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5] 魔道士団長
しおりを挟む「【深淵の森】で大きな魔力が揺らいでいる?」
私がその報告を受けたのは、昼食を終え、午後の業務に戻って来た時だった。
私の名は、メリエール=ギュンターク
ここ、ケンウッド皇国の魔道士団団長である。
国境にある【深淵の森】の変化は、我が国にとって見過ごせない案件である。
それ故、【深淵の森】を常に監視しているのだが…
「【深淵の森】の監視塔から連絡があって、魔獣の移動が激しくなっているようです。しかも、Lv50以上の上級魔獣、おそらく白虎と思われます!更に、湖に住むドラゴンの移動も確認されています!」
「はぁ?何だソレ?」
ドラゴンが移動するなんて一体どう言うことだ?
あれは、自分の力を十分 理解している。
無闇に動けばどうなるか、わかっている筈なのに…
【深淵の森】で一体何が起きているんだ?!
「大至急 陛下に会う。謁見の申請をしてくれ。取りあえず私は第二騎士団のロイド殿下の所へ行って来る!陛下の謁見許可が出たらすぐに知らせてくれ!」
部下が陛下の下へ向かうと、私はすぐにロイド殿下の下へ向かった。
【深淵の森】は我が国と隣接している為、【深淵の森】で何かが起これば、ケンウッド皇国も無事では済まない。
「ドラゴンが動くなんて、一体【深淵の森】で何が起こっているんだ?!」
ロイド殿下の執務室に着くと、私は護衛騎士にすぐに会いたいと面会を要求した。
幸い、ロイド殿下は執務室に在席していて、すぐに会う事が出来た。
「どうした?ギュンターク、急用か?」
「ロイド殿下、急ぎますので挨拶は はぶきます。【深淵の森】の監視塔から連絡があって、上級魔獣の魔力が異常に揺れている事、そしてドラゴンが移動していると報告がありました!」
「ドラゴンが?!…」
驚いて立ち上がるロイド殿下に私は更に続ける。
「【深淵の森】で今、何が起こっているのかはまだ不明ですが、もしかしたら新たなダンジョンの出現か、スタンピートが起こる可能性も考えられます。すぐにでも調査に出たいと思います。既に陛下には謁見の申請を出しました。受理され次第、こちらに連絡が来るかと思います。」
しばらくすると、
「ロイド殿下、ギュンターク団長、陛下より執務室に来るようにと連絡がございました。」
「わかった、すぐに向かう。」
私達はロイド殿下の側近ジュリアスの先導で陛下の執務室へ向かった。
「魔獣の動きがおかしいと聞いたが、どう言う事か?」
陛下の問いにロイド殿下が答える。
「はい、監視塔からの報告ですと、上級魔獣の魔力の揺らぎ、そして、1か所に多くの魔獣が集結した事、更にドラゴンの移動です。」
「ドラゴンが?それは本当か?」
「はい、我々は常に【深淵の森】の主であるドラゴンを監視しております。この3日程、住処の湖から移動して、マルコシアス帝国側に出かけたようです。その後は又、住処に戻ったようですが、何の為に湖から離れたのか解りません。そして、その付近で上級魔獣、おそらく白虎が多くの魔獣を集めていた事も確認されております。原因究明の為、魔導士団、魔物討伐団、そして、ロイド殿下の第二騎士団の派遣をお許し願います。」
「わかった、大至急原因を突き止めるように。準備が出来次第、出発してくれ。転移陣の使用を許可する。」
「ありがとうございます。では準備がありますので御前失礼致します。」
「ロイド、お前も行くのか?」
その時、陛下が心配そうに殿下に声をかけた。
「はい。第二騎士団を指揮しないといけませんので…」
「お前は私の大切な後継者だ、決して無茶なマネはしないように。気をつけて行くのだぞ。」
「ご心配ありがとうございます父上。行ってまいります。」
「陛下、ロイド殿下の御身は我らが命をかけてもお守りいたします。どうぞご安心を。」
「頼んだぞ、ギュンターク。」
「御意。」
そうして、私達は精鋭を引き連れ【深淵の森】に向けて出発した。
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