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「第十二話 東京黙示録 ~疵面の凶獣~」
26章
しおりを挟む暗い空間に、己の足音だけが響いていた。
一歩足を踏み出すたびに、閉ざされた空洞にローファーの踵が澄んだ音色を共鳴させる。真っ暗闇と予想していたが、内部にはところどころに光が洩れていた。勢いよく流れていく下水からは、思ったような腐臭はほとんどない。どちらかといえば触れた壁から伝わる湿気の感触の方が、西条ユリには不快に感じられた。
もう、どれだけ歩いてきたのか、わからない。
お台場の死地からファントムガール・アリスによって逃がされた武道少女は、変身後の睡魔に呑み込まれる前にマンホール下の下水道へとその身を隠していた。
巨大化を解除するとき、『エデン』を寄生させた戦士たちは、その残り体力によって解除後出現する場所を特定できる。瀕死状態にあればほとんどその場に留まらざるを得ないが、余裕があるならある程度の距離は移動できた。アリスに救われた形のファントムガール・ユリアは、懸命な思いでその身をお台場の対岸・・・品川の一区画へと運び、地下に潜んだのだ。
逃げなくては。ただ、その一心であった。
サクラが死に、ナナが瀕死に追い込まれ、そして・・・目の前でアリスが壮絶に散った。
もはや残る銀色の守護女神は自分とリーダーであるサトミしかいない。必ず敵は追ってくる。100%の力で闘えない柔術少女を獲物として狙ってくる。
強制睡眠に入るという条件は敵味方同等であった。しかしその後のサポート体制で、有利を得られないのがこれまでとは違う。首都の地は多くの者の意志が複雑に絡み合うことで、守護天使を補佐する体制はいまだ充実しているとは言い難かった。逆にミュータント陣営の脅威は質量ともに、これまでを遥かに凌駕しているのだ。
数時間の睡眠を経てすぐに、ユリは移動を開始した。手負いの少女戦士が目覚めたならば、追っ手たちの意識もまず間違いなく覚醒しているだろう。スカーフェイスのジョーと『闇豹』は血眼で白いセーラー服の少女を捜しているはずだ。地下へと身を潜めたのはユリなりに考えた結果であった。
少女の左脚は歩くというよりずるずると引き摺られていた。ふくらはぎには応急処置で白い包帯が巻かれている。
マヴェルによって注入された毒は、『エデン』の回復力によって大部分消滅した。その感覚はある。痛みと熱は酷いが、闘いとなれば踏ん張ることはできよう。だが、通常ではできる限り酷使はしたくなかった。歩く速度が限定されることを差し引いても、ユリは回復を念頭に置いて行動していた。
今は逃げる。逃げなくてはならない。しかし、闘いの時は必ずくる。
自身の手で決戦に臨むのか。あるいは・・・エナジー・チャージで他の戦士に希望を託すことになるのか。
工藤吼介との約束があった。当初の計画ではユリは、絶命したサクラにエナジーを与える役目であったのだ。きっと・・・たぶん、おそらく、七菜江を連れて逃げた吼介は、渋谷にてユリが来るのを待っている。引き摺り歩くユリの足も、呼ばれるように渋谷方面へと向かっていた。
だが・・・知らず、ユリの白い歯は仄淡いピンクの唇を噛み締めていた。
出来得るならば、この手で仇を取りたい。
助けられなかった。アリスを。逆に救われたのは自分の方だった。
誰もが言う。武道家らしくないね、と。自分でもそう思う。華奢な肢体に童顔。おまけに極度の恥ずかしがり屋。どこから見ても、頼りなく、情けない女のコ。だけど、己が武道家であることを疑ったことなどなかった。どう見られようと、武道は力としてこの身に着実に宿っている。
宿命として力を得たはずなのに、その力は出せなかった。
守るべきは自分でなければならなかったのに、現実は守られた。本来は、闘うべき宿命などなかったはずのアリスに。
休息をしたとはいえ、闘いを終えたばかりのユリアに、死者を生還させるだけのエナジーが創り出せるかどうかは微妙な判断であった。元々、エナジー・チャージはリスクを伴う方法だ。仮にサクラを蘇らせることができたとしても、ユリアもサクラもかろうじて立つのが精一杯という状況だろう。襲撃を受ければふたりとも、ひとたまりもない。
ならば、全力を出せなかろうと、ユリアがそのまま闘う方が勝機はあるのではないか。
吼介との約束を反故にするのに抵抗はある。しかし、お台場で姿を見せなかったメフェレスとゲドゥーが渋谷にて待ち構えてる危険性は十分高い。ユリアの登場を見越して、天敵とも言うべきクトルが待機してる可能性も相当あるだろう。このまま渋谷に向かったところで、守護天使を捕獲する罠に嵌りにいくような気がしてならない。
それとも・・・アリスにエナジー・チャージを試みる、という手段は考えられないだろうか?
