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「政略結婚」(S ユリアーナ)
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「結婚?!私がですか?」
あまりの話に声が裏返ってしまった。
執務室に呼び出され、来てみれば
王である父が結婚話を持って来たのです。
お相手は大国リンデールの王太子殿下、アルベルト-リンデール様26歳、確か学園に通っていらした10年前に長年の婚約者でいらした公爵令嬢との婚約を勝手に破棄し、平民上がりの男爵の娘を妃に迎えると宣言した あの曰くつきの王太子ですよね。聞いた話によると 元婚約者の公爵令嬢はその座を守る為学園において 次から次へと現れるライバルの御令嬢達に対してとんでもない悪女っぷりを発揮していらしたようで、王太子殿下との関係は決して良好なものではなかったようです。
そんな時現れたのが 平民だった侍女との間に生まれた子供、殿下の想い人でした。魔力持ちだった為 正式に引き取られ、男爵令嬢として学園に編入してきた少女は その愛らしい容姿と物怖じしない性格であっと言う間に 王太子殿下の心を掴み、恋人の座を手に入れたのです。そして 学園の最大のイベントである卒業パーティーの場で殿下は 公爵令嬢に婚約破棄を突き付け断罪したそうです。罪状は殿下の最愛である男爵令嬢に対する殺人未遂、多くの令嬢に対する嫌がらせ、誹謗、中傷、数え上げれば切りが無いほどの罪を犯していたようです。ですが、公爵令嬢は最後まで罪を認める事は無かったそうです。婚約はそのまま破棄され 令嬢は北の果ての修道院に送られ 生涯幽閉となりました。そして 同じその場で男爵令嬢との婚約を宣言されたのです。ところがその後行われた王太子候補選定検査で妊娠が発覚!彼女は王太子殿下以外の男性との不儀が露見し 王族を謀った罪で お腹の子諸共処刑されました。父親が誰か調査されましたが、相手が複数いたためその特定が出来ませんでした。当時稀に見るスキャンダルで 王都を震撼させた王太子それが アルベルト-リンデールでした。兎に角女運が悪い事で有名な王太子殿下ですが、3度目の御相手が私?こんな陰気な闇属性で常に魔力過多のせいでフラフラしていて「呪われた王女」「暗黒王女」なんて呼ばれている私がですか?なんだかあまりの女性運の無さに同情してしまいます。「あの…お父様、この縁組断ると言うことは…」「それは難しいな、何と言っても向こうは大国、リンデールを敵に回したく無いと言うのが本当のところだ。もちろん嫌がるユーリを無理に嫁にやったりはしたくない。」そう言ってお父様は俯いてしまわれました。兄様や宰相も黙って私の返事を待っています。どうやら これはもう決定事項のようです。逃げられません。「わかりました。参ります。」執務室の空気がほっと和らいだような気がします。「ユーリ 確かにアルベルト殿下の評判はあまり良くなかった。でも あれ以降悪い噂は全く無い。元々彼はとても立派な方だったから、きっとユーリの事も理解してくれると思うよ。」「兄様…」
兄様は今年25歳、アルベルト殿下とは一つ違いで、何度か交流があったそうです。
「姫様、あちらはここと違って魔力を持つ者も多く 姫様の膨大な魔力もありがたく思えども 嫌われることはないと思います。ほぼ全ての貴族は魔力が有って当たり前という国ですから。」宰相が私の属性を気遣って声を掛けてくれる。小さな頃から良く面倒を見てくれて、私を恐れない貴重な人です。確かにリンデールでは魔力が有るのが当たり前だと聞きます。私のこの闇属性もあちらでなら 嫌われることも無いのかもしれませんね 少し希望が湧きました。
そして、二ヶ月後 私は王太子妃としてリンデールに向かうことになりました。
そう 婚約期間はありませんでした。あちらに着いてすぐに 婚姻の調印を行うそうです。見たこともない方との結婚…大丈夫でしょうか? 私… どうかアルベルト殿下が恐ろしい方ではありませんように…そう願うしかなかった。
