子連れの界渡り

みき

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北の国〜リコルヴァ国〜

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ロ「確か・・・過去に迷い人のことを調べてた奴がいたんだが、そいつの書いた文献には“迷い人たちには共通点が3つある”と書かれてある。」

由「共通点?」

ロ「ああ。一つはこちらの世界に来る者は全員女性らしい。俺の知り合いも女だ。もう一つはこちらに来る前に何か失ったものがあり、負の感情が強かった者。」

ロルフさんの言葉に私は視線を下に向け、こちらに来る前のことを浮かべた。


夫との離婚で気落ちしていたのは確かだ。娘がいる前では気丈に振る舞っても、心の奥底では泣き叫んでいた。



ロ「最後に迷い人には女神から与えられたいんが体のどこかにあるらしい。」

由「いん?」
と私は元夫のことを考えるのをやめ、小首を傾げた。


女神からって・・・まさか本当に神さまがいるわけじゃないわよね?
女神なんて存在するの?
特別なものっていうことを表現したいだけよね?
信仰心が強い世界なのかしら?



ロ「痣みたいなやつだ。もしくは刺青いれずみみたいなもんだ。」

由「・・・子どもと遊んでできた痣はありますけど、私に刺青はありません。」


痣はたくさんあるけど、刺青なんて入れたことない。
そんなヤ○ザじゃあるまいし。


由「・・・迷い人には必ずその印というものがあるんですか?」

ロ「ああ。模様はそれぞれ違うみたいだが、必ず印というものがある。俺の知人は右手の甲に白薔薇の印があった。」
とロルフさんが言うので、私は自分の右手を裏表と見てみた。

由「・・・何もありませんね。」

ロ「印がある場所もそれぞれ違うみたいだからな。」

由「でも、今までそういったものはなかったはずなんですが、こちらの世界に来てから印ができるってことですか?」

ロ「悪いが、それは俺にもわからん。迷い人に関してはもっと詳しい奴を呼んである。明日には到着するはずだ。迷い人についてはそいつに聞いた方がいいだろう。悪いが明日まで待ってくれ。他に気になることはあるか?」
とロルフさんが言うので、先ほど気になったことを聞いてみる。


由「さっき女神からって言ってましたよね?」

ロ「ああ。」
とロルフさんが頷く。

由「こちらの世界には本当に神様って存在するんですか?それとも、ただ信仰    ロ「いや、神は存在するぞ。」」
と私の話を遮り、ロルフさんが答えた。

由「・・えっ。」

ロ「こちらの世界には神が存在する。時々、下界にも姿を現わすこともある。」

由「はい?」

またしても、非現実的な事柄に私の思考は一時停止。






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