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7、剛武
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亜梨沙って、ホントにバカなことするよね。
そんな言葉を、これまでの人生で何度も聞いてきた。
肉体を潰される苦痛と息苦しさで、遠のく意識のなか。四方堂亜梨沙は、過去の情景を思い出していた。台詞の主はひとりではなく、複数。要するに、何人もの相手に似たような言葉を掛けられてきたということだ。
おせっかいというか、世話好きというか。見かけによらず、お人好しなのよね。
学校の成績からすると、バカと言われても否定しにくいが、いかにも甘ちゃんのような言われ方をされるとムッとせずにはいられない。
幼少のころより鍛練を課せられ、自分が闘う宿命を背負って生まれた身であることは、覚悟したつもりだ。それ相応の厳しさも、持っている自負がある。
だからいかにも頼りない、ひょろっとした体躯の少年を助けたのも、亜梨沙は当然のことだと思っていた。自分以外の誰でも、他のオメガスレイヤーたちも、絶対助けるに決まっている。決して亜梨沙が甘いからとか、お人好しのせいではない。
なにも出来ない、弱そうな年下クンが、会ったばかりのアリサを助けようとしたのよ?
なにがあっても守ってやるには、十分すぎる理由じゃない。
助けるべきひとを助けられないなら・・・なんのためのオメガスレイヤーか、わけわかんないわ。
「グハハッ・・・! ただでさえ細い身体が、ペラペラになってきたな? このままだと全部の臓器がペシャンコになるぜェ、オメガカルラよ」
耳元で囁く野太い声に、亜梨沙の意識が現実に戻される。
目の前には、ニヤついた男の顔と、肉の壁。
元相撲取りらしき巨漢に圧迫され、亜梨沙の体内で骨がゴリゴリと鳴っていた。少しでも油断すると、胃の中身がすべて逆流してしまいそうだ。
「やれるもんなら・・・やってみなさいよっ・・・!! 変身できなくても、オメガスレイヤーに選ばれた者のタフさ、舐めないでよね・・・」
傍らで、〝妄執”の縛姫に捕まった少年が、泣きそうな顔で見つめてくる。
ホントにバカね。あんたは、自分が逃げることだけ考えなさいよ。
首から提げられた緑の鉱石・・・〝オーヴ”の効力が想像以上であることを、亜梨沙は思い知っていた。見えない手で握り絞められているように、心臓と肺が苦しい。リングの形をしたオメガストーンからも、風属性のオメガ粒子がどんどんと減っていくのがわかる。
しかも〝跳弾”の異名をもつこの妖化屍は、少々の風で斬りつけても効果がなかった。
分厚いゴムのような肉で覆われているため、血管にも内臓にも風の刃が届かないのだ。オメガカルラの全力を出せればともかく、今の状況では勝ち目はない。
自分のことは見捨ていいから、健人だけは助かって欲しい。それが本心からの、亜梨沙の願いだった。
「そうかい。じゃあそろそろ、本気出させてもらうぜェッ・・・!」
「本・・・気・・・っ!?」
唇をゆがめる〝跳弾”の剛武に、思わず亜梨沙の声が震える。
「ゴムの性質を持つオレの身体、その恐ろしさを萌黄の風天使に知ってもらおうじゃねえか」
目の前に差し出された巨漢の右腕を見て、亜梨沙は息を呑んだ。
バネのように、螺旋に渦巻き、縮んでいる。
凄まじい弾力で、強烈な一撃が発射されるのは確実だった。その剛武の右拳が、ピタリと亜梨沙の側面・・・左の脇腹に当てられる。
「うっ!? ・・・くぅ”っ・・・!! や、やめっ・・・!!」
「縦から圧迫されているところを、脆いアバラに横からの打撃だ。こいつはキツイぜェ」
ドキャアアアアッッ!!!
