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第二章 依存

5話 大学復帰

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あれから俺は燈真の機嫌を取り続け、見事に大学に行けるようになった。

燈真が大学側には俺は病気で休んでいる、と言ってくれていたお陰で何事もなく授業を受けられた。



「オープンキャンパス委員?ってなに?」


「オープンキャンパスに来た高校生に説明したりキャンパスを案内したりするんだよ。因みに委員長はオレね」


「ほぇ~…」


「そういえば、丁度明日がオープンキャンパスだね」



燈真は思い出したように言う。



「燈真、説明するの?」


「そうだよ。案内もするかな」


「…いつ終わる?」


「明日にならないとわかんないよ」



なら、明日聞こう。ついでにキャンパス案内邪魔してやる。




___________



翌日。


俺は自身の授業終わりに、燈真を探してキャンパス内を歩きまわった。

先の角を曲がった時。



「ここがPC室です。自分は課題をやる時とかに使うことが多いかな…って」


「あ、燈真…」



後ろに数人の高校生を連れた燈真とばったり会う。高校生はみんな頭にハテナを浮かべている。

ごめんね。



「…琳冬、まさかオレのこと探してた?」


「…一緒に帰りたいんだもん」


「はぁ、いいよ。琳冬も一緒にまわろっか。みんな、琳冬は去年入ってきた1年生。琳冬にも色々聞いていいよ。ほら、自己紹介して?」



燈真は後ろに向き直り、俺を前に出して高校生に説明する。

自己紹介は苦手だが、燈真に言われたからにはやらなきゃいけない。



「えっと…神澤琳冬っていいます。うーん…他に何言えばいいの…?学科?俺は経営学科です。あと…何言えばいい?」


「趣味とか」


「趣味は…本を読むことと、浮気調…痛い痛い!冗談じゃん!!」



浮気調査と言おうとしたら首根っこを掴まれた。うん、理不尽。



「ごめんなさいぃ…」


「まあ、こんな子だけど。悪い子じゃないから、よろしくしてあげてください」


「よろしくお願いします…」



俺は深々と頭を下げて挨拶する。高校生の内の数人の女の子はニヤニヤしていた。

俺、何かした?




「よし、じゃあ、何か質問したい人とかいる?恋人いるの~とか、なんでもいいですよ」


「あ、じゃあ…恋人、いるんですか?」



さっきニヤニヤしていた女の子の1人が声をあげる。燈真と俺を交互に見ていることから、大方察しはつく。



「…いるよ。ね?琳冬」


「へ?お、俺に振られても…ッ!?」


「オレと琳冬は恋人同士。だから琳冬のこと好きになったらダメだからね」



いきなりの公開バックハグに俺は混乱する。

数名の女の子はきゃーきゃー言っており、男は燈真に見蕩れ(?)ている。



(……混沌カオスだな)



早く帰りたい。
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