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第二章 依存
2話 わがまま*流血表現あり
しおりを挟む「…おはよ」
「ん、おはよう。昨日は1人でよく眠れた?」
「全然。寂しかった、ぎゅうして?」
「はいはい…おいで」
「…嫌なら、別にいいよ」
「嫌じゃないって、いいからおいで?」
俺は燈真のそばに行き、控えめに抱きしめる。燈真が俺を離したタイミングで俺も離す。
「…ほら、早く飯食べて。食べ終わったら首輪付けてオレの部屋にいてね」
「…うん」
朝ご飯を食べ、言われた通り首輪を付けて貰ってから燈真の部屋に行く。
数時間もしないうちに彼女が家に来た。2人は楽しそうに談笑している。
(…寂しい。燈真も楽しそうだな、、俺といる時より。俺、わがままなのがダメだったのかな…そうだよね、、たくさん迷惑かけちゃったもん)
2人の楽しそうな声は俺の心を抉っていく。恋人が違う人(浮気相手)と談笑しているのを見て見ぬふりをするのには限界がある。
俺はその限界を自分に押し付け、更に心を抉っていく。いつまでも抜け出せない自己嫌悪は俺の精神を蝕んでいく。
(…自分を傷つけたら、少しは楽になるのかな)
精神ではなく肉体を。思い立ったが吉日、俺はのそのそと部屋を歩きまわる。
燈真はここで勉強をするから、筆箱もここにある。もしかしたら、と筆箱の中を見てみた。
(……あった)
取り出したのはカッター。カッターと言ったらやることは1つである。
リストカット。布団を汚さないようにティッシュを引き、椅子に座って右手首の内側を切る。因みに俺も燈真も左利き。
(あ…血って、こんな赤グロかったっけ)
タラ…と肘に向かって流れる血液を見て呑気にそんなことを思う。
それからは何も考えずに次から次へと自身を傷つけていった。
夢中になりすぎて、時間を忘れていた。
ガチャ
「琳冬?何して……ッ!?」
「ぁ、、燈真」
「何してるの!?血だらけじゃ…自分で切ったの?なんでそんなこと…!おいで、手当てしてあげる」
燈真に腕を心臓より高くあげられながら後をついて行く。
「まさか、琳冬がこんなことするとは思わなかったよ…」
「…ごめんなさい、、燈真、彼女は、?」
「もう帰ったよ、、はぁ…どうしてこんなことしたの?」
「……ここが、痛くて、、少しは痛くなくなるかなって、思ったの」
俺は左手で心臓の当たりを抑えながら言う。
「心臓?何か病気でもあるの?」
「んーん、ここがね、ぎゅーって締め付けられるの。俺…寂しくて、、彼女に、嫉妬してた…」
「嫉妬?……やば、めっちゃかわいい」
「ぇ…?燈真、?」
不意に力いっぱい抱きしめられ、混乱する。頭はハテナで埋め尽くされた。
「はぁあ♡♡♡愛してるよ♡琳冬♡琳冬♡♡好き♡好き好き好き好き好き好き好き好き♡♡♡」
こ、怖い…
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