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第81話

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エマの部屋でソファーに座り顎髭を触り「ふむふむ」と頷き。何かを言おうとしたアスロンは、周りを見回してエマに向き、目で何かを合図した。それに気づいたエマは、アスロン達を案内してきた、女性職員を仕事に戻らせた。

「あ~エミル仕事に戻って良い。ご苦労だった……それとな!今、此処で聞いた事と、この二人の事は、内密だぞ?もしバラしたら分かるよな?」

エマはニヤリとしながらそう言うと。エミルと呼ばれた女性職員は緊張しながら。


「はい!分かってます!それでは、し、失礼します」

と、足早に部屋を後にした。そしてエミルが出て行き、エマはアスロンと向き合う。

「エマ様感謝します。そうですな……報告書を見て信じられなかった部分もありましたが……実際会って確信しましたよ!エマ様が認めた程の男何ですからな!レンは間違い無くAクラス冒険者以上の実力を持っておりますな!そう思うだろ?カイデンも?」

「ああ!そうだな!実力はそうだと思うが。経験が無いから今すぐAランク冒険者には出来ないがな……」

エマは二人の言葉に納得して、うんうんと頷いていた。

「そうだろう!流石アスロンとカイデン。ちゃんと人を見る目を持っているな!私も同じ考えだった!だからとりあえずB級冒険者迄にしたんだよ!」

アスロンとカイデンは、エマに言われ微笑みニコニコしていた。

(それはそうじゃ!あの殺気とあのとてつもない魔力を持っているような男を見て。分からなければ儂は、国王などやれてないの。儂は人の本質を見て今迄生きてこれたからの)

「それはそうと?先程から気になっていたのですが。そちらの女性はもしかして?」

カイデンはレンの隣に立っていたラミアス見て。エマに問いかけてきた。エマは頷きカイデンを見た。

「やはりそうでしたか!その女性はメアリー様の娘さん出したか!良く似ている……」


それまで警戒していたラミアスは、その言葉に反応した。


「え!私のお母さんの事も知って居るのですか?」

アスロンは微笑みながら、ラミアスに顔を向けると

「それはもちろん知っておるよ!何せメアリー様も儂等の師匠の一人ですからのう……それにしても本当に良く似ておりますな」

アスロンはとラミアスを見つめると、ふと何かに気づき声を出したのだ。

「まさか?封印を解いたのですか?」

すると、エマがアスロンにこれまでの経緯を話したのだった。

「なる程!そんな事があったのですね!なる程なる程。ですから先程の気配を消しての、攻撃が出来たと言う事ですな!それは凄いですな!今まで闇属性の魔法に関しては、あまり知られていませんでしたからな。それを儂自身で体験出来るとは……それはよかったのぅあははは♪」

アスロンは自分が殺されかけたのに、そんな事さえも忘れて笑っていた。


(オイオイ?このおっさん大丈夫か?自分が殺されそうになったのに喜んでいるよ……)

そうして暫くエマの部屋で雑談していたら、フラウがアスロンに訪ねた。

「そう言えばあなた方お二人は、ここまで兵士も連れないで来たのですか?」

「ええそうですよ!フラウ様!何せ勝手に出てきましたからのう♪」

アスロンがそう言うとフラウは呆れた顔で

「一国の王様と、ギルド委員長がそんな事して、どうするのですか!自分の立場を考えなさい!」

フラウはアスロンとカイデンに説教をした。それを見ていたレンはやっぱりフラウは、怒ると怖いと再確認をした。

(流石フラウ……相手が王様でも関係ないな……)

「するともしかして?お前たち二人はここまで……」

「はい!」

エマがアスロン達に話していると、話し終える前にカイデンが返事をしてニヤニヤしていた」


その顔で確信したエマが突然立ち上がり。カイデンに言うのであった。

「カイデン!直ぐ会わせてくれ♪」

そう言われたカイデンは、そう言われると思っていた顔で頷きエマに応えた。

「はい!エマ様!……ただ、ここでは流石に不味いので、町の外に行きましょう!」

カイデンがエマにそう言うと、エマは上機嫌でレンの腕を取り部屋を出て行こうとした。

「なっ!なんだ?エマ?突然どうしたんだ?」

「ああ良いから外に行こう♪良い物が見れるぞ♪」

レンは訳も分からず、エマに引っ張られ。ジークの町の外に連れていかれたのであった。しかもその姿を見ていたギルドに残って居た者達は、更に泣き崩れる者もいた。



門番をしていたブライは、突然ギルドマスターのエマが来たので。慌てて駆け寄りエマに訪ねてきた。

「エマ様!何かありましたか?」

「ああ気にするな!暫くこの場所を借りるぞ!」

そうエマに言われたブライは、何の事か分からず。エマに引っ張られてるレンを見ると、レンも分からないので首を左右に振っていた。

「はぁよろしいですよ?」


するとエマはカイデンに目を向けて、カイデンも気づき人差し指と親指で輪っかを作り。それを口に咥えて音を出した。

「ピィ~ピィ~」

すると。森の奥から体長三メートル程のドラゴンが飛んできた。それを見たブライ達は慌てていた。

「うわぁー!ど、ドラゴンだ!」
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