上 下
22 / 290
「第二話 魔人集結 ~魔性の両輪~」

11章

しおりを挟む

 考えてもいなかった、響子の言葉。この手で直接、さんざん罵倒された、憎き女教師を殴る気持ちでいっぱいだった七菜江は、思わぬ効果的な戦法に気付いて、戸惑う。傷ついたこの身体で闘うよりは、光の技が使えるファントムガールになった方が、勝ち目があるのは確かだ。こんな不利な闘いをする決心がついたのも、心のどこかで、いざとなったらファントムガールに変身できるという想いが、あったからかもしれない。
 
 「さあ? そんなこと、あんたに喋る必要はないじゃん」
 
 少しでも、精神的な優位を求めて、七菜江は焦らすように、響子の問いをはぐらかす。尖った顎をツンと突き出し、見下ろすような視線をつくる、念の入れようで。
 
 「もしかして、あなた、こんな大事なことを理解してないんじゃないでしょうね・・・・・・・」
 
 「なんのこと?? もし、私を動揺させようってんなら、無駄なんだから!」
 
 「藤木七菜江、よく聞きなさい。もし、ファントムガールに変身すれば、あなたも私もお終いになるわよ」
 
 いつになく厳しい響子の口調に、思わずたじろぐ七菜江がいた。「お終い」ということばが、ゾッとする戦慄を含んで、響いてくる。しかし、目の前の美貌の敵は、七菜江を容易く罠にはめ、闘志を一喝するだけで空回りさせる、精神の支配に長けた相手なのだ。そのことばを、単純に信じるのはどうか? 気圧された己を恥じ、七菜江は敵の姦計を見破ろうと、想像を巡らして反論する。
 
 「ふ、ふんだ! そんなねー、ファントムガールになられたら困るからって、ハッタリかまされても、ビビったりなんかするもんか! どーせ、ファントムガールには敵わないから、変身させないようにっていう魂胆でしょッ? 見え見えですよーだ!」
 
 ペろりと舌をだし、アカンベーする七菜江を、再び片倉響子は右手を広げて制止する。その目には、冷たいながらも、諭すような光が射している。
 
 「いいから、よく聞きなさい。これはあなた達にとっても、私達にとっても重要な話よ。・・・・例えば、今、私とあなたが闘って、一方が負けそうになるとする。そうすれば、当然、巨大化して窮地を脱しようとする。そうじゃない?」
 
 七菜江は無言のまま。それがYESというサインであることは、響子にもわかっていた。
 一方で、七菜江は、片倉響子の態度に脅威を感じていた。何気に「巨大化」といっていたが、響子にとっては、『エデン』の能力はすでに当たり前のものとして、受け取られているらしい。普通なら、そんな超常的なことばは、使う者に抵抗があるものだ。響子には、それがなかった。それだけ「慣れている」ということだ。
 
 「ひとりが巨大化すれば、もう片方も変身せざるを得ないわ。そうしなければ、みすみす殺されてしまうものね。ところが、こんな場所で変身すれば、その正体がバレてしまうのは時間の問題。学校中の人間が、私とあなたの秘密に辿りつくでしょう。そうなったら・・・どうなると思う?」
 
 突然の質問に、七菜江は困惑する。これではまるで、ホントの先生と生徒の関係だ。(実際そうなのだが) 細く整えられた眉が寄り、八の字になる。なんでそんなこと、答えなきゃいけないの! と思いつつも、高2の女子高生は自分なりの答えを出してみる。
 
 「普通に生活できなくなる・・・と思う。みんなと別れて、特別な施設で生きていかなきゃならないかも」
 
 手術台の上で、モルモットとして扱われる姿や、迷彩服を着て特殊部隊の一員として活躍する自分が、想像される。女子高生ではなく、戦士としての、兵器としての藤木七菜江。ハンド部の仲間や、クラスメートの顔が浮んできて、闘いの最中というのに、センチな気分が波を寄せる。
 
 「甘いわね、だからあなたはガキなのよ」
 
 「なッ・・・なによッッ!」
 
 常に一言多い響子のセリフに、七菜江は小さな顔を紅潮させて、泡を飛ばす。しかし、次に真っ赤な唇からまろびでたことばは、少女の心臓に鋭い棘を刺した。
 
 「あなた、殺されるわよ」
 
 西洋人とのハーフっぽい、くっきりとした瞳が、冷たく光る。陶磁器のような白い肌から発する空気が、ことばの真剣みを伝えてくる。ごくりという、幼い喉が唾を飲みこむ音を、七菜江は無意識のうちに聞いていた。
 
