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「第十二話 東京黙示録 ~疵面の凶獣~」
44章
しおりを挟む“さっきの・・・衝撃で・・・”
耐え切れなかったのか。ギャンジョーのパワーをまともに受けるには。
『エデン』の戦士の回復力は早く、変身前の負傷はカモフラージュされることも多い。だが、この地に現れたユリアの左脚は、初めから完治などしていなかった。
無撃を撃つために、全力で仕掛けねばならなかった一閃。だが破格外のギャンジョーのパワーに、左脚は耐えることができなかった。
「終わりだ、ユリア」
凍える腕が、心臓を掴むのを守護天使は理解した。
戦慄。いる。後ろに、悪魔が。
膝をついたまま、背後を振り返る。手にした薙刀を横に払う。
乾いた音をたてて、“鬼喰”は容易くゲドゥーの右手に受け止められていた。
「認めよう。お前の技術は素晴らしかった。存分に楽しませてもらったぞ。だが」
“最凶の右手”が暗黒に染まる。一瞬、右手が膨らんだように見えた。
金属が砕ける轟音が響き、光の薙刀はガラス細工のように粉々に飛び散った。
「それでもお前は甘すぎる。最後、命を奪いにきたサクラにさえ、遠く及ばん」
「・・・そ・・・んな・・・」
唯一の希望であった“鬼喰”を失ったユリアに、ゲドゥーの言葉は、遥か彼方のものに聞こえた。
ドボオオオオオオッッッ!!!!
突き上げる“最凶の右手”のアッパーが、おさげ髪の少女の鳩尾を抉る。背中に開いた傷穴から深紅の血柱が噴き出る。
くの字に折れ曲がったまま、ゲドゥーの目の高さまで浮き上がった黄色の天使は、そのままの姿勢で大地に落ちる。
「おおッッ・・・ォゴポオエエッッ・・・ごぶぅッッ・・・ぐッ・・・ふぅぐッ・・・」
大きく開いた口から垂れ流れる、血と涎と胃液。爪先立ちでよろめきながら、ボトボトと朱色混じりの体液を垂れ落とし続けるユリア。
その右手が、ゆっくりと無言で佇むゲドゥーへと伸びていく。
まだ闘おうというのか。ほとんど意識もないままに、武道天使はまだ闘いを続けようとしていた。もはや誰の目にも決着は明らかだというのに―――。
ザクンッッ・・・
背後から迫ったギャンジョーの左腕は、少女戦士の小さな胸の膨らみを横から突き刺していた。「ひぐぅッッ?!」無様な悲鳴をあげて、激痛にユリアが仰け反る。
「さんざんコケにしてくれやがったなァッ~~、クソガキよォ・・・覚悟はできてんだろうなァ、あァ?」
震えるユリアのスレンダーな肢体を、凶獣が羽交い絞めに捕らえる。もはや力を込める必要もなかった。拘束というより、ただ支えるだけでユリアの身体は敵の手に落ちていた。
霞むユリアの視界に、ゲドゥーが右手を突きつける。漆黒の煙が濛々と発ち上がるそれが、聖天使を滅ぼす濃密な暗黒エネルギーを纏っているのは明白であった。
「あぐぅッ・・・ふぇあああアアッ・・・や、やめ・・・」
「武道家らしく、打撃でトドメを刺されるのも一興だろう?」
ゲドゥーの上半身に捻りが入る。大きく振りかぶっての一撃。ただでさえ破滅的な“最凶の右手”の豪打を、最大の闇エネルギーを纏って渾身の力で叩き込む。羽交い絞めにされた、無防備な少女戦士に。
確実な敗北が訪れることを、ユリアは悟った。
ドッキャアアアアアッッッッァァッッンンンッッッ!!!!
獰猛な悪魔の破壊ブローは、ユリアの胸中央、青い水晶体に叩き込まれていた。
「きゃあああああああああああッッッ―――ッッッッ!!!!」
バシュッ!! バシュンッッ!! ドバババババッッ!!
