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レオとレミィ
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5才の誕生日、お父様のお友達の息子 レオを紹介された。
その日は私の誕生パーティーで、みんなからの お祝いの言葉と、プレゼントに囲まれて、お気に入りのドレスを着て、お気に入りのピンクのリボンを頭に結んでもらって、私はとってもごきげんだった。
いつも来る お父様のお友達、ヴィトゲンシュタイン公爵様(いつもは おじ様と呼ばせていただいている)は 今日は 私と同じ年くらいの男の子を連れていた。
おじ様と同じ少し青味がかった銀の髪に薄い水色の瞳の彼は、とってもきれいな顔をした男の子だった。
あんまりきれいなので、私は しばらくぽか~んと見とれてしまったわ。
彼も少し緊張してたみたいで、強張っていた顔が、私を見た瞬間に 驚いたように目を見開いて、固まってしまったの。その後ちょっとマヌケな顔に変わったのを見て、思わず クスクスと笑ってしまったわ。
私に笑われて恥ずかしかったのか、少しぶすっとしながら、自己紹介してくれた。
レオナルド-ヴィトゲンシュタイン
筆頭公爵家の次男で、私と同じ5才だと言った。
私も習いたてのカーテシーをして、彼に挨拶した。
「レミリア-オースティンです。よろしくお願いいたします。レオナルド様」
「レオでいい。」恥ずかしそうに、ちょっと目をそらしてそう言った。
「レオ様?」
「ただのレオでいい、様はいらないよ。ついでに敬語もいらない。」
「なら、私の事も、レミィと呼んでくれる?」
「うん。レミィ 今日から友達だ…」
「うん!レオ、よろしくね。」
そうして、私達は とっても仲の良いお友達になった。
会うたび 手をつないで、屋敷の中や外を探検したり、一緒に勉強したり、時には馬車に乗ってピクニックに行ったりした。
お互いの領地も行き来して、お互いの誕生日にはパーティーを開いて、プレゼントを贈りあった。
3つ年上のレオのお兄様、ライ兄様が10才の時、家柄の合う侯爵家の令嬢と婚約した。婚約発表のパーティーで楽しそうに 二人仲良く並んでいるのを見て、自分達も婚約したいと、お父様達にダダをこねた。
「10才になるまで 君達の気持ちが変らなかったら 婚約させてあげよう」そう お父様達が約束してくれた。
嬉しくて レオは、私の唇に約束のキスをしようとして、おじ様と、お父様に「まだ 早い!!」そう言って止められてしまった。
仕方なく、レオは 私のほっぺに「チュッ!」と約束のキスをしてくれた。
私もレオのほっぺに「約束ね♡」そう言ってキスを返した。
約束のキスを交わす二人に周囲の暖かい視線が集まっていた。
私達はお互いの家を行き来して 一緒に遊んで、一緒に勉強して、レオと二人スクスクと大きくなった。
10才の時、お父様は約束どうり、私達を婚約させてくれた。
盛大な婚約式を開いて、お披露目をした。
レオがまたしても、私の唇を奪おうとして、お義父様(未来のね。まだそう呼ぶのは早いかしら?)に「まだ早い!!」と、襟首を引っ張られて怒られていた。
ブツブツと不満をこぼしながらレオは私の頬に誓いのキスをくれた。
私もレオの頬にキスを返す。小さな金の指輪を交換してお互いの薬指に はめる。二人共ほんのり顔を赤くしたまま みんなの祝福を受けた。
うれしかった。これからもずっとずっと、大好きなレオと一緒にいられる。そう思うと、嬉しくて嬉しくて、天にも昇りそうなくらい幸せだった。
後から レオがとても 一生懸命私と結婚したいと、お父様方達に言ってくれていたと聞いた。みんなの前で バラされて、レオは真っ赤な顔をして、お義父様に怒っていた。
私はレオの気持ちを聞いて もっともっと嬉しくなった。
15才になって、二人揃って学園に入学した。
毎朝 同じ馬車に乗って登校する。一緒に登校したいからと言って 毎朝レオが私を迎えに来てくれるのだ。とっても嬉しい!
