オメガスレイヤーズ ~カウント5~ 【究極の破妖師、最後の闘い】

草宗

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45、ヘドロ

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「ぐぶっ!? ・・・んぐぐぅ”っ・・・んんん”っ――っ!!」

 鼻と口とを覆った灰色のヘドロが、内部に侵入していく。
 咽喉がつまり、気道が完全に遮断される。窒息の苦しみに悶える凛香。オメガスレイヤーであろうと、呼吸できない苦痛に変わりはない。
 顏に張り付いた泥を、両手の指が懸命に剥そうとする。
 だが、多少口元を拭ったところで、奥へと侵入するヘドロは止まらない。咽喉を掻き毟るオメガフェニックスの内部で、グボグボと不気味な音が鳴る。
 
 グジュウウ・・・ゴボボ・・・グボオオッ・・・
 
「ん”ん”っ!! んうう”っ――っ!! ごぶっ!! ごぽァっ・・・!!」

「さーて、頑丈なオメガスレイヤーも・・・胃のなかから攻撃されて、平気かなぁ~?」

 グボオオオンンッ!!
 
 胃まで達した呪露ジュロの拳が、胃壁内部に打撃を撃ち込む。
 
「んぼお”っ!? んんん”っ~~~っ!!」

 背を丸めて悶絶する凛香に、構うことなく連続で打ち込まれる内臓パンチ。
 
 ドボオオオッ!! グボンッ!! ボゴオオッ!!
 
「ん”っ!! んんぐぅ”っ――っ!! んん”う”っ~~ッ!!」

 窒息と胃壁を殴られる二重苦がオメガフェニックスを責め立てる。
 いくらオメガ粒子の力を得たスーパーヒロインでも、口腔から胃までを汚泥で埋め尽くされ、体内を拳で殴られてはたまらなかった。吐血の糸が、喘ぐ唇からツツ、と垂れる。甲斐凛香としてならともかく、オメガフェニックスがこれほどに苦しむのは初めての経験だった。
 
 ボオオオウウウッ!!
 
 紅蓮の天使が両腕に炎のリングを出現させる。自らの顏に拳を押し付け、侵入するヘドロを焼いた。
 ジュウッ、と咽喉が焼け付く。真珠のごとく輝く顏に、黒い焦げ跡が浮かび上がる。
 
「げぼおお”っ――っ!! げほっ、ごほぉっ!! ぐ、うぅっ・・・やってくれるじゃない!」

 己自身焼くことを代償に、炎天使はようやく侵入した泥を吐き出した。胃の内部で出血したと思われる赤い雫が、泥とともにボタボタと地に落ちる。
 吐いたヘドロの塊が、本体である呪露のもとへ戻っていく。だが、追いかける間もなく、オメガフェニックスをもう一体の六道妖が襲ってくる。
 修羅妖・虎狼。
 緑色の穂先を取り付けた戟が、一閃となって炎天使の丸い乳房に突き出される。
 
「くっ!! 炎舞っ!!」

 出現させた炎の渦で、虎狼の戟をフェニックスが迎え撃つ。
 
 燃えるリングが十字状の刃を受け止める。はずだった。これまでは。
 
 緑に発光する穂先は、フェニックスの炎を弾き飛ばし、『Ω』マークの描かれた胸中央に着弾した。
 
 ズブウウゥンンンッッ!!!
 
「がはあぁっ!!? ・・・ごふっ!! ・・・な・・・んで・・・っ!?」

 果実のような双乳がぐにゃりと陥没するのを、凛香は呆然と見詰めた。
 大量の鮮血が、口を割って飛び出す。
 刃の切っ先は、フェニックスの表皮を突き破ってはいない。深紅のスーツを切り裂くことすらできていない。
 だが、緑の戟の一撃は、深刻なダメージを豊満ボディにもたらした。剣道の渾身の『突き』を、竹刀ではなく鋼鉄の棒で、Eカップはあろうかという巨乳に喰らったような。
 
「うわああああ”あ”っ――っ!!」

 かつて味わったことのない激痛と衝撃に、小柄な少女は軽々と吹き飛ぶ。
 よろめく先に待ち受けていたのは、通路へとあがった汚泥の塊だった。
 
「どうしたぁ~、オメガフェニックスぅ~・・・強気な発言がなくなっちまったなぁ~?」

 背後からフェニックスは、〝流塵”の呪露に抱きかかえられた。
 デカい。間近で見る泥の小山は、2mほどの高さがあった。158㎝の凛香からすれば、ふた回り以上は大きい。
 ズブズブと、ヘドロの壁に真っ赤な戦士が埋まっていく。灰色の泥で出来た妖化屍は、紅蓮の炎天使を飲み込もうとしているのだ。
 
「ぐああ”っ・・・!! 力がっ・・・出ないヨ・・・っ!?」

 深紅の生地に金色で描かれた『Ω』のマークが、シュウシュウと黒煙を昇らせている。
 〝オーヴ”の存在を知らぬフェニックスは、先の虎狼の一撃でオメガ粒子がどんどんと消滅していく事実に気付くはずもない。ただ、あの緑の穂先が、脅威であることを悟るのみだ。
 