その瞬間、銀と黄色の肢体は爆発したかのようだった。
全身から黒い炎を噴き上げるユリア。爆ぜた。聖なる戦士の肉体が、魔のエナジーに食い破られて引き裂かれた。噴き上がる鮮血が赤い霧となってスレンダーな肢体を包む。
ゴボリ・・・
赤黒い塊が半開きになった唇を割ってこぼれ出る。
ユリアの瞳から、青い光は消えていた。
着弾の瞬間、消し飛んだように見えたクリスタルの光は、かすかに点滅をしていた。ヴィッ・・・ヴィッ・・・という緩やかな警告音が、武道天使の命があとわずかであることを示している。
「ゲドゥーさん、オレにも遊ばせてくださいよォ」
意識をなくし、もはや肉人形と化したような黄色の天使をギャンジョーが突き飛ばす。
グチャァ・・・懐に飛び込んできた血塗れた身体を引き剥がし、今度はゲドゥーが動かぬユリアを羽交い絞めに拘束する。白のプレテクターは、ユリアの返り血で朱色に汚れていた。
ズドオオオオッッッ!!! ブシュブシュブシュッッ!!!
棘付き鉄球によるストレートブロー。怪力が放つ凶器付きの豪打は、発展途中の少女の右乳房を潰していた。
「あがあああァァァッッ~~~ッッッ!!! ゴボオオッッ!! ひぐぅッ、ひゅええああァッ・・・アアッ~~ッッ・・・」
「ヒャハハハハハァッ~~ッッ!!! 起きたか、ユリアちゃんよォ?! ちいせえオッパイが穴だらけになっちまったなァ? だがよ・・・」
残酷極まりない形状の鉄球が、妖しげなピンクの光を放ち始める。
混濁するユリアの意識でも、ハッキリとわかる魔光の正体。何百人という単位で女性たちを犯し続けてきた淫魔に備わる悦楽の魔光が、なだらかな乳房に突き刺さった鋭利な棘から思春期の少女に流し込まれていく。
「あッ・・・ああアッ?!!・・・・・・んくッ?!・・・ひくぅッ?!・・・ひゃふ・・・ひゃめ・・・」
「ギャハハハハハアァァッッ~~ッ!! 随分敏感じゃねえかッ! オマセなガキだぜェッ~~! ほぅらよっと!」
ブブッッ!! ブブブブブッッ!!
視覚で捉えられるほど大量の催淫光線が幼い乳房を揺らす。ただ胸の性感帯を愛撫されるだけでは済まない、媚薬の注射を何十本と打ち込まれるような官能の刺激が、ユリアの右乳房に満ちていく。思春期の少女の過敏なオッパイは、強度の媚薬にホルマリン漬けにされてるようなものであった。15歳の少女に耐えられるわけがない魔悦の拷問に、痛みすら忘れて守護天使が絶叫する。
「ひぶうぅッッ?!! ひゅはああああッッ~~ッッ!! ひゃめえェェッ!!! ひゃめええェェッ~~ッッ!! イヤアアアアアッッ―――ッッッ!!!」
「ふん・・・どうやら、見掛けによらず淫乱な体質のようだな。あるいはすでに魔悦の洗礼を受けたか」
ゲドゥーの右手が空いたユリアの左の乳房を鷲掴む。ピンク色の霞を漂わせ始めた右手は“最凶”ならぬ“最嬌の右手”となって、みるみる屹立した乳首の突起を転がした。マシュマロのような柔らかさと、蕾の固さを併せ持った乙女の乳房。グリグリとこねられただけで、熱い蜜が下腹部の壷から溢れるのをユリアは我慢できなかった。
「いぎいいィィッ・・・ひふああッッ・・・はぁぐッッ!! ふひゃああああッッ~~~ッッッ!!!」
「オレとギャンジョーでは似ているようでも法悦の種類が異なる。二種類の猛毒で乳房をそれぞれ責められるようなもの。初潮からも間もないようなお前では、狂ってしまいそうな快楽だろう」
ギリギリと少女の乳房を握り潰しながら、ゲドゥーがユリアの身体を浮き上がらせていく。