白い制服のシャツから覗く、うっすらと筋が浮かんだ横腹に。
巨漢の拳が容赦なく撃ち込まれる。至近距離から大砲を放つ一撃が、グシャリと亜梨沙の肋骨を砕く。
「うぐう”ぅ”っ――っ!! ・・・ゥ”っ・・・!! ・・・ぐうぅ”・・・っ!!」
「よく悲鳴を抑えたじゃねえか。だが、〝跳弾”って異名の意味がすぐわかるぜ」
撃ち込まれた右拳が、亜梨沙の脇腹から戻される。それは剛武が引き抜いた、というより、自然に反動で弾んだという感じ。
その引き戻された右腕が、再びバネのように収縮していく。
弾む力をため込んだ拳は、またも亜梨沙のアバラに向かって射出された。ゴム製のスプリングで飛ばされたパンチは、寸分違わず、先程と同じ場所に着弾する。
ズボオオオオォォッ!!!
「んぐう”ぅ”っ!! んん”っ――っ・・・!! がはアっ、あぁ”っ・・・!!」
「グハハハッ!! オレが気の済むまでほぼ永遠に、拳を撃ち込めるってわけだ」
ドドドッッ!! ドドッ!! ドドドドボオオッッ!!!
撃っては戻り、戻っては撃ち込む。ゴムの弾力を利用した、連続パンチ。
これではまるで、バズーカ砲をマシンガンのように一箇所に乱射するようなものであった。
スプリングで加速しているため、打撃は速く、鋭かった。しかも一瞬のうちに、何十発という単位で連続で撃ち込まれるのだ。
(ぐああ”っ、あああ”っ――ッ!! ろ、肋骨っ・・・が!! うあああ”っ、折れた骨が内臓に・・・刺さるっ!! ぐ、ぐちゃぐちゃにっ・・・されるっ!!)
「ア”っ・・・!! ぅあ”っ・・・!! ぐぶぅ”っ――っ・・・!!」
「ア、アリサッ・・・さん・・・ッ!!」
かろうじて絶叫を堪える亜梨沙の口から、鮮血の飛沫が細かく舞う。
深刻なダメージを受けていることは、健人にも伝わったようだった。思わず近づこうとする少年を、縛姫のオレンジ髪が引き留める。
「フハハッ・・・脆いな、オメガカルラ。左のアバラは全部砕けちまったぜ? じゃあ次は正面からだ」
「かふっ・・・!! ァ”っ・・・!! アア”っ、やめ・・・ろっ・・・!!」
苦悶するポニーテール少女の声を、力士体型の妖化屍は無視する。
相変わらず身体全体を密着させているのに、とぐろを巻いた右腕が強引に、肌と肌の間に割り込んできた。これも柔軟性に富むゴムならではできる荒業だろう。
剛武の拳が腹部の中央に当てられる。亜梨沙の鳩尾に。
ゴリュッ!! ギャルルルルルッッ!!! ドオオオォッ!!
はじめ亜梨沙は、自分のお腹がドリルで抉られているのかと錯覚した。
実際に抉っていたのは、剛武の右拳だった。螺旋を描いて捻じられた腕が、一気に戻って旋回しているのだ。
元々骨が軋むほど圧迫されている亜梨沙にとって、そのうえで突き刺さる拳のドリルは、直接内臓に響いた。ギュリギュリと、胃も腸も捻じられるのがわかる。
しかも先程の脇腹への猛打で、亜梨沙の腹部には砕けた肋骨の破片が散乱している。
ドリルで掻き回されたアバラの破片が、ブスブスと内部で刺さっていく。
「ぐあア”っ!! あァ”っ!! ア、アア”っ・・・っ・・・!! ァ”っ・・・!!」
「ホホホッ!! 苦しかったらもっと大声で叫ぶがいい、オメガカルラ・・・そんなにビクビクと悶え踊っているじゃないか!」
宙に浮いた亜梨沙の両脚が、バタバタと空を蹴った。
マスクに表情は隠れていても、〝妄執”の縛姫が笑っているのは眼だけでハッキリとわかった。亜梨沙がなにもできずに破壊されていく様子を、六道妖のひとり・人妖である女妖魔は愉しんでいるのだ。
「グフフッ・・・!! ミンチになれッ、オメガカルラッ!!」
小さく、しかし鋭い剛武の声が、亜梨沙の耳元で吐き捨てられる。
その瞬間、〝跳弾”の胸から太鼓腹にかけて・・・制服少女に密着している面が、荒れ狂う海原のごとく激しく波打つ。
これもゴムならではの特性であった。
極端に凹凸する肉が、電車の壁とにサンドイッチされた亜梨沙を、グシャグシャと圧縮する。さらには細かな震動までが、スレンダーな肢体に容赦なく注がれる。
ブウウゥゥンンンッ・・・!! ゴリゴリッ!! ブチブチブチッ!! グチャアァッ!!