 「一般人が私達のような、超常的な存在を許すと思っているの? これは正義とか悪とかは関係ない話よ。全ての人間が正義を愛すると思ったら大間違い。人類の滅亡を望む歪んだ思想の者はいるのよ。まして人間は、自分より強い存在を許さない。いくらあなたが正義の味方を気取っても、人類にとってはファントムガールは脅威の存在、人類の将来を脅かす可能性のある、危険な存在なのよ」
 
 ハンマーが少女の頭に衝撃を与える。視界が揺れる。眼が大きく見開かれ、一瞬呆けた表情になる。
 考えたこともなかった。ファントムガールが人類にとって、危険と思われてるなんて。
 信じたくはなかった。騙してるんだ、とも思いたい。だが、静かに話す片倉響子の口調には、力強さと説得力があった。
 
 「そして、残念なことに私達、宇宙生物との融合者・・・・・・『ミュータント』って言ったかしらね、『ミュータント』は、常に絶対的な力を持っているわけではない。もちろん、知ってるわよね? 我々の巨大化には、時間制限があることを」
 
 「・・・・・・60分・・・」
 
 「そう。つまり60分は無敵な我々も、その後は無力な人間に戻ってしまうわけ。まあ、超人的な身体能力は保っているのだけれど。それにしたって、変身解除後は、その影響で眠ってしまう」
 
 そのことは、七菜江も聞かされていた。里美が激闘によるダメージで伏せっている間、大まかにではあるが、銀の戦士としてのレクチャーを受けたのだ。その最初の講義が『ファントムガールには無闇にトランスフォームしてはならない』ということだった。正体を知られてはならない、という理由とともに、里美に声高に言われたのは、ファントムガールに長時間変身したり、トランス中に大きなダメージを受けると、トランス解除後、回復のために、『エデン』が強制的に身体機能を眠らせてしまうから、ということだった。
 
 『例えば、今回、私がメフェレスに殺されそうになった時、トランスを解除したわよね。あの時は幸運にもナナちゃんが私を見つけてくれたけど、もし、敵に見つかっていたら・・・今、ここにはいないでしょうね。殺されるならまだしも、どんな拷問を受けていたか、わからない。そういう意味では、変身を解くというのは、ファントムガールにとって、とても危険な行為なの』
 
 そう言えば、初めてファントムガールの正体を知ったあの日、メフェレスに嬲り者にされた里美は、地下の駐車場で死んだように眠っていた。その後、里美を背負った七菜江は、執事・安藤に見つけられ、保護されたのだが・・・・・・あの時、安藤がいたのは、戦闘で傷つきどこかで眠っているであろう里美を、敵が見つける前に探しに来ていたのだ。
 
 『そうよ。戦闘に勝ったり、負傷が少ない時は、トランスを解除して光の粒子となった時に、ある程度、自由に元の肉体の置き場所を選べるの。距離もそこそこ遠くまで行けるし。けれど、大きなダメージを受けたら、どこへ行くか、全くわからない。距離もほとんど解除した場所の近くになってしまう。トランスの制限時間、60分を越えると、ファントムガールは活動を停止してしまうということは、説明済みだったわよね? でも、かといって、敵を仕留められないまま、トランス解除するのは、死と隣合わせのイチかバチかの賭けになってしまうの。つまり、私達ファントムガールが生き残るには、60分のうちで、敵を倒すしかないのよ』
 
 『なんか・・・大変ですね』
 
 『そう。だから、できる限り、ファントムガールにはならない方がいいのよ。でも、結局、ミュータントが出てきたら、私達が倒さなくちゃいけないんだけどね』
 
 そう自嘲気味に笑う里美を、切ない気持ちで七菜江は見ていた。
 
 「・・・・・・・私達ミュータントも、あなたたちファントムガールも・・・まぁ、元々は同じものなんだけど、敢えて違う呼称を使うわ・・・・・・・60分の超肉体と引き換えに、無防備な状態を晒してしまうわけ。どんな無能な人間にでも、確実に殺せるような状態をね」
 