脳裏に浮かんだアイデアを、即座にユリは自分自身で否定した。ふたつに縛ったおさげ髪が、哀しげに横に振られる。
ダメだ。アリスには・・・エナジー・チャージは通用しない。
サイボーグ少女は胸のクリスタルを砕かれているのだ。
胸中央に輝く青い水晶体、エナジー・クリスタルはファントムガールにとってはエネルギーの貯蔵庫のようなものであった。
光のエネルギーが消滅すれば、守護天使は死を迎える。ファントムガールとしての生命活動が全て止まってしまうのだ。以前のユリアや109に磔にされているサクラがこの状態であった。
通常ならば一度死した者が、生命活動を取り戻すことはない。しかし、ガス欠の車にガソリンを給油するように、光のエナジーを注入することでファントムガールは再び蘇ることができるのだ。その奇跡が実現可能であることは、誰よりもユリア自身が経験として悟っている。
しかしアリスは、そのエナジーを貯蔵すべきタンクを・・・青いクリスタルを破壊されているのだ。
いくら光の力を注ごうと、漏れでていく。肝心のタンクに亀裂が入っていては、いくら給油しても無駄であった。
ファントムガール・アリスは・・・霧澤夕子は死んだのだ。
復活の芽はない。考えれば考えるほど、残酷な現実に打ちのめされるだけだった。
声が聞こえた。しゃくりあげる、泣き声だった。己の口から割れ出ている事実に気付いて、慌てて頬を拭った。思った通り、頬は涙で濡れていた。
もう、悲しまないと決めたのに。涙は溢れて止まらなかった。
美人で、寂しい瞳が印象的だった。ツンとした表情が多かったのに、蘇るのは最期に見せた笑顔ばかり。キツイ言葉も多かったけれど、いつも心の底ではかばわれているのがよくわかった。今頃になって、可愛がってくれていたんだと気付く。いつの間にか、寂しい瞳は見せなくなっていた。
少女の歩みが止まる。足元に、水滴の束がボトボトと降り落ちた。
涙と鼻水と涎とで、愛くるしい童顔は濡れそぼっていた。
思い切り、泣いていこう。涙はここに置いていくのだ。
白いセーラーに包まれた肩が小刻みに震え、やがて激しく上下した。慟哭とも叫びともつかぬ声をあげて、ユリは泣き続けた。
夕子さん、仇は私が取ります。
暗く湿った地下水道に、少女の嗚咽がやむことなく響き続けた。
肉を打つ響きが途絶えることなく続いていた。
苦悶の声が時折混ざる。艶のあるアルトの苦鳴は、溜まった男ならばそれだけで勃起させる芳醇さを含んでいる。苛烈な拷問現場には、紛れもなく妖艶の香りが吊り下げられた女から地を這うように発散されていた。
水槽がある。巨大な水槽。目を凝らせば鶏の卵にも似た白い球体が、無数に漂っているのが確認できる。その前で鋼鉄製の木馬に跨らされた女が、両手を鎖で縛られて吊り下げられていた。全裸に剥かれた女は完熟した豊かなボディラインと下腹部にやや濃い目の茂みを晒している。
「裏切り者への制裁はそれなりに行なわねばならん。理解できるな、響子?」
木刀を握った久慈仁紀は、女教師の腹部を立て続けに殴りつけた。
くぐもった呻きに続き、鮮血が真紅のルージュを割って噴き出す。ヴィーナス像を彷彿とさせる抜群の裸体は、腫れと痣とでほぼ全身が赤黒く変色してしまっている。『エデン』の持ち主でなければとうに絶命していよう。逆に『エデン』融合者であっても、この一時間以上に渡って続いている責め苦は到底耐えられると思えない苛烈さであった。