「はぁぐぅ”っ!!? ぅ”ぶっ!! ・・・ぁ”っ、あがあ”っ!! ・・・ぐふぅ”っ――っ・・・!!」
なんとか悲鳴を抑える亜梨沙の口から、ブシュッ、と血の塊が飛び出す。浴衣からはだけた剛武の胸元に、バチャリと降りかかる。
ポニーテールを振り乱し、少女の頭部がガクガクと前後に揺れた。全身を潰される拷問に、亜梨沙は悶えることしかできない。
ゴビュッ!! ・・・・・・ブシュッ!! ・・・・・・グブッ!! ・・・・・・
膨れ上がった巨体が波打つたびに、搾り取られるように亜梨沙の口から赤い液体が溢れる。
華奢な女子高生が、押し潰されて鮮血を吐く・・・そんな凄惨な光景が、満員電車の片隅で繰り広げられている。だが車内をギュウギュウに詰めた人々は、誰も惨劇に気付いていなかった。相撲取りのような肉の壁が、世間一般とオメガスレイヤーの処刑場を隔てている。
(あああ”あ”っ――っ!!! む、胸っ・・・も・・・っ!! お腹、もっ・・・!! 潰れぇ”っ・・・ア、アリサの・・・カラダ、がっ・・・!!)
くたりと強気な少女の顔が垂れ、剛武の胸にもたれかかった。
表情は険しいままでも、亜梨沙の瞳はすでに焦点が合っていなかった。半開きの唇からは、ツツ、と血の糸が流れ続けている。
そんな言葉を、これまでの人生で何度も聞いてきた。
肉体を潰される苦痛と息苦しさで、遠のく意識のなか。四方堂亜梨沙は、過去の情景を思い出していた。台詞の主はひとりではなく、複数。要するに、何人もの相手に似たような言葉を掛けられてきたということだ。
おせっかいというか、世話好きというか。見かけによらず、お人好しなのよね。
学校の成績からすると、バカと言われても否定しにくいが、いかにも甘ちゃんのような言われ方をされるとムッとせずにはいられない。
幼少のころより鍛練を課せられ、自分が闘う宿命を背負って生まれた身であることは、覚悟したつもりだ。それ相応の厳しさも、持っている自負がある。
だからいかにも頼りない、ひょろっとした体躯の少年を助けたのも、亜梨沙は当然のことだと思っていた。自分以外の誰でも、他のオメガスレイヤーたちも、絶対助けるに決まっている。決して亜梨沙が甘いからとか、お人好しのせいではない。
なにも出来ない、弱そうな年下クンが、会ったばかりのアリサを助けようとしたのよ?
