23 / 46
主任×私×クリスマス
ストーリー23
しおりを挟む
「……あれ?」
目を冷まして隣を見ると蓮さんがいた。そして腕枕……私は温かいぬくもりに包まれながら夢じゃない嬉しさを感じた。
「起きたか?」
「ご、ごめんなさい。私寝ちゃってた?」
そっと蓮さんの顔を見ると、優しい表情で私の頭をポンポンっとしてきた。
「……イルミネーション、見に行けなくて悪かったな。明日の夜見に行くか?」
時間を確認すると0時を過ぎて日付が変わっていた。明日は朝から仕事だから今から出かけるわけには行けない。でも明日は……。
「ごめん。明日は飲みに行く約束があって」
「誰と?」
まさか男じゃないだろうな、と言わんばかりに蓮さんはジトーッと私を見る。
「庶務課の忘年会……だから男性もいます」
私だって蓮さんと一緒に居たいけど、参加しますって言っちゃったしな。
庶務課もわざわざクリスマスに忘年会をする事ないのに。
「それなら仕方ないか。あまり飲み過ぎるなよ。美織は酒が入ると可愛さが増すからな」
「可愛さって何言って……」
私が話し終わる前に蓮さんは私を名残惜しそうに抱きしめてくる。もう、この人はいつのまにか溺愛マスターになってるし。
ぐぅぅ
蓮さんに抱きしめられている最中なのに、私のお腹は非情にも鳴り響いた。恥ずかし過ぎる。そういえば今日の夜は何も食べてなかった。
「はは、美織のお腹は自由だな。何か作ってくるよ。何でもいいか?」
「……すみません」
顔を真っ赤にさせている私をよそに、蓮さんはベッドから降りて服を着ると、何故かもう一着シャツを持って私の前に持ってきた。
「美織の服汚れちゃいけないし、これ着てリビングな」
私がシャツを受け取ると、蓮さんはそのままキッチンへ向かった。
自分の着ていた服を畳み、渡されたシャツを着てみる。やっぱりサイズが違いすぎてダボっとして何かワンピースみたいになった。
「あっ蓮さんの匂いがする」
シャツからする蓮さんの匂いに表情を緩まり、これが彼シャツってやつかと一人でにやけてしまった。
シャツを着てリビングへ行くと、いい匂いがしてきた。
「こんなものしか作れなかったけど」
そう言って私の前に鍋焼きうどんを置く。熱々のうどんの上に卵も落としてあってめっちゃ美味しいそう。こういうのをサラッと作れる才能が羨ましい。
「ありがとう。頂きます」
私は遠慮なくフゥフゥしながら鍋焼きうどんを食べる。蓮さんは私の前に座り、その様子をじっと見ている。
「なんか美織が俺のシャツ着てるのっていいな」
「そんなに見られたら恥ずかしいって。それよりお見合い、どうやって解決したの? 円満って言ってたけど」
お見合いの話をした瞬間、蓮さんの表情が暗くなった。一体何があったというの?
「……れた」
「え?」
蓮さんはかなり小さな声で何かを言ってるけど、私は聞き取れなくてもう一度聞き直した。
「結論から言うと見合いを断られたんだ、俺」
「断られたって……蓮さんが? 断ったんじゃなくて?」
蓮さんが断られたって何かの間違いじゃ……と思ったけど、蓮さんの表情はどよーんとしていて、なんだか本当に断られたっぽい。
私は蓮さんのお見合い話を詳しく聞いた。
蓮さんの話によると、場所は高級料亭で最初は蓮さんと社長、お相手の社長令嬢とその父親社長の四人で懐石料理を堪能しながら話をして、その後社長令嬢と二人きりになったらしい。
それからが問題で、蓮さんは社長令嬢と話をするため中庭を二人で歩いた。
でも社長令嬢は歩くのを中断、具合が悪くなったのか心配した蓮さんが社長令嬢の顔を覗き込むと『もう隣にいるの限界です』と赤い顔して走り出してしまった。
蓮さんは『待って下さい』とっさに彼女の腕を掴んだけど、恐らく蓮さんの悩殺フェロモン(蓮さんから溢れてるモテオーラをこう呼ぶ事にした)にやられた彼女はその場に倒れてしまったらしい。
慌てた蓮さんは彼女を父親と社長のいる部屋に連れて行き目がさめるまで待った結果、社長令嬢から『私は蓮様の刺激に耐えられません。』と言われ、正式に見合い話はなかった事になった。
「あっ、えっと。良かったね。円満に解決して」
私はなんて言葉をかけて良いか悩んだ。