品川水族館に到着してすぐに、片倉響子は『エデン』との謁見を許された。館内に従業員の姿はなく、照明は7割方が落とされていた。巨大生物襲来の報を受けて退避する以前から、この地の制圧は着々と進んでいたのだろう。『エデン』は独立した水槽のなかにまとめて保管されていた。
確認した『エデン』は間違いなく本物であった。
降服条件が満たされた時点で、響子の鞍替えは正式なものとなった。だが久慈の傘下に戻る前に粛清の時間が必要となる。衣服を剥ぎ取られ鎖に縛られる間、女教師は黙ってそれを受け入れた。
木刀の打擲は三桁をゆうに越えていた。響子をこのまま、殴り殺すつもりかのようであった。歯を食い縛って耐えられたのは10分が限度。一度洩れ始めた苦悶の声はとどめることができず、やがて哀願が混ざり始め、女が混ざり始めた。
かつて己が開発した凄惨な拷問の数々を受けることになるとは、響子自身も予想だにしなかったことだろう。
「ゴフゥッ!!・・・ゥグウッッ!!・・・ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」
「尊大な貴様でもそんな顔ができるんだな。辛いか、響子」
「ハァッ、ハァッ・・・も、もう・・・・・・十分でしょ・・・・・・あ、あなたに敵わないのは・・・よくわかったわ・・・」
「殊勝なセリフだが、あいにくオレは貴様という人間をよく知っていてな」
「・・・・・・う、嘘なんかじゃ・・・」
「やれ、ドメキ。金剛糸だ」
久慈に顎で指示されたスキンヘッドの男が、手にした金色の針を容赦なく尖り立った響子の乳首に串刺す。引き攣るような女教師の絶叫が暗い館内にこだまする。
二の腕と臍。そして乳首。響子の肢体に埋まった3本の金剛糸は、全てこのドメキと呼ばれる男によって突き立てられていた。もちろん元々は響子が所持していたものだ。どうやらドメキは『エデン』の見張りと拷問執行官との役割を兼ねた、久慈の新たな手駒らしい。髪も眉も剃り落とした顔は油を塗ったように濡れ光っており、180cmほどの長身は白いフードで包まれていた。
「フン。痛覚を数十倍にする毒針を3本も突き立てられてなお、正気を保つか。さすがだな、響子よ。ドメキ、もっと掻き回してやれ」
腕と臍に埋まっている極細の毒針を掴むや、スキンヘッドがグリグリと乱暴に捻じ込む。
ビクンッ!!と大きく仰け反った妖艶美女は、少女のような金切り声で泣き叫んだ。
「ンギャアアアアアッッッ~~~ッッッ!!! アアアッッ――ッッ!!! ア・ア・アッ・・・!!」
「裏切りの代償をその身に刻むことだ。ドメキ、あれを」
無言で眉なし男が鋼鉄の木馬に近付く。ドメキの声をまだ一度も響子は聞いてなかった。何をされようとしているのか、瞬間的に悟った女教師の肢体が反射的にビクリと震える。
「気に入ったようだな、この木馬の味を。よがり狂わす快感も、激痛によるショック死も思いのままよ。もっとも『エデン』持ちの貴様にはスペシャルブレンドだがな」
ドメキがスイッチを捻った瞬間、残酷な波動はまたもや響子の下腹部を襲っていた。
木馬の先端は股間の秘裂に食い込み、真紅のハイヒールを履いたままの長い脚には片方づつ20kgの重りが架せられている。引き裂きの激痛だけでも苦しみは十分だというのに、増幅する微震動がじわじわと成熟したクレヴァスを刻んでいくのはまさに煉獄の苦痛であった。しかも同時に子宮は妙なる快楽の波動に包まれるのだ。
「あうぇあヴぁッ・・・あヴアァッ・・・ふばアあ゛ッッァッ・・・」