なにがあっても守ってやるには、十分すぎる理由じゃない。
助けるべきひとを助けられないなら・・・なんのためのオメガスレイヤーか、わけわかんないわ。
「グハハッ・・・! ただでさえ細い身体が、ペラペラになってきたな? このままだと全部の臓器がペシャンコになるぜェ、オメガカルラよ」
耳元で囁く野太い声に、亜梨沙の意識が現実に戻される。
目の前には、ニヤついた男の顔と、肉の壁。
元相撲取りらしき巨漢に圧迫され、亜梨沙の体内で骨がゴリゴリと鳴っていた。少しでも油断すると、胃の中身がすべて逆流してしまいそうだ。
「やれるもんなら・・・やってみなさいよっ・・・!! 変身できなくても、オメガスレイヤーに選ばれた者のタフさ、舐めないでよね・・・」
傍らで、〝妄執”の縛姫に捕まった少年が、泣きそうな顔で見つめてくる。
ホントにバカね。あんたは、自分が逃げることだけ考えなさいよ。
首から提げられた緑の鉱石・・・〝オーヴ”の効力が想像以上であることを、亜梨沙は思い知っていた。見えない手で握り絞められているように、心臓と肺が苦しい。リングの形をしたオメガストーンからも、風属性のオメガ粒子がどんどんと減っていくのがわかる。
しかも〝跳弾”の異名をもつこの妖化屍は、少々の風で斬りつけても効果がなかった。
分厚いゴムのような肉で覆われているため、血管にも内臓にも風の刃が届かないのだ。オメガカルラの全力を出せればともかく、今の状況では勝ち目はない。
自分のことは見捨ていいから、健人だけは助かって欲しい。それが本心からの、亜梨沙の願いだった。
「そうかい。じゃあそろそろ、本気出させてもらうぜェッ・・・!」
「本・・・気・・・っ!?」
唇をゆがめる〝跳弾”の剛武に、思わず亜梨沙の声が震える。
「ゴムの性質を持つオレの身体、その恐ろしさを萌黄の風天使に知ってもらおうじゃねえか」
目の前に差し出された巨漢の右腕を見て、亜梨沙は息を呑んだ。
バネのように、螺旋に渦巻き、縮んでいる。
凄まじい弾力で、強烈な一撃が発射されるのは確実だった。その剛武の右拳が、ピタリと亜梨沙の側面・・・左の脇腹に当てられる。
「うっ!? ・・・くぅ”っ・・・!! や、やめっ・・・!!」
「縦から圧迫されているところを、脆いアバラに横からの打撃だ。こいつはキツイぜェ」
ドキャアアアアッッ!!!
白い制服のシャツから覗く、うっすらと筋が浮かんだ横腹に。
巨漢の拳が容赦なく撃ち込まれる。至近距離から大砲を放つ一撃が、グシャリと亜梨沙の肋骨を砕く。
「うぐう”ぅ”っ――っ!! ・・・ゥ”っ・・・!! ・・・ぐうぅ”・・・っ!!」
「よく悲鳴を抑えたじゃねえか。だが、〝跳弾”って異名の意味がすぐわかるぜ」
撃ち込まれた右拳が、亜梨沙の脇腹から戻される。それは剛武が引き抜いた、というより、自然に反動で弾んだという感じ。
その引き戻された右腕が、再びバネのように収縮していく。
弾む力をため込んだ拳は、またも亜梨沙のアバラに向かって射出された。ゴム製のスプリングで飛ばされたパンチは、寸分違わず、先程と同じ場所に着弾する。
ズボオオオオォォッ!!!
「んぐう”ぅ”っ!! んん”っ――っ・・・!! がはアっ、あぁ”っ・・・!!」
「グハハハッ!! オレが気の済むまでほぼ永遠に、拳を撃ち込めるってわけだ」
ドドドッッ!! ドドッ!! ドドドドボオオッッ!!!
撃っては戻り、戻っては撃ち込む。ゴムの弾力を利用した、連続パンチ。
これではまるで、バズーカ砲をマシンガンのように一箇所に乱射するようなものであった。
スプリングで加速しているため、打撃は速く、鋭かった。しかも一瞬のうちに、何十発という単位で連続で撃ち込まれるのだ。
(ぐああ”っ、あああ”っ――ッ!! ろ、肋骨っ・・・が!! うあああ”っ、折れた骨が内臓に・・・刺さるっ!! ぐ、ぐちゃぐちゃにっ・・・されるっ!!)
