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8、ディアボロハンド
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顔面を一様に蒼白にし、3人の家族は宙に浮かんだ天音を凝視した。
20歳の乙女は、もはやただ美しいだけの娘ではない。黄金の髪に、白銀のスーツ。紺青のケープとフレアミニ。そんな眩いばかりの外見に見劣らぬ、スーパーヒロインとして生まれ変わっているのだ。
それなのに。
最強の破妖師であるはずのオメガヴィーナスが、苦しみ悶えている。悲鳴の痛切さが、演技などではないことを教える。
白銀の女神は、「気を付け」の姿勢で宙に浮いていた。
よく見れば、胸元や脇腹、あるいは青のブーツや太腿に、陥没の痕が刻まれている。透明なアナコンダに、締め付けられているかのようだ。
そぼ降る雨が、オメガヴィーナスを捕獲しているモノの正体を、浮かび上がらせていた。
巨大なふたつの手。悪魔の掌=〝ディアボロハンド”。
地獄妖・骸頭の黒魔術に捉えられ、白銀の女神はその肢体を弄ばれているのだった。
「ぐう”ッ!! くふゥ”ッ・・・!! うああ”ッ・・・!!」
「あ、天音ッ!? ・・・ま、まさかッ・・・オメガスレイヤーの身体に、妖化屍の攻撃がこうも容易く通用するなんてッ・・・!?」
「ぐふッ、グフフフ! 無敵のはずの究極戦士が苦しむのが、そんなに不思議かね、父君ッ?」
皺だらけの老人が、さらに顔をクシャクシャにして笑う。
「儂が招集せし六道妖、並の妖化屍の集団と思ってもらっては困るのう。確かにその小娘、銃火器の乱射を浴びても傷ひとつつかぬようじゃが・・・物理攻撃でなく、魔導の技となれば別のようじゃなぁ? 本物の悪魔の攻撃にも、耐えることができるかのッ!?」
〝ディアボロハンド”のひとつはオメガヴィーナスの胴体を、もうひとつは両脚を握っていた。
白銀の女神を襲っているのは、骸頭の魔術だけではない。その両目には骨だけになった指が、ピースをするように刺さっている。
家族にとっては、悪夢のような光景だった。しかし、〝悪魔の掌”による責めは、これからが本番なのだ。
「うあああ”あ”ッ~~ッ!! うくゥ”ッ・・・ぐううう”ッ~~ッ!!」
巨大なふたつの掌が、オメガヴィーナスの肢体を力任せに引き延ばす。
ミシミシと、嫌な音色が鳴った。四乃宮天音が頑強な身体を手に入れたのは確かであろうが、相手はあまりに巨大すぎる。掌だけで、天音の全身を凌ごうかというサイズなのだ。
「きゃあああ!? ひッ、イイィッ~~ッ・・・!!」
「や、やめてぇッ――ッ!! み、見てらんないよッ!!」
母親の悲鳴と、妹・郁美の懇願が響く。
ゲラゲラと笑う怪老は、〝ディアボロハンド”を操った。
空中に固定されたオメガヴィーナスが、今度は捻じられていく。雑巾のように。上半身と下半身が、巨大な手によりそれぞれ逆に回っていく。
白銀のスーツの胴体部分に、クッキリと捻じれの斜線が刻まれた。
「うああ”あ”ッ――ッ!! ・・・あがア”ッ!! ・・・ウアア・ア・ア”ッ・・・!!」
信じられない、想いであった。
オメガスレイヤーがいかに超人的な存在であるか。さんざん天音はレクチャーを受けていた。戦車に砲弾を撃ち込まれようと、暴走列車に轢かれようと、耐え抜けるはずなのだ。
それが、〝悪魔の掌”にいいように捻じられている。肉体を破壊される苦痛に、悲鳴を抑えられない。
(ア、妖化屍の力が・・・これほどのものだなんて・・・ッ!)