「オレとの情事でも見せなかったよがり顔じゃないか。神を自称する天才学者も所詮はただのメスイヌよ。震動をもっとあげてやれ」
「やッ、やめッッ・・・お、おねがッ・・・ひゃめェェッッ!!!」
「クハハハハ! まるで小娘の懇願だな。貴様の罪はこの程度では晴れぬわ! さあ、やれッ!」
「あひいいィィッッ―――ッッッ?!! ひゅぎゅあああアアアアッッッ~~~ッッッ!!!」
妙味の震動が下腹部から腰へ、腰から乳房へと這い上がっていくのが見て取れた。
屹立した乳首がコチコチに尖っている。百個の舌で乳房から膣内までを舐め上げられる刺激は、妖女とて許容できる範囲にはなかった。木馬の上で硬直した西洋風美女は、嬌声混じりの絶叫を狂ったように喚き散らす。
「なかなかいい仕事をするだろう、このドメキは。元々は地方官僚だったが、発作的に起こるレイプの衝動をどうしても抑え切れぬ奴でな。本来ならばミュータントの資質を満たしていないが、今後も踏まえて試みに『エデン』を寄生させてみた」
久慈の声は悶絶する響子には届いていなかった。
潜在する闇のエネルギーや身体能力の高さがミュータントの強さを決定づける大きな要因となる。ドメキの能力はファントムガールと敵対するにしては物足りなさを感じさせたが、今後配下を増やしていくには少々の妥協は必要であった。拷問官としての力量、一般人を掌握する力としては、ドメキは十分及第点に達している。
下腹部を襲う震動が激しさを増す。まだ上の苦痛と快楽があったことに、限界を迎えつつある響子の精神はショックを受けていた。壊れる。発狂してしまう。これ以上はもう、耐えられない。溢れ出した愛蜜が木馬を濡らしているのを自覚しながら、臨界点まで響子は追い込まれていた。耐える。耐えてみせる。ドメキが諦めて出力ダイアルから手を離すまで、妖艶美女は涎を降り散らして耐え抜いた。
ドメキが木馬から一歩下がる。相変わらずの無表情。
やはり震動はMAXだったのだ。快楽と激痛の津波に呑まれながら、これ以上の嗜虐はないことを響子は確信した。耐え切った。屈しかけた苦境を乗り越えた緩みが、わずかな間妖艶美女を包んだ。
刹那に、ドメキの両掌が剥き出しの乳房を掴んでいた。
ボリュームと張り、見事な稜線を描いた極上のバスト。色香の風味をたっぷりと乗せた肉球を襲ったのは、木馬が放つものと同じ、破壊と愉悦の微震動であった。
「ヒギャアアアアアアアッッッ~~~ッッッ!!! ギュアアアア・ア・ア・アッッ!!!」
ブシュッッ!! 白濁した飛沫が美女の股間から噴き出す。
腰まで届く黒髪を狂ったように振り乱して絶叫した女教師は、やがてヒクヒクと全身を痙攣させながら脱力して果てた。
鋼鉄の木馬に股裂きされ、全身びしょ濡れで鎖に吊るされて失神する妖艶なる美女。
足元に滴る汗と愛液と血飛沫の洪水を見れば、首領たる黒衣の闇王を裏切ろうという愚行は、二度と誰も思いつかないことだろう。
木刀の切っ先で昇天した妖美女の顎を上向かせる。呆気ないほど簡単に、カクリと響子の美貌が天を向く。
大きな二重の瞳は完全に白目を剥き、半開きの口からゴボゴボと白い泡がこぼれ落ちる。濡れた額や頬にへばりつく、黒髪。かつて人類を恐怖の底に陥れた蜘蛛妖女・シヴァの化身たる女教師は、拷問の果てに沈んだ無様な姿を、ひと気のない水族館で晒していた。
「100人に一斉に犯される快楽と細胞レベルから身を崩されていく激痛。いかなる『エデン』の持ち主であろうと数十秒ももつまい」
傍らまで歩み寄った久慈は、女教師の腰までとどく黒髪を鷲掴んで上向きの顔を固定する。
