【完結】月華麗君とりかへばや物語~偽りの宦官が記す後宮事件帳~

葵一樹

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白狼の憂鬱

昼、宦官は甘味の罠を知る③

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………………、

……?……、


「っ!!、」

奏くんがいないっ

手探りで奏くんを触ろうとしたら触れず居ないことに気付いて飛び起きた。
奏くんっ!!
どこ!!

また生ゴミを食べてるんだろうか、
リビングかキッチンに奏くんが居ると信じて刺激しないようそーっと寝室の扉を開ける。

───ガチャ

静かな環境に扉の音が響き、床に座っていた奏くんと目が合った。

良かった……怯えていない。

「おはよう。目が覚めたの?」

コクリ、「おはよう……」

「起きたら奏くんいなくてびっくりしちゃった、何してたの?」

「何もしてない。」

真っ直ぐ目を見て言われる。
本当に何もしてなかったんだろうな…
平然としてるけど奏くんは覚えてないだけで本当は悪夢を見て目が覚めた場合も考えられるし、変に刺激しないように言葉を選ぶ。

「そっか、……もう眠れない?」

コクリ、、

控えめに頷く。

「……ごめんなさい…」

「謝ることじゃないよ。大丈夫、」

俯く奏くんをそっと抱きしめる。
フローリングの上で座っていた奏くん体は冷えていた。
手足を擦り温めるがなかなか直ぐには暖かくならない。

「ちょっと待っててね。」

湯たんぽを準備して奏くんの傍に戻る。

「温かいよ。おいで、ベッドで温もろうか。」

湯たんぽを抱きしめる奏くんを抱っこして寝室に戻った。
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