「キイッ、キヒヒヒッ! 我が黒魔術の前では、最強のオメガスレイヤーもただの小娘じゃのう! ほ~らッ!」
巨大な悪魔の掌が、オメガヴィーナスの持ち方を変える。両手の指を組んで中央に挟むと、左右から圧迫していく。
ピン! と直立した天音の肢体。
両腕、そして白銀のスーツの脇部分で、メキメキと骨が軋む。
「ぐううう”う”ッ――ッ!! うう”ッ・・・ぐゥッ・・・!」
「女神さまのオッパイの弾力でも、楽しませてもらおうかのう」
〝ディアボロハンド”のふたつの親指が、左右の乳房をそれぞれ押し潰す。
「Ω」が描かれた黄金マークの下。丸く突き出た美乳が、ぐにゃりと変形した。
「んぅ”ッ!?」
視界を閉ざされた天音は、己の身に起きた事態を瞬時に理解した。
巨大なふたつの親指で、乳房をこねられる。
ぐぅり、ぐぅり、と悪魔の指は、形のいい膨らみを揉み回した。潰しながら。時に頂点を、くすぐるように。
指自体は見えなくても、白銀のスーツに包まれたバストがぐにゃぐにゃと変わることで、オメガヴィーナスが愛撫を受けているのは明白だった。
「くぅっ・・・! ふぐっ・・・!」
「くふふ・・・なんとも美しい乳房じゃな。大きさも形も申し分ないわい。ハリ・弾力もまさに最高級よな」
「こ、この・・・んふぅ”っ~~!?」
「どうしたぁ~、オメガヴィーナス。苦しいかの? それとも気持ち良いのかなぁ~!? 乳首が浮き上がってきておるのは、どういうことじゃな?」
両親、そして妹の眼の前で、辱めを受けている。
その事実が、肉体の苦痛以上のダメージを天音に与えた。頬を桜色に染め、思わず叫ぶ。
「やっ、やめなさいっ!! こ、こんなことをしても私にはッ・・・!」
ドキャアアアッ!!
羞恥に気が削がれる瞬間を待っていたかのように、〝ディアボロハンド”は白銀の女神を大地に叩き付けていた。
地中に埋没する、オメガヴィーナス。
ただ青いケープの裾と、何かを掴もうとするような右手だけが、陥没した穴から覗いている。
「きゃあああッ~~ッ!? お、お姉ちゃッ・・・!」
郁美の悲鳴を遮って、怒涛のごとき轟音が鳴った。
巨大な拳が振り下ろされる。大地に埋まった、女神に向けて。
連打。連打。連打。
百発は下らぬ悪魔のパンチが、白銀の肢体に撃ち込まれる。
「ッッ!! ・・・あ、天音ッ・・・!!」
大地が崩れるかのような轟音が、ようやくやんだ。
地の底から覗くオメガヴィーナスの右手は、ピクリとも動かず固まっていた。
血の気を失った家族たちの前で、四乃宮天音の肢体が地中から引きずり出される。
プラチナブロンドの女神は、仰向けで大の字に転がった。
骨だけの指が、依然、両目に刺さっている。表情は読み取れぬが、半開きになった口が、閉じられることはなかった。
左胸が、わずかに隆起している。
それ以外、指先ひとつオメガヴィーナスは動かさなかった。生きてはいるが、完全に失神してしまっているのだろう。
20歳の乙女は、もはやただ美しいだけの娘ではない。黄金の髪に、白銀のスーツ。紺青のケープとフレアミニ。そんな眩いばかりの外見に見劣らぬ、スーパーヒロインとして生まれ変わっているのだ。
それなのに。
最強の破妖師であるはずのオメガヴィーナスが、苦しみ悶えている。悲鳴の痛切さが、演技などではないことを教える。
白銀の女神は、「気を付け」の姿勢で宙に浮いていた。
よく見れば、胸元や脇腹、あるいは青のブーツや太腿に、陥没の痕が刻まれている。透明なアナコンダに、締め付けられているかのようだ。
そぼ降る雨が、オメガヴィーナスを捕獲しているモノの正体を、浮かび上がらせていた。
巨大なふたつの手。悪魔の掌=〝ディアボロハンド”。
地獄妖・骸頭の黒魔術に捉えられ、白銀の女神はその肢体を弄ばれているのだった。
「ぐう”ッ!! くふゥ”ッ・・・!! うああ”ッ・・・!!」
「あ、天音ッ!? ・・・ま、まさかッ・・・オメガスレイヤーの身体に、妖化屍の攻撃がこうも容易く通用するなんてッ・・・!?」
「ぐふッ、グフフフ! 無敵のはずの究極戦士が苦しむのが、そんなに不思議かね、父君ッ?」
皺だらけの老人が、さらに顔をクシャクシャにして笑う。
「儂が招集せし六道妖、並の妖化屍の集団と思ってもらっては困るのう。確かにその小娘、銃火器の乱射を浴びても傷ひとつつかぬようじゃが・・・物理攻撃でなく、魔導の技となれば別のようじゃなぁ? 本物の悪魔の攻撃にも、耐えることができるかのッ!?」
〝ディアボロハンド”のひとつはオメガヴィーナスの胴体を、もうひとつは両脚を握っていた。
白銀の女神を襲っているのは、骸頭の魔術だけではない。その両目には骨だけになった指が、ピースをするように刺さっている。
家族にとっては、悪夢のような光景だった。しかし、〝悪魔の掌”による責めは、これからが本番なのだ。
「うあああ”あ”ッ~~ッ!! うくゥ”ッ・・・ぐううう”ッ~~ッ!!」
巨大なふたつの掌が、オメガヴィーナスの肢体を力任せに引き延ばす。
ミシミシと、嫌な音色が鳴った。四乃宮天音が頑強な身体を手に入れたのは確かであろうが、相手はあまりに巨大すぎる。掌だけで、天音の全身を凌ごうかというサイズなのだ。
「きゃあああ!? ひッ、イイィッ~~ッ・・・!!」
「や、やめてぇッ――ッ!! み、見てらんないよッ!!」
母親の悲鳴と、妹・郁美の懇願が響く。
ゲラゲラと笑う怪老は、〝ディアボロハンド”を操った。
空中に固定されたオメガヴィーナスが、今度は捻じられていく。雑巾のように。上半身と下半身が、巨大な手によりそれぞれ逆に回っていく。
白銀のスーツの胴体部分に、クッキリと捻じれの斜線が刻まれた。
「うああ”あ”ッ――ッ!! ・・・あがア”ッ!! ・・・ウアア・ア・ア”ッ・・・!!」
信じられない、想いであった。
オメガスレイヤーがいかに超人的な存在であるか。さんざん天音はレクチャーを受けていた。戦車に砲弾を撃ち込まれようと、暴走列車に轢かれようと、耐え抜けるはずなのだ。
それが、〝悪魔の掌”にいいように捻じられている。肉体を破壊される苦痛に、悲鳴を抑えられない。
(ア、妖化屍の力が・・・これほどのものだなんて・・・ッ!)