半開きの真紅のルージュに口を寄せた闇王は、舌を挿し入れ響子の口腔を吸い始めた。
ジュル・・・ギュボオッ・・・ヌチュ、ズルル・・・
美女の艶気を飲み干していく。絡みつく舌と舌。窒息の苦しみに、意識を失っていた女教師が瞳を見開く。
「ンッッ・・・ンゥンン・・・ンウゥゥ~~ッ・・・」
ジュルル・・・グチュ・・・ギュプ・・・身体を揺らして悶える響子に構わず、吸引は続く。ヒクヒクとねだるように前後する腰の動きが、淫らな刺激が下腹部を貫いていることを教えた。さんざんな陵辱と暴虐を受けた肉体はずいぶんと耐久力を失っているのを自覚する。
背後に回ったドメキの掌が豊かなふたつの乳房を包んでくる。執拗なまでの、破壊と愉悦の微震動。耐えられないとわかっている響子を絶望に突き落とすように、鋼鉄木馬と胸を包んだ掌から再び震動が注ぎ込まれる。
「ンンンッッッ~~~ッッッ!!! ングウウウウンンンッッ―――ッッッ!!!」
壊れたオモチャのように、木馬に騎乗した裸身の美女が全身を痙攣させる。飛び散る汗が霧となって周囲に漂う。
屈服させるつもりだ。弾け飛びそうな意識のなかで、響子は久慈の意図を理解していた。
裏切りを繰り返し陣営に戻ってきた響子を、許しはしても信用するつもりはないのだ。執拗な拷問はそのためであった。身も心も屈服させる。二度と久慈に逆らう気など起きなくなるまで、徹底的に責め抜くのだろう。
“こ、壊れる・・・壊され・・・る・・・・・・む、胸も・・・アソコも・・・お、おかしく・・・”
窒息で意識を失う寸前に、久慈の舌が引き抜かれる。
酸素を求めて激しく喘ぐ妖美女の息遣いが、水族館に響き渡る。荒い吐息に混じる、確かな淫靡の震え。股間と乳房を襲う魔悦震動は、いまだ止むことなく注がれている。瞳から流れた雫が頬を濡らしているのを響子は自覚することすらできないでいた。
「あはアアァァッッ~~ッッ!! ふばああアアッッ~~ッッ!! あああッ~~ッ・・・」
「苦しいか、響子?」
「・・・・・・く・・・苦し・・・い・・・・・・」
「はいかいいえで答えろ。気持ちいいか?」
「・・・・・・・・・は・・・い・・・・・・」
「ならば許しを請え。このメフェレスに」
「・・・・・・ゆ、許して・・・・・・ください・・・・・・も・・・う・・・許し・・・て・・・」
「よかろう。その言葉、信じてやる」
鼻で笑った黒衣の男は、靴を鳴らして鋼鉄の木馬へと近付いた。
憔悴しきった美貌ががっくりと垂れている。やまない震動に喘ぎながらも、その表情には安堵の様子がほのかに含まれていた。
だが、西洋風美女の顔が再び引き攣るまでに、わずかな時もいらなかった。
「これよりリミッターを解除する。震動の威力は約3倍だ。ドメキ、貴様も全力でやって構わん」
「なッッ?!!・・・や、やめえェッッ・・・?!」
「気の済むまで嬲るがいい。くれぐれも壊すんじゃないぞ」
「ひッ、ひいィッッ!!! そッ、そんッッ・・・た、助けッッ・・・」
「戻るまでに調教は終えておけ。それが貴様の仕事だ。わかるな、ドメキ」
木馬のスイッチを捻った久慈は、響子の懇願に何も応えず背を向けた。
「ぎふううッッッ?!! ウギャアアアアアアアアアアアアアッッッ~~~ッッッ!!!!」
獣のごとき絶叫を背中で浴びながら、振り返ることなく久慈仁紀は品川水族館をあとにした。
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