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公認デート

ストーリー36

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 数日後、奏多さんから連絡があり今週の土曜日にフラワーパークに行く事になった。

「当日は朝から家に迎えに行くから待っててな」

 私は少しずつ実感が湧いてきた。奏多さんとデート出来るんだ。想像するだけで幸せな気持ちになる。

そしてデート当日ーー

「おはようございます」

 約束通り奏多さんは家まで迎えに来てくれた。

 私はデートにどういった服を着て良いか分からず悩みに悩んだ末、ノースリーブのブラウスにフレアスカートを合わせてみた。

「おぉ奏多、今日は楽しんでこい」

 奥の部屋にいた父もわざわざ玄関まで来て奏多さんに声をかける。

「はい。あっ家元、ちょっといいですか?」

「何だ?」

 奏多さんと父は何かを話しているけど、私にはその会話の内容は聞こえない。玄関の扉を開けたまま、外で二人の話が終わるのを待つ。

 華月の家を出ると、家の前に一台の車が止まっていた。

「これ俺の車、さぁ乗って」

 奏多さんが車のドアを開けてくれたので助手席に乗りシートベルトを着用する。

「奏多さん、車の免許持ってたんですね」

「うん。普段は歩きが多いけど、離れたところで開催される茶会の時とかは車移動が多いかな」

 フラワーパークに着き、奏多さんは車を駐車させる。後ろを振り返りながらハンドルを操作する姿に私はドキドキしてしまった。

「どうしたん? 何か顔赤くなってない?」

 車のエンジンを止めて、奏多さんは私の顔を覗き込んでくる。

「な、何でもないです」

 奏多さんにドキドキしましたなんて恥ずかしくて言えない。不思議そうな表情をしている奏多さんから私はパッと向きを変え、ドアを開けて先に車から出た。

 受付で招待券を見せて早速園内に入る。まだプレオープンなので園内にはそんなに人はいない。

 私達は受付でもらったパンフレットを見ながらゆっくりと花を見て歩いた。

 花を見ながら奏多さんは優しい表情で微笑んでいる。本当に花が好きなんだな。私は邪魔をしないように隣で同じように花を見つめた。

「あっちにバラ園があるから行ってみようか」

 花に囲まれて上機嫌の奏多さんはパンフレットを見ながらバラ園に向かって歩き出す。

 バラ園に入った瞬間、バラの香りが私達を包み込んだ。

「バラって色んな色があるんですね」

「そうやな。でも俺はやっぱり赤いバラがええな」

 私達がバラを見ながら話をしていると、後ろから誰かに声をかけられた。

「あれ? 奏多じゃん」

 声に反応して私達は振り返る。声をかけてきたのは若い男性、奏多さんの友人かな。

ひかる……何でお前がここに?」

「あっ俺? バイト先でここの招待券もらったから友達と来たんだけど」

 彼は奏多さんと話しながら視線を私に移しガン見してくる。

「なぁ奏多、まさか彼女とデート中? めっちゃ美人じゃん」

 よく分からないけど、何か観察するみたいに好奇の目で私を見てくる。

「光、ちょっとこっち来い」

 奏多さんは彼の肩に手をかけ、時折私の方を見ながら何かコソコソ話をしている。

「友達待ってるから行くわ。じゃあまたな奏多……と桜さん」

 彼は手を振りながらバラ園から出て行った。

「どうして私の名前……」

「あぁ俺が教えたんや。ごめんなアイツ騒がしくて。次行こか」

 結局さっきの彼は誰だったのか分からないままだけど、この時は奏多さんの友人の一人だろうと思って気にはしてなかった。

 一通り見て回り、フラワーパークの外に出た。

「夜なったらライトアップされてまた違った雰囲気になるんやて。後でまた見に来ような」

「そうなんですね。それは楽しみです。あっでも、帰りが遅くなったら父が変に思うかも」

「そこは大丈夫。さっき家元に夜にもう一度フラワーパーク行くから帰りが遅くなりますって言ってきたから」

 出かける前に話してたのはこの事だったのか。

 それからイタリアンカフェで昼食のパスタを食べながら、この後どうしようかという話をする。

「どこか行きたいところある? 何なら俺の家でデートの続きしてもいいけど」

 出た、奏多さんの意地悪そうな笑顔……。家デートで何をするのかを妄想して私は顔が熱くなった。多分この感覚は頬が赤くなっているはず。

「はは、嘘やて。でもそんな可愛い反応されたら本当にこのまま家に連れて帰りたいわ」

 向かい合ったテーブル越しに奏多さんは私の長い髪にサラッと触れた。

「も、もう奏多さんってば」

 奏多さんの意味深な笑みを見て、私の心拍数はどんどん上がっていく。奏多さんのこの表情にいつも魅了されてしまう。
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