に確か治療用の魔法薬があった筈。そこまで運ぶから」
「……ぃえ、その前に、言わなければ」
言葉ははっきりしてきたけど、まだ身体に力が入らないのか、動く気配がない。だからか、辛うじて動く腕で私の首を掴んで、顔を無理矢理近づけてきた。
「あの、金属は、私の魔法も……防ぎました。それ以上、の、威力でない、と」
「魔法って、もしかして……あれ?」
頼むから頷くな! 最悪じゃないそれって。
ジャンヌの放った魔法は、恐らく【疑似聖剣・斬撃】だ。
斬撃系神聖属性魔法の大技で、並みの魔族なら相性次第で殺せる代物な上に、純粋な威力も高い。その一撃を防げるということは、あの金属の防御力が高いか魔法への耐性が高い、ということになる。
「そんなの、どうやって勝てばいいのよ……?」
希望なんてない、そう思っていたら、それをジャンヌが否定してきた。
「……手は、あります」
「あるのっ!?」
あ、ごめん。煩かった?
まともに耳を塞げない状況だったので、ジャンヌは耳鳴りを飛ばそうと首を振っているけど、あれって効果があるのかな?
「……ごめん、大丈夫?」
「ええ、いえ……大丈夫です」
微妙に、鋭い視線が飛んできている。
多分リナだ。戦いながらも、こっちの話を聞いていたのだろう。攻撃力不足で防戦一方になっている二人からしたら、会話の邪魔している私に怒りを覚えるのも仕方ない。フィンさんに聞こえてないのが唯一の救いだ。だって視線が一つ減るし。
「これ、は、国も……あの男も、知らない、情報、です。あの金属、を、リナさんの太刀なら、きれ、る…………」
「ジャンヌ……ジャンヌっ!?」
……良かった。気を失っただけみたい。でも、太刀って……?
「そこで伏せてろっ!」
鋭い声を出したのは、多分フィンさんだ。恐らく投げ飛ばしたのも。
そうしなければ、私とジャンヌは殺されていただろう。
「なに、あれ……?」
私達がいた場所を貫いていたのは、赤い金属の様な物体だった。カリスの野郎は魔法か何かで足元に影のように寄り添っているそれを操り、攻撃に使ってきている。
「なろっ!?」
リナは小太刀よりも先に銃を抜き、攻撃していたが全て金属に弾かれていた。
「無駄なことを……」
攻撃された後、一枚の壁として広げていた金属を操作して、槍状にしてからリナの方に放ってきた。躱してはいるが、金属の動きはかなり速い。フィンさんの方にも飛んできているけど、ぎりぎり躱している。
戦闘職でもスピード重視の二人だからまだ、対処できるのだろう。私ならあっさり殺されている。
「……リナちゃん、気付いた?」
「金属が勝手に防御したってこと?」
フィンさんの手から、何かが放たれた。それも簡単に弾かれてしまうが、元から当たるとは思ってなかったのだろう。
リナの銃も、フィンさんの飛び道具も防がれたが、その際カリスの野郎は見てすらいなかった。攻撃され、防がれた後に確認するように目を向けているのだ。
「勝手に防御してくれる魔法とか、そんな便利なものあったっけ?」
「多分、これ異世界の考え方だわ。自動で攻撃に反応して防ぐとか、思いっきり自動電算機じゃん」
「初めて聞いた時はこっちも驚いたけど、割と簡単に、魔法で応用できたんだよ」
おのれ天才肌め。少しはその才能を分けろ。
……なんて言っている場合じゃない。
「ねえ、ジャンヌ。しっかりして、ねえ!」
「ん…………みぃしゃ、さん?」
まだうまく口が動いていないが、意識を取り戻しつつあった。でも、私にできることは可能な限り後ろに下げて、少しでも回復の時間を稼ぐこと位しかない。
「いいからじっとして、娼館に確か治療用の魔法薬があった筈。そこまで運ぶから」
「……ぃえ、その前に、言わなければ」
言葉ははっきりしてきたけど、まだ身体に力が入らないのか、動く気配がない。だからか、辛うじて動く腕で私の首を掴んで、顔を無理矢理近づけてきた。
「あの、金属は、私の魔法も……防ぎました。それ以上、の、威力でない、と」
「魔法って、もしかして……あれ?」
頼むから頷くな! 最悪じゃないそれって。
ジャンヌの放った魔法は、恐らく【疑似聖剣・斬撃】だ。
斬撃系神聖属性魔法の大技で、並みの魔族なら相性次第で殺せる代物な上に、純粋な威力も高い。その一撃を防げるということは、あの金属の防御力が高いか魔法への耐性が高い、ということになる。
「そんなの、どうやって勝てばいいのよ……?」
希望なんてない、そう思っていたら、それをジャンヌが否定してきた。
「……手は、あります」
「あるのっ!?」
あ、ごめん。煩かった?
まともに耳を塞げない状況だったので、ジャンヌは耳鳴りを飛ばそうと首を振っているけど、あれって効果があるのかな?
「……ごめん、大丈夫?」
「ええ、いえ……大丈夫です」
微妙に、鋭い視線が飛んできている。
多分リナだ。戦いながらも、こっちの話を聞いていたのだろう。攻撃力不足で防戦一方になっている二人からしたら、会話の邪魔している私に怒りを覚えるのも仕方ない。フィンさんに聞こえてないのが唯一の救いだ。だって視線が一つ減るし。
「これ、は、国も……あの男も、知らない、情報、です。あの金属、を、リナさんの太刀なら、きれ、る…………」
「ジャンヌ……ジャンヌっ!?」
……良かった。気を失っただけみたい。でも、太刀って……?
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