裕香のデートの時と似た感じかな。蓮さんが素敵すぎて振られるような形になるなんて。まぁ私にとっては本当に良かったんだけど。
「やっぱり俺と二人になるのは嫌だったのか? その気は更々なかったが俺からいやらしさでも感じたのか? それとも……俺が気づいてないだけで体臭がキツイとか?」
蓮さんはどよーんとした顔のまま自分を真面目に分析している。それも的外れな分析だけど。
「蓮さん悩殺フェロモンが出てるんだって。気にしない気にしない」
「その悩殺フェロモンっていうのはよく分からないが、美織が俺と一緒にいるのが嫌じゃないのならそれでいい」
蓮さんは立ち上がり、一旦自分の部屋に行きすぐにリビングへ戻ってきた。
「メリークリスマス」
蓮さんは後ろから私にネックレスをつけてきた。見てみると、ピンクゴールドの可愛らしいハート型のネックレスが私の胸元で輝いている。
「これは?」
「クリスマスプレゼント。女性にプレゼントなんて普段しないからセンスがずれてるかもしれないけど」
「ううん。すごく嬉しい。貰っちゃっていいの? でも……私、何もプレゼント準備してなかった」
私はクリスマスに男の人と過ごすなんて滅多にないので、プレゼントを準備するのをすっかり忘れていた。
落ち込み気味の私の後ろから蓮さんはぎゅっと抱きしめてくる。
「俺は美織自身を頂いたから、俺からのプレゼントも受け取って欲しい」
後ろにいる蓮さんを見ると優しい表情で微笑んでいた。
「蓮さんありがとう」
「あぁ、それより今日はもちろん泊まっていくよな?」
「え?」
蓮さんの満面の笑顔…
結局私達は寝不足なまま朝を迎える事になった。
目を冷まして隣を見ると蓮さんがいた。そして腕枕……私は温かいぬくもりに包まれながら夢じゃない嬉しさを感じた。
「起きたか?」
「ご、ごめんなさい。私寝ちゃってた?」
そっと蓮さんの顔を見ると、優しい表情で私の頭をポンポンっとしてきた。
「……イルミネーション、見に行けなくて悪かったな。明日の夜見に行くか?」
時間を確認すると0時を過ぎて日付が変わっていた。明日は朝から仕事だから今から出かけるわけには行けない。でも明日は……。
「ごめん。明日は飲みに行く約束があって」
「誰と?」
まさか男じゃないだろうな、と言わんばかりに蓮さんはジトーッと私を見る。
「庶務課の忘年会……だから男性もいます」
私だって蓮さんと一緒に居たいけど、参加しますって言っちゃったしな。
庶務課もわざわざクリスマスに忘年会をする事ないのに。
「それなら仕方ないか。あまり飲み過ぎるなよ。美織は酒が入ると可愛さが増すからな」
「可愛さって何言って……」
私が話し終わる前に蓮さんは私を名残惜しそうに抱きしめてくる。もう、この人はいつのまにか溺愛マスターになってるし。
ぐぅぅ
蓮さんに抱きしめられている最中なのに、私のお腹は非情にも鳴り響いた。恥ずかし過ぎる。そういえば今日の夜は何も食べてなかった。
「はは、美織のお腹は自由だな。何か作ってくるよ。何でもいいか?」
「……すみません」
顔を真っ赤にさせている私をよそに、蓮さんはベッドから降りて服を着ると、何故かもう一着シャツを持って私の前に持ってきた。
「美織の服汚れちゃいけないし、これ着てリビングな」
私がシャツを受け取ると、蓮さんはそのままキッチンへ向かった。
自分の着ていた服を畳み、渡されたシャツを着てみる。やっぱりサイズが違いすぎてダボっとして何かワンピースみたいになった。
「あっ蓮さんの匂いがする」
シャツからする蓮さんの匂いに表情を緩まり、これが彼シャツってやつかと一人でにやけてしまった。
シャツを着てリビングへ行くと、いい匂いがしてきた。
「こんなものしか作れなかったけど」
そう言って私の前に鍋焼きうどんを置く。熱々のうどんの上に卵も落としてあってめっちゃ美味しいそう。こういうのをサラッと作れる才能が羨ましい。
「ありがとう。頂きます」
私は遠慮なくフゥフゥしながら鍋焼きうどんを食べる。蓮さんは私の前に座り、その様子をじっと見ている。
「なんか美織が俺のシャツ着てるのっていいな」
「そんなに見られたら恥ずかしいって。それよりお見合い、どうやって解決したの? 円満って言ってたけど」
お見合いの話をした瞬間、蓮さんの表情が暗くなった。一体何があったというの?