胸が千切れそうな激痛に絶叫するロリータフェイス。食い込む凶魔の指から注ぎ込まれる魔悦光線と、突き刺さった棘状突起から打ち込まれる淫靡光線とで、桃色に染め抜かれた幼い膨らみは、脈打つほどに感じまくってしまっている。
ドス・・・
悦楽の渦に蕩けきり、無様に嬌声を迸らせるユリアの股間に槍腕が突き刺さるのと、下腹部の水晶体が凶魔の左手に掴まれるのとはほとんど同時であった。
「・・・はぁうッッ?!!」
「サクラと同じく、イキまくって死ぬか、ファントムガール・ユリア?」
股間の内部と外、子宮に結びついた『エデン』に向けて、女芯を蕩かす魔悦光線が一斉に放射される。
「ひゅぎゅああああああああッッッ―――ッッッ?!!! ひぶうぅッッ!!! ひゃめへええええッッッ~~~ッッッ!!! はあぎゃああああああッッッ―――ッッッ!!!」
4つの腕から注がれるピンク色の悦楽に全身を包まれ、壊れたように泣き叫ぶ、ユリアの悲鳴が轟いた。
ユ・・・リ・・・ア・・・・・・
耳鳴りが頭蓋骨にまで響いているかのようだった。
重い、重い身体。五十嵐里美の五感は、全てが奪われてしまったかのようだった。石の彫像に脳だけ埋め込まれたかのように。あらゆる神経がブツリと断ち切られたのか。見えない。聞こえない。動けない。わからない。暗黒の底に飲み込まれ、ただ深い漆黒のなかに里美はいた。
かすかに、地平線の彼方から聞こえてくるほどかすかに、鈴のような少女の悲鳴が聞こえてくる。痛切で、魂が救いを求めるような、悲鳴。
あれは恐らく、ファントムガール・ユリアの泣き叫ぶ声。ということは、ユリアはまだ生きているのか? 窮地に陥っているのか? わからない。ただ、なんとかしなければ。
肉体の限界はとっくに越えている。『エデン』による強制睡眠で意識など保てないはずの里美の身体は、動いていた。土の地面に伏せたまま沈んだ令嬢戦士の肢体は、ズルズルと無意識の内に這い進んでいた。覚醒したとも夢のなかとも判断つかぬまま、里美の身体は随分と前方に移動していた。
そこに・・・いるのね、吼介?
うずたかく積もった瓦礫の山がある。滲み拡がった血の痕がある。
あなたも、ここで死ぬの? それが私の使命だったの?
工藤吼介は最後には藤木七菜江を選んだ。里美の元を自ら去って。
その七菜江は吼介と同じ、『血を継ぐ者』であった。そして里美自身がファントムガールに選んだ少女だった。
私は。
私は、なんのために闘ってきたのだろう。
私は。
私は、なんのために闘わなければいけないのだろう。
気がつけば、里美の身体は瓦礫の丘の上に這い上がっていた。
意識は、あるのかないのか、よくわからなかった。自力でここまで来たのかも、わからなかった。ただ、開いた瞳から、とめどなく涙が流れ落ちる。とどまることのない、涙が。
私は、大切なものを失った。
あまりにも多くの、大切なものを失った。
けれども。けれども。
震える右手が、混濁した視界のなかで見えている。
里美自身の手だと気付くには時間がかかった。右手は、蠢く白い球体を持っている。
通称『第六エデン』―――
吼介。
あなたは、ナナちゃんを、選んだのね。
だったら。
だったら。
あなたと、ナナちゃんが、幸せになるのなら。
私は、それで、十分嬉しい。
再び意識を暗黒に飲まれていく里美の手から、『第六エデン』が滑り落ちた。
瓦礫の山のなかへ。
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