同じAクラスになって、机を並べて一緒に勉強して、昼休みには一緒に食堂で食事をして、帰りも同じ馬車に乗って、一緒に帰る。男子と女子で別れてしまう 選択授業以外はいつも一緒にいた。1日のほとんどを一緒に過ごす事が出来て毎日がとっても楽しくて、嬉しかった。
周りは、私達の事を「ベストカップル」とか「理想の二人」とか噂していた。恥ずかしいけれど、そう思ってもらえるのはとっても嬉しかった。
レオはとってもカッコ良くて、学園でも 御令嬢達にとってもモテていた。いつも一緒にいる私に、いじわるしてくる人も時々いたけれど、そんな御令嬢達にレオはとっても冷たくて「氷の公爵令息」なんて呼ばれてた。そして私は 一部の男の子達にその氷を溶かす「春の女神」なんて囁かれて、とっても恥ずかしい…
ホントに女神だなんて、とーっても恥ずかしいです…
2年になって、私達は二人揃って生徒会に入る事になった。成績上位者は、みんな生徒会に入る事が慣例になっているそうだ。私達は今年入学してくる第一王女ヴァレンティア様の世話係を受ける事になった。
年が近い事と、私達が公爵家の者だと言う事が決め手になったらしい。
学園では王女の側近のような事をする事になった。
入学式で王女を案内するために入口に控える。
初めて見た王女はミルクティーのような薄い茶色の髪に、金茶の瞳をした 意志の強そうな顔をした女の子だった。
レオを見て、目を見張り、あからさまにレオに摺り寄った。(王族の彼女がそんなはしたない事、するわけがない)と思いながらも、いきなりレオの腕を取ろうとする王女に 驚いてしまった。レオは不敬にならないよう やんわりと 王女の腕を退けていたけれど、胸騒ぎがする。
嫌な予感がまとわりついて私の頭から離れない。
そして、その時に感じた嫌な予感は的中する事になる。王女の入学から3ヶ月、いきなり 王命で私達の婚約は白紙にされた。
私達の地獄のような日々の始まりだった。
その日は私の誕生パーティーで、みんなからの お祝いの言葉と、プレゼントに囲まれて、お気に入りのドレスを着て、お気に入りのピンクのリボンを頭に結んでもらって、私はとってもごきげんだった。
いつも来る お父様のお友達、ヴィトゲンシュタイン公爵様(いつもは おじ様と呼ばせていただいている)は 今日は 私と同じ年くらいの男の子を連れていた。
おじ様と同じ少し青味がかった銀の髪に薄い水色の瞳の彼は、とってもきれいな顔をした男の子だった。
あんまりきれいなので、私は しばらくぽか~んと見とれてしまったわ。
彼も少し緊張してたみたいで、強張っていた顔が、私を見た瞬間に 驚いたように目を見開いて、固まってしまったの。その後ちょっとマヌケな顔に変わったのを見て、思わず クスクスと笑ってしまったわ。
私に笑われて恥ずかしかったのか、少しぶすっとしながら、自己紹介してくれた。
レオナルド-ヴィトゲンシュタイン
筆頭公爵家の次男で、私と同じ5才だと言った。
私も習いたてのカーテシーをして、彼に挨拶した。
「レミリア-オースティンです。よろしくお願いいたします。レオナルド様」
「レオでいい。」恥ずかしそうに、ちょっと目をそらしてそう言った。
「レオ様?」
「ただのレオでいい、様はいらないよ。ついでに敬語もいらない。」
「なら、私の事も、レミィと呼んでくれる?」
「うん。レミィ 今日から友達だ…」
「うん!レオ、よろしくね。」
そうして、私達は とっても仲の良いお友達になった。
会うたび 手をつないで、屋敷の中や外を探検したり、一緒に勉強したり、時には馬車に乗ってピクニックに行ったりした。
お互いの領地も行き来して、お互いの誕生日にはパーティーを開いて、プレゼントを贈りあった。
3つ年上のレオのお兄様、ライ兄様が10才の時、家柄の合う侯爵家の令嬢と婚約した。婚約発表のパーティーで楽しそうに 二人仲良く並んでいるのを見て、自分達も婚約したいと、お父様達にダダをこねた。