 スラリとした肢体を誇るように、腕組みをして斜に構える片倉響子。彼女の言わんとしていることは、着実に生徒に伝わっているようだった。
 
 「ミュータントもファントムガールも、最も正体を知られてはならないのは、敵に、ではない。一般人に、よ。この地球上に何十億といる普通の人間から、逃げられると思う? 彼らに正体を知られることこそが、破滅。そして、今、あなたが私と闘おうとしているのは、その破滅への道の第一歩なのよ。・・・・・理解できたかしら? おバカな七菜江ちゃん」
 
 「バカは余計だッッ!! ・・・・・・なんとなくだけど、わかったわよ」
 
 少女の両腕はとっくに垂れていた。右に傾いて立ち尽くす。どこまで、この憎い女の話を信じればいいか、わからないが・・・・ただ、この場でファントムガールになるのは、どうしても避けねばならないことは、ハッキリと意識していた。実際のところ、片倉響子の言う内容は、その通りなのだろう。残念だが、少女が守っている普通の人々が、七菜江をファントムガールと知ったら・・・その目は「人間」を見る目ではなくなるような気がする。一般人にこそ、正体を知られてはならぬという響子の主張は、頷かざるを得なかった。先ほどまでの闘志は掻き消え、握っていた拳を緩める。目の前に敵がいるのに・・・正体をみすみす知られてしまうのに・・・何もできない自分が腹立たしい。
 
 「ふふふ。あなたにしては上出来よ。でも、せっかくだから・・・」
 
 蜜を振りまいて、毒々しい闇華が笑う。その血の色をしたルージュを隠していた右手が、無造作に、指についた水を振りきるように、七菜江に向かって勢い良く差し出される。
 
 「ちょっと、遊びましょうよ」
 
 何もないはずの空間に、キラキラと光が散乱する。
 光が眼に飛び込んできた瞬間、七菜江は無事な右足で真横に3mを跳んでいた。使えない左足をキレイにたたみ、左肩から右肩へと、流れるように接地ポイントを移動させ、回転して受け身を取る。
 
 バシュバシュバシュッッ
 
 フローリングの床が、プリンにナイフを刺したみたいに、サックリと網目に刻まれる。一瞬、光を確認するのが遅れたら、七菜江の瑞々しい身体が、サイコロステーキになっていただろう。
 
 「こォんのッッ!! どこまで卑怯なのよッッ!!!」
 
 いかにも闘わないような話をしといて、殺す気満々じゃないのッ!! 
 回転した体を止める為、ズタズタの左足で踏ん張る。激痛の覚悟。その上をいく、神経を裂く電流が脊髄を疾走する。リスに似た愛らしい眼が、皺を寄せて細くなる。
 だが、少女の気力は、痛みなどには屈しない。襲われたら、闘う。その後を考えるほど、オトナじゃない。
 いつの間にか掴んだベッドの残骸を、片膝立ちになった瞬間、投げつける。鉄パイプがプロペラのように回転し、泉の妖精を思わせる蕭然さで立つ、美貌の教師に唸りをあげて突進する。
 
 華奢な左手を優雅としか表現できない動作で、響子が振る。鉄パイプが宙空で静止し、まばたきをひとつすると、コマ切れに分断されて、地に落ちる。
 
 “わかった!! この女の武器は・・・”
 
 空気が煌く。今度は前方に飛ぶ七菜江。ジャージが切れて、聖愛学院のシンボルカラー・青が、衣服の切れ端となって虚空を泳ぐ。
 
 「その動きは見切っているわ!」
 
 左足の使えない七菜江が、倒立した姿勢のまま、右手一本で床に着く。そのまま腕立て伏せの要領で腕を曲げ、思いきり伸ばしてジャンプ! 高校生の女のコが、己の体重を片腕のみで弾き飛ばそうというのだ。元が常人離れした運動神経の持ち主で、『エデン』の融合者だからこそできるウルトラE。
 だが、着地した時点で、光が逆立ちの少女を包囲する。その場所に七菜江が来るのを読んだ響子の待ち伏せ。片腕のジャンプを敢行した七菜江の右手首に、三条の朱線が疾る。
 
 「くうッッ!!」
 
 鋭い痛み。しかし、手首を落とされるより早く、七菜江の手刀が空を切る。ブチッという音とともに、見えない手首への戒めが解き放たれる。
 
 「やっぱり!! あんたの武器は、“糸”でしょッッ!!」
 
 「スペースシャトルの外壁を両断する特殊合成糸を、手で切るとはね! 面白い・・・見直したわ!」
 
 「言ってろッッ!」
 
 両手と右足だけの、三点の側転で、響子に迫る七菜江。
 響子が腕を交差して振るう。1ミクロンにも満たぬ細さにして、合成金属すらも細断する死の糸が、小麦色の柔肌をミンチにしたいと襲いかかる。が、少女の側転のスピードは、響子が糸を操る速度を遥かに凌駕していた。
 
