2 / 6
日常
しおりを挟む
完全に閉め切られた部屋にカタカタと軽い音だけが響く。
電気をつけていないため薄暗い部屋。その中に一点、様々な光を発しているものが一つ。
そのものを食い入るように見つめている人物が一人。器用なことに手はカタカタとその下にあるものを打ち続けている。
視線の先では、鋼鉄の鎧に身を包んだ騎士とその仲間らしき人物が敵を打撃や魔法で攻撃していた。
―渾身の一撃。
敵の頭上にある横長のゲージがゼロになる。
明るい音楽や華やかな花火とともに、画面には「STAGE CLEAR」の文字がでかでかと誕生日会の催しの如く表示された。
今度は、村へと帰還した一向の頭上にふきだしマークが浮かび上がる。枠の中にはおさめられた様々な言葉が送られてくる。
『ありがとうございました(*^_^*)』
『やっぱり強いです(^O^)』
『最高!\(^o^)/』
同じパーティにいた仲間―――オンラインでのゲーム仲間からの礼。
これらの言葉を見るなり、無意識にため息を漏らした。
彼の名はノア。部屋から出ることを好まず、ネットサーフィンに一日を費やす。大抵が今やっているオンラインゲームである。
彼は世間一般で言う引きこもりで、学校にはもう一年あまり行っていない。
両親は幼いころに他界し、今は一人で生活している。
高校に入学したものの、わずか数日で、あることをきっかけに不登校となった。
結果、学校、制服に慣れない、友達が出来ない状態に陥ってしまったまま月日は流れるばかり。
一人暮らしには広すぎる家の中で、ついには自分の部屋にしか居場所がなくなった。理由は単純、最も落ち着く場所だから。
「ふぅ・・・」
暗い部屋の中で画面をずっと見ていたため目が極端に疲れる。疲労を少しでも回復するべく目頭を指でつまむ。
―この処方が合っているのかは不明だが・・・。
追い打ちをかけるかのように、目の下にはわずかに隈が出来ている。昨日からまともに寝ていない。
「さすがに寝ないと・・・」
限界を感じ、重くなっていく瞼に逆らえずノアは自ら睡魔に身を委ねた。
電気をつけていないため薄暗い部屋。その中に一点、様々な光を発しているものが一つ。
そのものを食い入るように見つめている人物が一人。器用なことに手はカタカタとその下にあるものを打ち続けている。
視線の先では、鋼鉄の鎧に身を包んだ騎士とその仲間らしき人物が敵を打撃や魔法で攻撃していた。
―渾身の一撃。
敵の頭上にある横長のゲージがゼロになる。
明るい音楽や華やかな花火とともに、画面には「STAGE CLEAR」の文字がでかでかと誕生日会の催しの如く表示された。
今度は、村へと帰還した一向の頭上にふきだしマークが浮かび上がる。枠の中にはおさめられた様々な言葉が送られてくる。
『ありがとうございました(*^_^*)』
『やっぱり強いです(^O^)』
『最高!\(^o^)/』
同じパーティにいた仲間―――オンラインでのゲーム仲間からの礼。
これらの言葉を見るなり、無意識にため息を漏らした。
彼の名はノア。部屋から出ることを好まず、ネットサーフィンに一日を費やす。大抵が今やっているオンラインゲームである。
彼は世間一般で言う引きこもりで、学校にはもう一年あまり行っていない。
両親は幼いころに他界し、今は一人で生活している。
高校に入学したものの、わずか数日で、あることをきっかけに不登校となった。
結果、学校、制服に慣れない、友達が出来ない状態に陥ってしまったまま月日は流れるばかり。
一人暮らしには広すぎる家の中で、ついには自分の部屋にしか居場所がなくなった。理由は単純、最も落ち着く場所だから。
「ふぅ・・・」
暗い部屋の中で画面をずっと見ていたため目が極端に疲れる。疲労を少しでも回復するべく目頭を指でつまむ。
―この処方が合っているのかは不明だが・・・。
追い打ちをかけるかのように、目の下にはわずかに隈が出来ている。昨日からまともに寝ていない。
「さすがに寝ないと・・・」
限界を感じ、重くなっていく瞼に逆らえずノアは自ら睡魔に身を委ねた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。

だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる