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高瀬さんの葛藤ー高瀬sideー
ストーリー66
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鈴里さんがアパートの部屋に戻り五分くらい待っていると、着替え終えた鈴里さんが足早に車に戻ってきた。
「お待たせ」
鈴里さんが車に入ると、フワッと甘い香水の香りが車内に広がる。
「香水つけた?」
「はい。匂いきつかったですか?」
「いや、良い匂い過ぎてヤバイ」
「ヤバイ?」
「何でもない。じゃあ行こうか」
正直ほのかに香る程度の匂いだが、何故かこの香水の香りがフェロモンなんじゃないかというくらい強烈に俺に突き刺さり理性が飛びそうになった。
取り敢えず俺は車の運転に集中して彼女から意識を逸らす。途中買い物をして、俺のマンションに到着した。
「ただいま~」
「お帰りなさい」
部屋に入ると、笑顔の明日香ちゃんがいた。でも、一人になってたくさん涙を流したのだろう。目が赤くなっている。
「こんにちは、明日香」
「あれ、マイさん」
鈴里さんは俺の後ろからひょこっと顔を出して、明日香ちゃんに声をかける。
明日香ちゃんも鈴里さんに会えて嬉しそうだ。やっぱり鈴里さんを連れてきて良かった。
「明日香、今日はたっぷり愚痴聞くから」
そう言うと、鈴里さんは酒の入った袋を見せた。
「よし、飲もう」
テーブルに買ってきた酒と食べ物を準備して、三人で酒の入ったグラスを持つ。
「乾杯」
まずは三人ともビールで乾杯する。さて、何から話をしようかと考えていると、鈴里さんが明日香ちゃんに質問し始めた。
「ねぇ、別れは明日香から? 彼氏から?」
「えっと……どっちかな。私からかな」
明日香ちゃんは歯切れの悪い答え方をする。まぁ婚約者のいる男と付き合ってたなんて言えないし、答え難いと思う。
「ふーん。明日香が別れを切り出すくらい悪い男だったのね」
「クックッ、悪い男」
俺は思わず吹き出す。その様子を見た明日香ちゃんは、ジトーッと俺を見てきた。慌てて一回咳払いをして話題を変えて飲み会を楽しんだ。
「ねぇ、さっきから気になってるんだけど、そこに置いてある荷物って明日香のだよね?」
鈴里さんは少し離れた所に置いてある明日香ちゃんの荷物を見ながら聞いてきた。
「あっ、うん」
「課長と一緒にここに住むの?」
「えっと……」
明日香ちゃんは助けを求めるように俺の方を見る。
「実は明日香ちゃん、まだ新居も仕事も見つかってないんだって。笑っちゃうでしょ?」
俺が明日香ちゃんをからかっていると、鈴里さんが思いがけない一言を発した。
「そうなの? じゃあ私の家に来る?」
「え?」
俺と明日香ちゃんは同時に鈴里さんを見る。
「でも、マイさん迷惑なんじゃ?」
「全然。明日香なら歓迎するよ」
鈴里さんはニコリと明日香ちゃんを見て微笑む。
「良かったじゃん。お世話になりなよ」
「マイさん、ありがとう。しばらくの間よろしくお願いします」
こうして明日香ちゃんの新居も無事決まった。後は仕事だけだけど、明日香ちゃんの人柄なら恐らくすぐに決まるはず。
「よし、今日はガンガン飲もう」
俺たちは楽しく話をしながら飲み続けた。
「ありゃ、明日香ちゃん寝ちゃった?」
キッチンにビールを取りに行って戻ると、明日香ちゃんが横になってスヤスヤ寝ていた。
「えぇ、色々あって疲れたのね」
「そうだね」
缶ビールを鈴里さんに渡し座る。
「明日香ちゃんの事、よろしくね」
「……もしかして私、余計な事したかしら。課長にしたらこのまま明日香に居てほしかったのでは?」
「俺、明日香ちゃんの事好きだよ。最初はさ、もしこの先二人が別れたら傷心につけ込んで明日香ちゃんを口説こうって思ってたんだけど」
「けど?」
俺はビールを一口飲んで話を続ける。
「いつからだろうな。明日香ちゃんに対する気持ちが少し変化したんだ。好きは好きだし、明日香ちゃんが俺を求めるなら全然抱くけど」
「うわぁ」
「あはは、上手く言えないんだけど、今は恋愛感情ってよりは兄妹愛みたいな感じかな。可愛い妹が辛い時はいつでも相談に乗るみたいな」
「可愛い妹、ねぇ」
俺と鈴里さんは気持ちよさそうに寝ている明日香ちゃんを見て微笑む。
「なんか明日香を見てたら、私も前に進みたくなってきたな」