「ア”っ・・・!! ぅあ”っ・・・!! ぐぶぅ”っ――っ・・・!!」
「ア、アリサッ・・・さん・・・ッ!!」
かろうじて絶叫を堪える亜梨沙の口から、鮮血の飛沫が細かく舞う。
深刻なダメージを受けていることは、健人にも伝わったようだった。思わず近づこうとする少年を、縛姫のオレンジ髪が引き留める。
「フハハッ・・・脆いな、オメガカルラ。左のアバラは全部砕けちまったぜ? じゃあ次は正面からだ」
「かふっ・・・!! ァ”っ・・・!! アア”っ、やめ・・・ろっ・・・!!」
苦悶するポニーテール少女の声を、力士体型の妖化屍は無視する。
相変わらず身体全体を密着させているのに、とぐろを巻いた右腕が強引に、肌と肌の間に割り込んできた。これも柔軟性に富むゴムならではできる荒業だろう。
剛武の拳が腹部の中央に当てられる。亜梨沙の鳩尾に。
ゴリュッ!! ギャルルルルルッッ!!! ドオオオォッ!!
はじめ亜梨沙は、自分のお腹がドリルで抉られているのかと錯覚した。
実際に抉っていたのは、剛武の右拳だった。螺旋を描いて捻じられた腕が、一気に戻って旋回しているのだ。
元々骨が軋むほど圧迫されている亜梨沙にとって、そのうえで突き刺さる拳のドリルは、直接内臓に響いた。ギュリギュリと、胃も腸も捻じられるのがわかる。
しかも先程の脇腹への猛打で、亜梨沙の腹部には砕けた肋骨の破片が散乱している。
ドリルで掻き回されたアバラの破片が、ブスブスと内部で刺さっていく。
「ぐあア”っ!! あァ”っ!! ア、アア”っ・・・っ・・・!! ァ”っ・・・!!」
「ホホホッ!! 苦しかったらもっと大声で叫ぶがいい、オメガカルラ・・・そんなにビクビクと悶え踊っているじゃないか!」
宙に浮いた亜梨沙の両脚が、バタバタと空を蹴った。
マスクに表情は隠れていても、〝妄執”の縛姫が笑っているのは眼だけでハッキリとわかった。亜梨沙がなにもできずに破壊されていく様子を、六道妖のひとり・人妖である女妖魔は愉しんでいるのだ。
「グフフッ・・・!! ミンチになれッ、オメガカルラッ!!」
小さく、しかし鋭い剛武の声が、亜梨沙の耳元で吐き捨てられる。
その瞬間、〝跳弾”の胸から太鼓腹にかけて・・・制服少女に密着している面が、荒れ狂う海原のごとく激しく波打つ。
これもゴムならではの特性であった。
極端に凹凸する肉が、電車の壁とにサンドイッチされた亜梨沙を、グシャグシャと圧縮する。さらには細かな震動までが、スレンダーな肢体に容赦なく注がれる。
ブウウゥゥンンンッ・・・!! ゴリゴリッ!! ブチブチブチッ!! グチャアァッ!!
「はぁぐぅ”っ!!? ぅ”ぶっ!! ・・・ぁ”っ、あがあ”っ!! ・・・ぐふぅ”っ――っ・・・!!」
なんとか悲鳴を抑える亜梨沙の口から、ブシュッ、と血の塊が飛び出す。浴衣からはだけた剛武の胸元に、バチャリと降りかかる。
ポニーテールを振り乱し、少女の頭部がガクガクと前後に揺れた。全身を潰される拷問に、亜梨沙は悶えることしかできない。
ゴビュッ!! ・・・・・・ブシュッ!! ・・・・・・グブッ!! ・・・・・・
膨れ上がった巨体が波打つたびに、搾り取られるように亜梨沙の口から赤い液体が溢れる。
華奢な女子高生が、押し潰されて鮮血を吐く・・・そんな凄惨な光景が、満員電車の片隅で繰り広げられている。だが車内をギュウギュウに詰めた人々は、誰も惨劇に気付いていなかった。相撲取りのような肉の壁が、世間一般とオメガスレイヤーの処刑場を隔てている。
(あああ”あ”っ――っ!!! む、胸っ・・・も・・・っ!! お腹、もっ・・・!! 潰れぇ”っ・・・ア、アリサの・・・カラダ、がっ・・・!!)
くたりと強気な少女の顔が垂れ、剛武の胸にもたれかかった。
表情は険しいままでも、亜梨沙の瞳はすでに焦点が合っていなかった。半開きの唇からは、ツツ、と血の糸が流れ続けている。
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