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第二シリーズ

010 下着

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「……どうしたの、これ」
 クロが洗濯物を畳んでいると、ふと何かを思い出したのか、リナはスクバを引き寄せて中身をぶちまけた。出てきたのは女性ものの下着だが、どれも一般の女子高生では手に入らないような代物ばかりである。つまり高級品の山だ。
「カオルさんに買ってもらった~いいでしょ~」
 自慢げにショーツの一枚を手で持って広げてくるが、クロは我関せずとアイロン台を広げて、リナのブラウスを乗せた。
「たしかにいいものだけど……仕事で着ていくには高すぎない?」
「……高くてもったいないってこと?」
「高くて相手が逆に萎えないかってこと」
 想像を巡らせてみよう。本来持ちえないだろう相手が高級下着に身を包んでいる。高級品を見慣れた相手ならともかく、それ以外だと自分が格下に思えてきてしまう、かもしれない。
 一理あると考え、完全にプライベート用だな、とリナは結論付けた。
「となるともらいすぎたな~クロ、どうしよっか、これ」
 決めたのはいいが、如何せん量が多かった。普段適当に仕事を入れるリナにとって、休日という概念は存在していないようなものだ。仕事があれば受け、なかったり気が乗らなければ休みと、法的に縛られない分、自由度が高すぎるのだ。おまけに客単価も高く、その気になれば月単位で遊んで暮らすことも簡単だ。
「着替えとして使ったら?」
「おぉ~よし、それでいこう」
 ポンと手を打つリナ。
 元々スクバに詰める商売道具には、替えの下着も含まれていた。仕事によって汚してしまう場合もあれば、相手が『下着を買いたい』と言ってくる場合もある。だから常に、替えの下着を何枚か携帯する習慣がついていたのだ。
 だからクロの提案にリナは乗った。
 そして何を思い至ったのか、突然脱ぎだして裸になったリナはもらった下着に手を伸ばし、身に着け始めた。
「せっかくだから見せてあげるね~」
 リナは適当なセットを選んで身に着けた。
 身に着けたのは紫を基調にした上下セットで、モールドカップブラとTバックショーツという、服の上からでは目立たない機能性と脱いだ後のギャップがすごい代物だった。
「うふん、どうせくしぃ~?」
 しなを作って軽く腰を振るリナ。それを一瞥し、クロは漏らした。
「……ケバい」
「え~」
 肩を落とすご主人様に構うことなく、クロは黙々と溜まったブラウスを次々とアイロンがけしていった。
「そもそも大人の女性向けなんだから、10代の身体に合うデザインじゃないでしょう」
「……それもそっか」
 それでも気に入ったのか、着替えるまでリナはずっとその格好で過ごすことにしたらしい。
 適当に寝転がりながら、クロがアイロンがけていくところをじっと見つめていた。
「寝転がると汚れるよ、下着」
「気にしない、気にしない」
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