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番外編
オメガバース(前編)
しおりを挟む「琳冬、ヒートが来たらちゃんと連絡してね?」
「ん、わかってるけど…どうしてもデート行かなきゃダメなの?」
「どうしても、というか付き合ってる子とのデートは行くだろ、普通」
行ってきます、と燈真は家を出る。寂しいな、という感情と共に俺は燈真の部屋に行く。
Ωの習性なのかは知らないが、燈真の匂いに包まれると少し、いや大分安心する。
「すんすん…♡」
俺はそれから夢中で燈真の匂いを嗅ぎ続けた。何時間経ったのかわからない。
不意に、ドクンッと心臓が騒ぎ始めた。
「ぁ、ふ…♡♡はぁ…♡はぁ、、♡♡♡きちゃった、、♡♡」
何が、と言われれば他に何も無い。ヒートが来た。
俺は覚束ない手でスマホを取り、燈真に電話する。2、3コールで出た燈真の声は少しイラついてるようだった。
「何、琳冬。ヒート来たの?今?本当にタイミング悪いよね…まぁいいや、今から帰る」
俺が話す間もなくブチッと切られる。
俺、何か悪いことした……?
まぁそんなことを考えている暇がないのがヒートというもので。
俺はのそのそと箪笥から燈真の服を一通り引っ張りだし、巣を作る。
「ん、とぉまぁ…♡♡♡」
奥が寂しい。早く燈真のモノが欲しい。俺の後孔からはいつからかぐちゅ、と体液が漏れていた。
ガチャ
「琳冬、ただいま。ッ…相変わらず、ヒート中のΩの匂いってヤバいな……」
玄関の方からだんだん近づいて来る声に気づき、俺は巣から顔を出す。
「琳冬の作る巣っていつも無駄に大きいんだよな…」
「と、まぁ♡おかえり、ぎゅーして、ぎゅー♡♡♡」
燈真の方へ腕を伸ばしながら言う。なんならそのまま挿れて欲しい。
「はいはい、琳冬は本当にハグが好きだね」
「おれ、とーまのがすきぃ♡♡♡はやくちょうだい♡おく、おれのおく♡♡いっぱい、ぐぽぐぽしてほしぃ♡♡♡」
燈真に抱きしめられると燈真の匂いがいつもより濃く味わえる。それでも物足らず、燈真を求める。
「はぁ…ダルいなぁ……」
「とーまぁ♡♡?はやく、はやく♡いっぱいほしいの、とーまぁ♡♡♡」
「うるさいよ、わかってるから少し静かにして」
「ひゃうッ♡♡ぁ♡♡んぅ♡♡♡」
ぐちゅ、くちゅ♡♡
いつもより少し乱暴に前立腺を擦られる。そんな刺激でも、ヒート中の俺には十分すぎる快楽だった。
「はぁ…琳冬が制御剤でヒート過ごしてくれたらいいんだけど」
「と、まぁ♡♡いくッ♡♡いくぅ♡♡♡ひぎゅッ♡♡♡!?や、いってう、♡♡また、またいくぅ♡♡♡」
「いつもいつも、琳冬が出した服を誰が洗って箪笥に戻してると思ってるの?本当に面倒臭い」
快楽を受け入れながら、燈真の声に耳を傾ける。小さめの声のハズなのに、何故かハッキリと聞こえる。
俺のヒートが面倒臭い。燈真はずっとそう思って俺の相手をしてくれていたのか。
これ以上迷惑をかけたら嫌われるかもしれない。そんなことがグルグルと俺の思考を占領する。
「はぁ…次から制御剤とか飲んで1人で過ごしてくれないかな」
「とうま、♡♡とぉま♡♡♡いく、またいく♡♡♡ぎゅ、してぇ♡♡♡」
奥は満たされたが、心はぽっかりと穴が空いたように寂しかった。
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