 「なんてコ! 楽しませてくれるわね!」
 
 ブオッッッ・・・・
 
 風を引き連れた七菜江の身体が、霞みがかって響子の鼻先に現れる。
 ギリシャ彫刻の女神の顔に貼りついた、哄笑い。赤いヒルが、三日月の形に吊り上がる。
 
 “今までの想い・・・食らえッッ!!”
 
 加速度と回転力、そして自らの身体の捻りを右拳に乗せ、渾身のストレートを、怨敵の美しい顔面へ―――
 
 「えッッッ??!」
 
 妖艶な薔薇の笑顔が二重にぼやける。不意に襲った脱力感が七菜江の骨の髄から力を吸い取り、空中姿勢が大きく崩れる。それでもなんとか放った右ストレートは、力なく空を切り、美少女戦士はバランスを崩したまま、倒れこんだ。力が液体となって、あらゆる穴から垂れ流れていく。先までの攻勢も一転、床に這いつくばり、泥沼でもがく少女の後頭部を、残酷な女教師の高く、冷たいヒールが、ゴツッと踏みにじる。
 
 「たいしたものね、その運動神経は。そこは認めましょう。ちゆりが気に入ったのもわかるわ」
 
 「ぐッ・・・ううッッ・・・・・・・な、なん・・・で・・・・・・」
 
 石像が置かれたような圧力が、七菜江の頭にかかってくる。桃の頬が冷たい床に押し潰される。必死で動かす腕は、蛇のようにのたくるだけで、囚われた少女の言うことを聞いてくれない。明瞭だった視界が、白濁してくる。目蓋が鉄のように重くなり、開けているのもツライ。
 
 「言ったでしょ。蛆虫は神の足元に跪いているのが、お似合いなのよ。オホホホホホ!」
 
 片倉響子の尖ったヒールが、動けない少女戦士の頭部をガツガツと穿つ。その度に引き攣る、丸みを帯びた肢体。額が床に打ちつけられ、その衝撃で滲んだ血が、じっとりとフローリングに流れてくる。空気に鉄分の臭いが篭り始める。
 
 「あなたは怪我人なんだから、大人しくおクスリを飲んでればいいものを・・・」
 
 七菜江の脳裏に、先程吼介にもらった、白いカプセルが蘇る。あれ・・・・・・か・・・。またもや響子の罠に嵌ったことを悟り、注意不足な自分が嫌になる。
 
 「卑怯・・・者・・・・・また、だましたのね・・・・・・」
 
 「人聞きの悪いことを言わないで。工藤くんが言ってたでしょ? 睡眠薬入り鎮痛剤って。そのままのものよ。少し、効き過ぎるけど。どうかしら? 春の陽だまりにいる心地じゃなくって?」
 
 目蓋が重い。ぼやけた視界で、水の中にいるようだ。伝達神経が切れたみたいに、各個所が言うことを聞かない。底無し沼が、もがけばもがくほど、可憐な戦士を溺れさせていく。
 
 「さて、もっと、いい格好になってもらいましょうか。負け犬のファントムガール・ナナさん」
 
 響子が両手を勢いよく広げる。祈る形で、悪の女神の足元に跪いた七菜江の四肢が、今度はハッキリと目に見える太さの糸に絡み取られていく。手首と足首、そして首が。皮膚が裂け、骨が軋むほどに縛糸が食い込み、薬によって意識が半濁した少女戦士を、軽々と人形のように吊り上げる。
 
 保健室の中央に、糸のみで捕縛された七菜江が、十字架に処された無残な姿を晒す。両腕は真横にピンと張られ、強制的に閉じられた足が、一文字につま先までを伸ばした姿勢で完全に宙に浮く。うな垂れた頭を無理に上方に引っ張られ、絞首刑を架けられた様にも似ている。全体重が食いこむ糸に懸かり、破れた皮膚から滲んだ鮮血が、ポタポタと、処刑の床に落ちていく。閉じかけた瞳に虚ろな光が浮んでいる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

コント『コンビニのおにぎり』

みよし
大衆娯楽
コンビニ店員とクレーマーの掛け合い。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...