「……れた」
「え?」
蓮さんはかなり小さな声で何かを言ってるけど、私は聞き取れなくてもう一度聞き直した。
「結論から言うと見合いを断られたんだ、俺」
「断られたって……蓮さんが? 断ったんじゃなくて?」
蓮さんが断られたって何かの間違いじゃ……と思ったけど、蓮さんの表情はどよーんとしていて、なんだか本当に断られたっぽい。
私は蓮さんのお見合い話を詳しく聞いた。
蓮さんの話によると、場所は高級料亭で最初は蓮さんと社長、お相手の社長令嬢とその父親社長の四人で懐石料理を堪能しながら話をして、その後社長令嬢と二人きりになったらしい。
それからが問題で、蓮さんは社長令嬢と話をするため中庭を二人で歩いた。
でも社長令嬢は歩くのを中断、具合が悪くなったのか心配した蓮さんが社長令嬢の顔を覗き込むと『もう隣にいるの限界です』と赤い顔して走り出してしまった。
蓮さんは『待って下さい』とっさに彼女の腕を掴んだけど、恐らく蓮さんの悩殺フェロモン(蓮さんから溢れてるモテオーラをこう呼ぶ事にした)にやられた彼女はその場に倒れてしまったらしい。
慌てた蓮さんは彼女を父親と社長のいる部屋に連れて行き目がさめるまで待った結果、社長令嬢から『私は蓮様の刺激に耐えられません。』と言われ、正式に見合い話はなかった事になった。
「あっ、えっと。良かったね。円満に解決して」
私はなんて言葉をかけて良いか悩んだ。
裕香のデートの時と似た感じかな。蓮さんが素敵すぎて振られるような形になるなんて。まぁ私にとっては本当に良かったんだけど。
「やっぱり俺と二人になるのは嫌だったのか? その気は更々なかったが俺からいやらしさでも感じたのか? それとも……俺が気づいてないだけで体臭がキツイとか?」
蓮さんはどよーんとした顔のまま自分を真面目に分析している。それも的外れな分析だけど。
「蓮さん悩殺フェロモンが出てるんだって。気にしない気にしない」
「その悩殺フェロモンっていうのはよく分からないが、美織が俺と一緒にいるのが嫌じゃないのならそれでいい」
蓮さんは立ち上がり、一旦自分の部屋に行きすぐにリビングへ戻ってきた。
「メリークリスマス」
蓮さんは後ろから私にネックレスをつけてきた。見てみると、ピンクゴールドの可愛らしいハート型のネックレスが私の胸元で輝いている。
「これは?」
「クリスマスプレゼント。女性にプレゼントなんて普段しないからセンスがずれてるかもしれないけど」
「ううん。すごく嬉しい。貰っちゃっていいの? でも……私、何もプレゼント準備してなかった」
私はクリスマスに男の人と過ごすなんて滅多にないので、プレゼントを準備するのをすっかり忘れていた。
落ち込み気味の私の後ろから蓮さんはぎゅっと抱きしめてくる。
「俺は美織自身を頂いたから、俺からのプレゼントも受け取って欲しい」
後ろにいる蓮さんを見ると優しい表情で微笑んでいた。
「蓮さんありがとう」
「あぁ、それより今日はもちろん泊まっていくよな?」
「え?」
蓮さんの満面の笑顔…
結局私達は寝不足なまま朝を迎える事になった。
0
お気に入りに追加
159
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
Sランクの年下旦那様は如何でしょうか?
キミノ
恋愛
職場と自宅を往復するだけの枯れた生活を送っていた白石亜子(27)は、
帰宅途中に見知らぬイケメンの大谷匠に求婚される。
二日酔いで目覚めた亜子は、記憶の無いまま彼の妻になっていた。
彼は日本でもトップの大企業の御曹司で・・・。
無邪気に笑ったと思えば、大人の色気で翻弄してくる匠。戸惑いながらもお互いを知り、仲を深める日々を過ごしていた。
このまま、私は彼と生きていくんだ。
そう思っていた。
彼の心に住み付いて離れない存在を知るまでは。
「どうしようもなく好きだった人がいたんだ」
報われない想いを隠し切れない背中を見て、私はどうしたらいいの?
代わりでもいい。
それでも一緒にいられるなら。
そう思っていたけれど、そう思っていたかったけれど。
Sランクの年下旦那様に本気で愛されたいの。
―――――――――――――――
ページを捲ってみてください。
貴女の心にズンとくる重い愛を届けます。
【Sランクの男は如何でしょうか?】シリーズの匠編です。
クリスマスに咲くバラ
篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。
ただ…
トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。
誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。
いや…もう女子と言える年齢ではない。
キラキラドキドキした恋愛はしたい…
結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。
最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。
彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して…
そんな人が、
『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』
だなんて、私を指名してくれて…
そして…
スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、
『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』
って、誘われた…
いったい私に何が起こっているの?
パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子…
たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。
誰かを思いっきり好きになって…
甘えてみても…いいですか?
※after story別作品で公開中(同じタイトル)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる