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9、噛みつき
しおりを挟む「惨めなものだな」
離れて見ていたローブの男が、ボツリと呟く。
「キイッヒッヒッヒィッ~~ッ!! やはりいろいろと甘い! 甘いのう! ほりゃあ、ケガレどもよ。光の女神さまを貪るチャンスじゃぞォ!」
遠巻きに眺めていたリビングデッドたちが、骸頭の合図で一斉に動いた。
仰向けの女神に飛び掛かる。究極戦士も、今は頑丈が取り柄なだけの美しきドールだ。
ガブッ! ガブウッ、ガブッ! ガブガブッ!
首筋に二体が噛みつき、続けて乳房に噛みついた。
二の腕、太腿、脇腹と、ゾンビどもが次々と白銀の美乙女に牙を立てる。野犬のように噛みついていく。
160cmを少し越える天音の肢体に、十体以上の死者が、煩悩を剥き出しにして喰らいつく。白銀と紺青の女神が、ミイラのごとき集団に覆い尽される。
家族にすれば、地獄のような光景だった。
スーパーヒロインになったはずの肉親が、ゾンビの群れに噛まれているのだ。腕・脚はおろか、首筋も乳房も内股も。
肉を引き千切らんと、ケガレどもは幾度も牙を食い込ませる。鋼鉄の身体を誇るが故に、何度も、何か所も、死者に噛まれるオメガヴィーナス。
素肌はおろかスーツにも損傷は見られないが、その光景はまともに見られるものではなかった。
「・・・・・・ぅ”・・・ぁ”・・・・・・」
「四肢は〝ディアボロハンド”で抑えてある。意識を戻したところで、そやつに反撃は不可能じゃ。もっと遊んでいいんじゃぞ、ケガレども!」
わずかな反応を天音が示す。呼応するように、ケガレの一部も動いた。
乳房を貪っていたものが、食い込ませた牙を抜くや・・・紫の舌を長く伸ばし、ベロベロと舐め始める。
「・・・んぅっ!? ・・・ぅ”っ・・・!」
白銀の女神がビクリと背中を仰け反らせる。
構わず二体のゾンビは、舌を這わせた。ぷくりと浮き上がった、先端の蕾。白銀のスーツに影を落とすふたつの突起に、腐敗した舌が念入りに唾液を絡ませる。
ソフトボールのようなふたつの膨らみに、濡れ光る乳首が尖り立つ。
アンデッドに覆われたなか、白銀の双丘だけが浮き上がるのは、煽情的な光景だった。
「はア”っ・・・! あはぁ”っ・・・!!」
「フヒヒヒッ・・・感度良好じゃのう、オメガヴィーナス。下のほうも遊んでやるがよい」
ぴちゃ・・・くちゅ・・・ベロベロベロ・・・
紺青のフレアミニが捲られ、白銀の生地に包まれた女神の股間が露わになる。
クレヴァスがつくる淡い縦の翳を、ケガレの長い舌が舐めあげた。
執拗にぴちゃぴちゃとねぶる。
肛門から、陰唇上部の過敏な萌芽にかけて。下から上へと、何度も舌先が擦りあげる。
大の字に固定されたオメガヴィーナスの乳首が、秘裂が、汚らわしいゾンビに思うがまま貪られていく。
「うぅ”っ!! んくっ・・・!! んはア”ッ、ああア”ア”ッ~~ッ!!」
背中でアーチを描き、光の女神は絶叫した。
胸の頂点を屹立させ、ピクピクと震えるその姿は、明らかに苦痛ではない感覚に悶えていた。
「キィッ~~ヒッヒッヒィッ~~ッ!! やはり小娘はウブじゃなッ、オメガヴィーナス!」
唾液で濡れ光る、乳房と股間をヒクつかせ。
オメガヴィーナス=四乃宮天音は、背を仰け反らせたまま喘ぎ続けた。
両目に刺さった〝慧眼”の指は、いまだ外れないでいる。
暗闇のなかで、全身を噛まれる痛みと局部に注がれる刺激とは、より鋭さをもって天音を襲っていた。
「う”っ! んぅ”っ~~ッ!! ・・・んああ”――っ・・・!!」
代わる代わる、ケガレの群れは白銀の女神を舐め続けた。
ふたつの乳首と股間の秘所。聖なるスーツに隠された敏感地点を、集中して嬲る。しゃぶる。こね回す。
両親と妹が見ている眼の前で、四乃宮天音の瑞々しい肉体が、死者の愛撫に穢されていく。
「ヌシが闘い慣れる前に襲ったのは、大正解だったようじゃなァ~。ケガレの不浄な舌でも、十分女神さまは感じるようじゃ。気持ちよすぎて集中できんかの?」
「はあっ・・・! あ”ッ・・・! あァ”ッ・・・!」
「骸頭よ、あまり遊んでいる余裕はないぞ」
「わかっておるわい。究極戦士の嬌声をもうしばし堪能したいところじゃが・・・そろそろ始末といくかのう」
〝ディアボロハンド”がプラチナブロンドの髪を掴む。そのまま光の女神を吊り上げる。
いまだ止まぬ雨のなか、四肢をだらりと垂らしたオメガヴィーナスが、宙空に浮いた。
首筋に二体。二の腕、脇腹、太腿、ふくらはぎと、乙女の肉に牙を食い込ませたケガレどもが、ともにぶらぶらと垂れ下がった。
愛撫に精を出していた者たちは、乳房と股間に噛みつきながら、チロチロと舌を這わせている。
噛む力だけで己の体重を支え切るなど、ゾンビならではの芸当だろう。
白銀と青を身に纏った麗しきスーパーヒロインに、10体以上もの死者が喰らいついた凄惨な光景。
先程までの無敵ぶりがウソのように、黒魔術に囚われたオメガヴィーナスは、力無く〝悪魔の掌”に吊り下げられている。
「真ん中から、二つに引き裂いてやろうぞ」
一対の悪魔の手が、プラチナブロンドの女神の、両腕をそれぞれ握る。
幼児がオモチャの人形で、遊ぶかのようだった。
強烈な力で、左右に引っ張る。オメガヴィーナスの腕が、ピンと水平に伸びた。
「うぐぅ”ッ!! くうゥッ・・・!!」
ギチ・・・ミシミシ・・・メリィッ・・・
白銀のスーツの腕で、肩で、腹部で、嫌な音色が鳴る。
悪魔に両腕を引かれ、激痛に背を突っ張らせたオメガヴィーナスの姿は、くしくも十字架に掛けられたかのようであった。
家族たちの目前で、今、四乃宮天音の肉体が引き裂かれようとしている。
ブチッ・・・ミリミリッ・・・ミリィッ・・・ブチブチッ!!
「ッァ”!! ・・・ンゥ”ッ・・・!! ッッ~~~ッ!!」
「お、お姉ちゃんッ・・・!! うああッ――ッ、もうやめてぇッ~~ッ!!」
「ヒョホホホホッ!! 最強のオメガスレイヤーとやらも、大したことはなかったのう!」
魔術で召喚した〝ディアボロハンド”に、骸頭が渾身の力を込める。
青と白銀の女神の全身が、ビクンッ! と大きく痙攣した。
オメガヴィーナスの両目に刺さっていた骨だけの右手が、ボトリと大地に抜け落ちた。
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