「ゲヒヒヒッ!! 柔らかくて・・・揉みがいがあるなぁ~、お前のオッパイ・・・」

 両手と思しき形をしたヘドロが、背中から回り、フェニックスの左右の乳房を覆っていく。
 ぐにゅぐにゅと揉み潰す。深紅のスーツに包まれた、弾力ある丸い果肉。
 屈辱的な仕打ちに、可憐なマスクに怒りの朱が走る。だが、ズリュズリュとスーツ越しに粘液の這いずる感覚は、甘い痺れとなって凛香の女芯を刺激した。
 
「くうぅっ!! こ、この・・・やめっ!! ・・・許さない、わヨ・・・!! 放しなさっ・・・ん”くう”ぅっ!?」

「ゲヘッ、ゲゲゲッ・・・!! 紅いピッチリスーツの下・・・コリコリと・・・なんか、固くなってきたぞぉ~・・・オメガフェニックスも・・・気持ちいいことには感じちまうのかぁ~?」

「ばっ、バカなこと言って・・・ん”はあ”っ!? んん”あ”あ”っ~~っ!!」

 強化スーツをほのかに押し上げた胸の頂点を、灰色のヘドロが入念に絡みつく。細かく蠢動しながら、小さな竜巻をつくってジュルジュルと回る。
 感じるたびに乙女の肢体から力が抜けた。よりズブズブと、〝流塵りゅうじん”の体内に埋まっていく。
 
 ズリュウウッ!! ジュボオオッ!!
 
 汚泥の粘液が、オメガフェニックスの両耳からも潜入を始める。
 ヘドロが脳に向かって這い進む感覚。耳の奥で、ズブブブッ!! と浸食の大音声が響き渡る。
 
「んはあ”あ”あ”ア”ア”っ――っ!! ぎい”ィっ、イ”イ”っ!! ・・・やめぇっ!! みみィっ・・・!! やめええ”ぇ”っ――っ!!」

「ゲヒヒヒヒッ~~ッ!! どうした、オメガフェニックスぅ~? ・・・耳に挿入されるのは・・・初めてかぁ~? ・・・ていうかお前・・・処女だなぁ?」

 ドジュウウッ!! ズボオオオッ!! ジュブウウッ!! グボオオオッ!!
 
 鼻に。口に。お臍に。そして股間の・・・陰唇と肛門に。
 次々とヘドロの塊が、凛香の穴という穴から侵入していく。オメガフェニックスの体表も、内部も、灰色の汚泥に埋め尽くされていく。
 
「んぶう”う”っ~~っ!! んオ”オ”っ・・・!! ん”ぅっ!? んんん”っ――っ!!」

 もはや紅蓮の炎天使の赤いコスチュームは、泥の粘液にほとんど覆われ見えなくなった。
 汚泥まみれのグラマラスボディが、ヒクヒクと痙攣している。勝ち気で挑発的だった凛香の美貌は、恥辱に歪み、愉悦に蕩けていた。
 体内で、ヘドロの蠢く音色がゴボゴボと響いている。
 
「穴という穴を犯され・・・快楽に飲み込まれているっていうのに、粘るねぇ~・・・抵抗してもムダだぁ・・・早くオレのなかに埋もれちまいなぁ~、オメガフェニックスぅ~・・・」

 呪露の灰色の肉体のなかに、8割方埋まった紅蓮の炎天使。
 泥水に埋没したような美少女破妖師の前に、戟を構えた武人が佇む。
 
「・・・終わりだ、オメガフェニックス」

 ドボオオオオオッッンン!!!
 
 虎狼渾身の一撃が、動けぬ凛香の左胸に撃ち込まれる。
 緑に発光する穂先が、背中まで突き抜けるかと思われる勢いで、豊かに膨らんだ乳房に埋まった。
 
「・・・ゴビュッ!! ・・・ゴボオオオオッッ!!」
 
 フェニックスの瞳が見開き、凄まじい量の鮮血を吐き出す。
 ショートヘアの炎天使は、血飛沫を振り撒きながら、呪露の体内に埋没した。
 救いを求めるように伸ばした右腕が、かろうじて灰色の小山から外に出ている。
 
「ゲヒヒヒヒィッ~~ッ!! オメガフェニックス・・・いただきますぅ~~ッ!!」

 グチュウウッ!! ジュボオオッ!! ブチュウウウッ~~ッ!!
 
 獲物を噛み砕き、咀嚼するかのように。
 餓鬼妖・〝流塵”の呪露の体内で、汚泥が暴れ回る。粘液が紅蓮の炎天使を蹂躙する。
 オメガフェニックスの悶絶を報せるように、ヘドロから突き出た右手が虚空を掴んで痙攣する。
 
 ビクッ!! ビクビクビクッ!! ビクンッ!! ・・・ピクッ・・・ピク、ヒク・・・・・・
 
 宙空を掻き毟っていた右手が、その動きを止める。
 やがて、深紅のグローブを嵌めた右手は、力無くパタリと垂れた――。
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