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主任×私×番外編
ストーリー45
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「おーい赤崎さん、ちょっといいかな」
女子社員で会話が盛り上がっている中、私は課長から呼び出された。
「はい、何でしょうか?」
席を立ち課長の机の前に移動する。すると課長は立ち上がり、ちょっと話があると言って庶務課の外に出た。よく分からないけど、私も課長の後をついて行く。
「赤崎さん、単刀直入に聞くけど営業企画部の平国主任とその……付き合っているって噂は本当かな?」
「はい……本当です」
何となく気不味い空気の中黙々と歩き、着いた先は第二会議室だった。課長の顔を見ると中に入ってとディスチャーされ、言われるがままに中に入った。
ゆっくりとドアを開けて中に入ると、すでに人がいる。
「あっ」
思わず声が出てしまい、慌てて両手で口を押さえた。そこに居たのは、営業企画部の課長と蓮さんだった。
「赤崎さん、そこに掛けてください」
営業企画部の課長が手で蓮さんの隣に座るよう誘導する。私は小声で『失礼します』と言って椅子に腰掛けた。
チラッと蓮さんを見てみると、蓮さんもこっちを見て微笑んでいる。バッチリ目が合いドキッとした私は、勢いよく目を逸らした。
今日も朝からカッコいいな……って見惚れてしまったのは内緒にしておこう。
「二人とも仕事前にすまないね」
庶務課の課長も私の前に座る。それにしても私と蓮さんが呼び出されるなんて、付き合っているのがバレたからだよね。今から説教かな。
「今日呼んだのは、二人が交際しているという噂が社内中に広まっているからその事実確認をと思ってな。さっき平国主任にも聞いたけど、事実ということでいいかな?」
営業企画部の課長にガン見されながら聞かれて、私は緊張しながら『はい』と答える。
「赤崎さん、そんなに緊張しなくてもいいよ。悪い事してる訳じゃないんだから。まぁ相手が平国主任だから騒ぎになって大変だね」
二人の課長は笑いながら私の方を見た。あれ? 何を言われるか構えてたけど、説教じゃない感じ?
「さっき庶務課で見た感じでは女子間でトラブルも無さそうだし、何かあったらいつでも相談するんだぞ」
なるほど、呼び出されたのは噂の事実確認と蓮さんファンからの嫌がらせがないかの確認かな。
「はい、ありがとうございます。困った事がありましたら相談させて下さい」
私は椅子から立ち上がり課長達に頭を下げる。
「君達二人なら大丈夫だとは思うが、くれぐれも仕事とプライベートは一緒にしないでくれよ」
蓮さんも立ち上がり『分かってます』と頭を下げた。
そして確認を終えた課長達は会議室から出て行った。
「ふぅ」
緊張が解けてそのまま目の前の机に手をつく。
「美織おはよう」
そう言って蓮さんはふわっと後ろから私を抱きしめてきた。
「ちょ……ちょっと、今課長達に仕事とプライベートは一緒にするなって釘刺されたばかりじゃん」
「人前では……だろ?」
私は顔だけ後ろを向き蓮さんを見ると、ニヤッとした表情で私を見返してきた。
私は『もう』と呆れたように言いながら、抱きしめている蓮さんの腕にそっと手を添える。本人には言わないけど、本当は嬉しかった。
「他の人に嫌な事言われてないか?」
「覚悟して会社に来たけど大丈夫だったよ」
「良かった。でも何かあったら課長より先に俺に言ってくれよ? ちゃんと守るから」
「うん」
「じゃあ仕事に戻るか」
蓮さんは抱きしめていた手を離し、私達は会議室を出ようとドアまで歩く。
「美織」
何? と言いながら振り向くと、蓮さんはいきなり私にキスしてきた。
「夜、家で待ってるから」
唇が離れると蓮さんは私の頭にポンと手を乗せて、いつもの笑顔を見せる。私は突然のキスに目を見開いたままだった。
そして私達はそれぞれの部署に戻った。
女子社員で会話が盛り上がっている中、私は課長から呼び出された。
「はい、何でしょうか?」
席を立ち課長の机の前に移動する。すると課長は立ち上がり、ちょっと話があると言って庶務課の外に出た。よく分からないけど、私も課長の後をついて行く。
「赤崎さん、単刀直入に聞くけど営業企画部の平国主任とその……付き合っているって噂は本当かな?」
「はい……本当です」
何となく気不味い空気の中黙々と歩き、着いた先は第二会議室だった。課長の顔を見ると中に入ってとディスチャーされ、言われるがままに中に入った。
ゆっくりとドアを開けて中に入ると、すでに人がいる。
「あっ」
思わず声が出てしまい、慌てて両手で口を押さえた。そこに居たのは、営業企画部の課長と蓮さんだった。
「赤崎さん、そこに掛けてください」
営業企画部の課長が手で蓮さんの隣に座るよう誘導する。私は小声で『失礼します』と言って椅子に腰掛けた。
チラッと蓮さんを見てみると、蓮さんもこっちを見て微笑んでいる。バッチリ目が合いドキッとした私は、勢いよく目を逸らした。
今日も朝からカッコいいな……って見惚れてしまったのは内緒にしておこう。
「二人とも仕事前にすまないね」
庶務課の課長も私の前に座る。それにしても私と蓮さんが呼び出されるなんて、付き合っているのがバレたからだよね。今から説教かな。
「今日呼んだのは、二人が交際しているという噂が社内中に広まっているからその事実確認をと思ってな。さっき平国主任にも聞いたけど、事実ということでいいかな?」
営業企画部の課長にガン見されながら聞かれて、私は緊張しながら『はい』と答える。
「赤崎さん、そんなに緊張しなくてもいいよ。悪い事してる訳じゃないんだから。まぁ相手が平国主任だから騒ぎになって大変だね」
二人の課長は笑いながら私の方を見た。あれ? 何を言われるか構えてたけど、説教じゃない感じ?
「さっき庶務課で見た感じでは女子間でトラブルも無さそうだし、何かあったらいつでも相談するんだぞ」
なるほど、呼び出されたのは噂の事実確認と蓮さんファンからの嫌がらせがないかの確認かな。
「はい、ありがとうございます。困った事がありましたら相談させて下さい」
私は椅子から立ち上がり課長達に頭を下げる。
「君達二人なら大丈夫だとは思うが、くれぐれも仕事とプライベートは一緒にしないでくれよ」
蓮さんも立ち上がり『分かってます』と頭を下げた。
そして確認を終えた課長達は会議室から出て行った。
「ふぅ」
緊張が解けてそのまま目の前の机に手をつく。
「美織おはよう」
そう言って蓮さんはふわっと後ろから私を抱きしめてきた。
「ちょ……ちょっと、今課長達に仕事とプライベートは一緒にするなって釘刺されたばかりじゃん」
「人前では……だろ?」
私は顔だけ後ろを向き蓮さんを見ると、ニヤッとした表情で私を見返してきた。
私は『もう』と呆れたように言いながら、抱きしめている蓮さんの腕にそっと手を添える。本人には言わないけど、本当は嬉しかった。
「他の人に嫌な事言われてないか?」
「覚悟して会社に来たけど大丈夫だったよ」
「良かった。でも何かあったら課長より先に俺に言ってくれよ? ちゃんと守るから」
「うん」
「じゃあ仕事に戻るか」
蓮さんは抱きしめていた手を離し、私達は会議室を出ようとドアまで歩く。
「美織」
何? と言いながら振り向くと、蓮さんはいきなり私にキスしてきた。
「夜、家で待ってるから」
唇が離れると蓮さんは私の頭にポンと手を乗せて、いつもの笑顔を見せる。私は突然のキスに目を見開いたままだった。
そして私達はそれぞれの部署に戻った。
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