「10才になるまで 君達の気持ちが変らなかったら 婚約させてあげよう」そう お父様達が約束してくれた。
嬉しくて レオは、私の唇に約束のキスをしようとして、おじ様と、お父様に「まだ 早い!!」そう言って止められてしまった。
仕方なく、レオは 私のほっぺに「チュッ!」と約束のキスをしてくれた。
私もレオのほっぺに「約束ね♡」そう言ってキスを返した。
約束のキスを交わす二人に周囲の暖かい視線が集まっていた。
私達はお互いの家を行き来して 一緒に遊んで、一緒に勉強して、レオと二人スクスクと大きくなった。
10才の時、お父様は約束どうり、私達を婚約させてくれた。
盛大な婚約式を開いて、お披露目をした。
レオがまたしても、私の唇を奪おうとして、お義父様(未来のね。まだそう呼ぶのは早いかしら?)に「まだ早い!!」と、襟首を引っ張られて怒られていた。
ブツブツと不満をこぼしながらレオは私の頬に誓いのキスをくれた。
私もレオの頬にキスを返す。小さな金の指輪を交換してお互いの薬指に はめる。二人共ほんのり顔を赤くしたまま みんなの祝福を受けた。
うれしかった。これからもずっとずっと、大好きなレオと一緒にいられる。そう思うと、嬉しくて嬉しくて、天にも昇りそうなくらい幸せだった。
後から レオがとても 一生懸命私と結婚したいと、お父様方達に言ってくれていたと聞いた。みんなの前で バラされて、レオは真っ赤な顔をして、お義父様に怒っていた。
私はレオの気持ちを聞いて もっともっと嬉しくなった。
15才になって、二人揃って学園に入学した。
毎朝 同じ馬車に乗って登校する。一緒に登校したいからと言って 毎朝レオが私を迎えに来てくれるのだ。とっても嬉しい!
同じAクラスになって、机を並べて一緒に勉強して、昼休みには一緒に食堂で食事をして、帰りも同じ馬車に乗って、一緒に帰る。男子と女子で別れてしまう 選択授業以外はいつも一緒にいた。1日のほとんどを一緒に過ごす事が出来て毎日がとっても楽しくて、嬉しかった。
周りは、私達の事を「ベストカップル」とか「理想の二人」とか噂していた。恥ずかしいけれど、そう思ってもらえるのはとっても嬉しかった。
レオはとってもカッコ良くて、学園でも 御令嬢達にとってもモテていた。いつも一緒にいる私に、いじわるしてくる人も時々いたけれど、そんな御令嬢達にレオはとっても冷たくて「氷の公爵令息」なんて呼ばれてた。そして私は 一部の男の子達にその氷を溶かす「春の女神」なんて囁かれて、とっても恥ずかしい…
ホントに女神だなんて、とーっても恥ずかしいです…
2年になって、私達は二人揃って生徒会に入る事になった。成績上位者は、みんな生徒会に入る事が慣例になっているそうだ。私達は今年入学してくる第一王女ヴァレンティア様の世話係を受ける事になった。
年が近い事と、私達が公爵家の者だと言う事が決め手になったらしい。
学園では王女の側近のような事をする事になった。
入学式で王女を案内するために入口に控える。
初めて見た王女はミルクティーのような薄い茶色の髪に、金茶の瞳をした 意志の強そうな顔をした女の子だった。
レオを見て、目を見張り、あからさまにレオに摺り寄った。(王族の彼女がそんなはしたない事、するわけがない)と思いながらも、いきなりレオの腕を取ろうとする王女に 驚いてしまった。レオは不敬にならないよう やんわりと 王女の腕を退けていたけれど、胸騒ぎがする。
嫌な予感がまとわりついて私の頭から離れない。
そして、その時に感じた嫌な予感は的中する事になる。王女の入学から3ヶ月、いきなり 王命で私達の婚約は白紙にされた。
私達の地獄のような日々の始まりだった。
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