あまりの話に声が裏返ってしまった。
執務室に呼び出され、来てみれば
王である父が結婚話を持って来たのです。
お相手は大国リンデールの王太子殿下、アルベルト-リンデール様26歳、確か学園に通っていらした10年前に長年の婚約者でいらした公爵令嬢との婚約を勝手に破棄し、平民上がりの男爵の娘を妃に迎えると宣言した あの曰くつきの王太子ですよね。聞いた話によると 元婚約者の公爵令嬢はその座を守る為学園において 次から次へと現れるライバルの御令嬢達に対してとんでもない悪女っぷりを発揮していらしたようで、王太子殿下との関係は決して良好なものではなかったようです。
そんな時現れたのが 平民だった侍女との間に生まれた子供、殿下の想い人でした。魔力持ちだった為 正式に引き取られ、男爵令嬢として学園に編入してきた少女は その愛らしい容姿と物怖じしない性格であっと言う間に 王太子殿下の心を掴み、恋人の座を手に入れたのです。そして 学園の最大のイベントである卒業パーティーの場で殿下は 公爵令嬢に婚約破棄を突き付け断罪したそうです。罪状は殿下の最愛である男爵令嬢に対する殺人未遂、多くの令嬢に対する嫌がらせ、誹謗、中傷、数え上げれば切りが無いほどの罪を犯していたようです。ですが、公爵令嬢は最後まで罪を認める事は無かったそうです。婚約はそのまま破棄され 令嬢は北の果ての修道院に送られ 生涯幽閉となりました。そして 同じその場で男爵令嬢との婚約を宣言されたのです。ところがその後行われた王太子候補選定検査で妊娠が発覚!彼女は王太子殿下以外の男性との不儀が露見し 王族を謀った罪で お腹の子諸共処刑されました。父親が誰か調査されましたが、相手が複数いたためその特定が出来ませんでした。当時稀に見るスキャンダルで 王都を震撼させた王太子それが アルベルト-リンデールでした。兎に角女運が悪い事で有名な王太子殿下ですが、3度目の御相手が私?こんな陰気な闇属性で常に魔力過多のせいでフラフラしていて「呪われた王女」「暗黒王女」なんて呼ばれている私がですか?なんだかあまりの女性運の無さに同情してしまいます。「あの…お父様、この縁組断ると言うことは…」「それは難しいな、何と言っても向こうは大国、リンデールを敵に回したく無いと言うのが本当のところだ。もちろん嫌がるユーリを無理に嫁にやったりはしたくない。」そう言ってお父様は俯いてしまわれました。兄様や宰相も黙って私の返事を待っています。どうやら これはもう決定事項のようです。逃げられません。「わかりました。参ります。」執務室の空気がほっと和らいだような気がします。「ユーリ 確かにアルベルト殿下の評判はあまり良くなかった。でも あれ以降悪い噂は全く無い。元々彼はとても立派な方だったから、きっとユーリの事も理解してくれると思うよ。」「兄様…」
兄様は今年25歳、アルベルト殿下とは一つ違いで、何度か交流があったそうです。
「姫様、あちらはここと違って魔力を持つ者も多く 姫様の膨大な魔力もありがたく思えども 嫌われることはないと思います。ほぼ全ての貴族は魔力が有って当たり前という国ですから。」宰相が私の属性を気遣って声を掛けてくれる。小さな頃から良く面倒を見てくれて、私を恐れない貴重な人です。確かにリンデールでは魔力が有るのが当たり前だと聞きます。私のこの闇属性もあちらでなら 嫌われることも無いのかもしれませんね 少し希望が湧きました。
そして、二ヶ月後 私は王太子妃としてリンデールに向かうことになりました。
そう 婚約期間はありませんでした。あちらに着いてすぐに 婚姻の調印を行うそうです。見たこともない方との結婚…大丈夫でしょうか? 私… どうかアルベルト殿下が恐ろしい方ではありませんように…そう願うしかなかった。
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