鈴里さんがボソッと呟いた。今はまだその言葉の意味が分からなかったが、これが原因で後に俺がトラブルを起こしてしまうなんて……この時はまだ知る由もなかった。
「お待たせ」
鈴里さんが車に入ると、フワッと甘い香水の香りが車内に広がる。
「香水つけた?」
「はい。匂いきつかったですか?」
「いや、良い匂い過ぎてヤバイ」
「ヤバイ?」
「何でもない。じゃあ行こうか」
正直ほのかに香る程度の匂いだが、何故かこの香水の香りがフェロモンなんじゃないかというくらい強烈に俺に突き刺さり理性が飛びそうになった。
取り敢えず俺は車の運転に集中して彼女から意識を逸らす。途中買い物をして、俺のマンションに到着した。
「ただいま~」
「お帰りなさい」
部屋に入ると、笑顔の明日香ちゃんがいた。でも、一人になってたくさん涙を流したのだろう。目が赤くなっている。
「こんにちは、明日香」
「あれ、マイさん」
鈴里さんは俺の後ろからひょこっと顔を出して、明日香ちゃんに声をかける。
明日香ちゃんも鈴里さんに会えて嬉しそうだ。やっぱり鈴里さんを連れてきて良かった。
「明日香、今日はたっぷり愚痴聞くから」
そう言うと、鈴里さんは酒の入った袋を見せた。
「よし、飲もう」
テーブルに買ってきた酒と食べ物を準備して、三人で酒の入ったグラスを持つ。
「乾杯」
まずは三人ともビールで乾杯する。さて、何から話をしようかと考えていると、鈴里さんが明日香ちゃんに質問し始めた。
「ねぇ、別れは明日香から? 彼氏から?」
「えっと……どっちかな。私からかな」
明日香ちゃんは歯切れの悪い答え方をする。まぁ婚約者のいる男と付き合ってたなんて言えないし、答え難いと思う。
「ふーん。明日香が別れを切り出すくらい悪い男だったのね」
「クックッ、悪い男」
俺は思わず吹き出す。その様子を見た明日香ちゃんは、ジトーッと俺を見てきた。慌てて一回咳払いをして話題を変えて飲み会を楽しんだ。
「ねぇ、さっきから気になってるんだけど、そこに置いてある荷物って明日香のだよね?」
鈴里さんは少し離れた所に置いてある明日香ちゃんの荷物を見ながら聞いてきた。
「あっ、うん」
「課長と一緒にここに住むの?」
「えっと……」
明日香ちゃんは助けを求めるように俺の方を見る。
「実は明日香ちゃん、まだ新居も仕事も見つかってないんだって。笑っちゃうでしょ?」
俺が明日香ちゃんをからかっていると、鈴里さんが思いがけない一言を発した。
「そうなの? じゃあ私の家に来る?」
「え?」
俺と明日香ちゃんは同時に鈴里さんを見る。
「でも、マイさん迷惑なんじゃ?」
「全然。明日香なら歓迎するよ」
鈴里さんはニコリと明日香ちゃんを見て微笑む。
「良かったじゃん。お世話になりなよ」
「マイさん、ありがとう。しばらくの間よろしくお願いします」
こうして明日香ちゃんの新居も無事決まった。後は仕事だけだけど、明日香ちゃんの人柄なら恐らくすぐに決まるはず。
「よし、今日はガンガン飲もう」
俺たちは楽しく話をしながら飲み続けた。
「ありゃ、明日香ちゃん寝ちゃった?」
キッチンにビールを取りに行って戻ると、明日香ちゃんが横になってスヤスヤ寝ていた。
「えぇ、色々あって疲れたのね」
「そうだね」
缶ビールを鈴里さんに渡し座る。
「明日香ちゃんの事、よろしくね」
「……もしかして私、余計な事したかしら。課長にしたらこのまま明日香に居てほしかったのでは?」
「俺、明日香ちゃんの事好きだよ。最初はさ、もしこの先二人が別れたら傷心につけ込んで明日香ちゃんを口説こうって思ってたんだけど」
「けど?」
俺はビールを一口飲んで話を続ける。
「いつからだろうな。明日香ちゃんに対する気持ちが少し変化したんだ。好きは好きだし、明日香ちゃんが俺を求めるなら全然抱くけど」
「うわぁ」
「あはは、上手く言えないんだけど、今は恋愛感情ってよりは兄妹愛みたいな感じかな。可愛い妹が辛い時はいつでも相談に乗るみたいな」
「可愛い妹、ねぇ」
俺と鈴里さんは気持ちよさそうに寝ている明日香ちゃんを見て微笑む。
「なんか明日香を見てたら、私も前に進みたくなってきたな」
鈴里さんがボソッと呟いた。今はまだその言葉の意味が分からなかったが、これが原因で後に俺がトラブルを起こしてしまうなんて……この時はまだ知る由もなかった。
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