アスファルトとタバコ

無味

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第1話 ベランダ

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目が覚めた。
ズキズキと痛む頭を抑え、じめじめとした朝にため息をして身体を起こす。

「もう朝、、、、、、、」

雀が早く起きろと急かすように鳴く。
軋むベットを横目にくたびれたサンダルを踏んでベランダに出た。

太陽が無くなったら起きなくていいのかな

なんて
タバコを出しながら毎日同じことを考える。

---------------------

流行りの黒いスーツ
お気に入りの革の靴
血色に近い色のリップ


身につけると気が引き締まるというより、憂鬱な気分が体にまとわりついた様な感覚になる。

「いってきまーす」
家の外に出ると平凡で見飽きた風景が広がっている。


公園で話す老人たち
うさぎのように跳ねるランドセル
静かに流れる川の水
気が重そうな私


こんな生活はいつまで続くのだろうか。



会社についた。
コーヒーとタバコの匂いが混ざっていて、異臭どころではない空間が出来上がっている。

もう慣れたけど。

「華夏ちゃーーーーん、今日も可愛いねぇ。良かったらランチ一緒に行かなーい?」

聞くだけで気が抜けそうになる声ときつい香水の匂い。課長だ。

「課長さん奥さんいますよね。私と行ったらまた怒られちゃいますよ?」

「そんなのぜーんぜん大丈夫だからぁ。僕はもっと若い女の子と一緒にお話したいよー、」
と肩に手を回してきた。

背中からうなじにかけて鳥肌がたつ



気持ち悪い。



課長は奥さんより若い女の子なら誰でもいいらしく、他の課まで手を出しているらしい。給湯室のお局3人組が話しているのを聞いたことがある。

私は課長の手を振り払ってトイレに駆け込んだ。吐いた。何も出ないのに吐いた。




「この会社、、辞めよ。」











2話に続く
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