「キイッ、キヒヒヒッ! 我が黒魔術の前では、最強のオメガスレイヤーもただの小娘じゃのう! ほ~らッ!」
巨大な悪魔の掌が、オメガヴィーナスの持ち方を変える。両手の指を組んで中央に挟むと、左右から圧迫していく。
ピン! と直立した天音の肢体。
両腕、そして白銀のスーツの脇部分で、メキメキと骨が軋む。
「ぐううう”う”ッ――ッ!! うう”ッ・・・ぐゥッ・・・!」
「女神さまのオッパイの弾力でも、楽しませてもらおうかのう」
〝ディアボロハンド”のふたつの親指が、左右の乳房をそれぞれ押し潰す。
「Ω」が描かれた黄金マークの下。丸く突き出た美乳が、ぐにゃりと変形した。
「んぅ”ッ!?」
視界を閉ざされた天音は、己の身に起きた事態を瞬時に理解した。
巨大なふたつの親指で、乳房をこねられる。
ぐぅり、ぐぅり、と悪魔の指は、形のいい膨らみを揉み回した。潰しながら。時に頂点を、くすぐるように。
指自体は見えなくても、白銀のスーツに包まれたバストがぐにゃぐにゃと変わることで、オメガヴィーナスが愛撫を受けているのは明白だった。
「くぅっ・・・! ふぐっ・・・!」
「くふふ・・・なんとも美しい乳房じゃな。大きさも形も申し分ないわい。ハリ・弾力もまさに最高級よな」
「こ、この・・・んふぅ”っ~~!?」
「どうしたぁ~、オメガヴィーナス。苦しいかの? それとも気持ち良いのかなぁ~!? 乳首が浮き上がってきておるのは、どういうことじゃな?」
両親、そして妹の眼の前で、辱めを受けている。
その事実が、肉体の苦痛以上のダメージを天音に与えた。頬を桜色に染め、思わず叫ぶ。
「やっ、やめなさいっ!! こ、こんなことをしても私にはッ・・・!」
ドキャアアアッ!!
羞恥に気が削がれる瞬間を待っていたかのように、〝ディアボロハンド”は白銀の女神を大地に叩き付けていた。
地中に埋没する、オメガヴィーナス。
ただ青いケープの裾と、何かを掴もうとするような右手だけが、陥没した穴から覗いている。
「きゃあああッ~~ッ!? お、お姉ちゃッ・・・!」
郁美の悲鳴を遮って、怒涛のごとき轟音が鳴った。
巨大な拳が振り下ろされる。大地に埋まった、女神に向けて。
連打。連打。連打。
百発は下らぬ悪魔のパンチが、白銀の肢体に撃ち込まれる。
「ッッ!! ・・・あ、天音ッ・・・!!」
大地が崩れるかのような轟音が、ようやくやんだ。
地の底から覗くオメガヴィーナスの右手は、ピクリとも動かず固まっていた。
血の気を失った家族たちの前で、四乃宮天音の肢体が地中から引きずり出される。
プラチナブロンドの女神は、仰向けで大の字に転がった。
骨だけの指が、依然、両目に刺さっている。表情は読み取れぬが、半開きになった口が、閉じられることはなかった。
左胸が、わずかに隆起している。
それ以外、指先ひとつオメガヴィーナスは動かさなかった。生きてはいるが、完全に失神してしまっているのだろう。
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