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貴方の幸せを願うから
ストーリー54
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「……んっ」
ふと目を開けると、カーテン越しにも外が明るいのが分かる。気がつくと朝になっていた。
私の記憶では、進藤さんのベッドの上に転がって渡されたファイルを見ていたはず。そのファイルは進藤さんが使っているPCの前に置いてあった。
どうやら私はファイルを見ている途中で寝落ちしちゃったみたいだ。そして進藤さんが布団を掛けてくれたようだ。
「あれ? 進藤さんがいない」
今気づく。部屋には進藤さんがいなかった。私はベッドを降りてリビングへ行ってみた。
コソッと覗いてみると、コーヒーを飲みながらソファーに座ってテレビを見ている進藤さんがいた。
「今起きたのか」
コソッと覗いているのを気づかれてしまった。
「ごめんなさい。寝坊しちゃった」
さっき部屋を出る時にスマートフォンを見たらもう朝の九時を過ぎていた。
「だいぶお酒も飲んでたみたいだし、たまにはゆっくり寝ていいんじゃないか」
そう言うと進藤さんは立ち上がり、私の分のコーヒーを持ってきてソファーの前に置く。
「ありがとう」
私は進藤さんの横に座る。すると、進藤さんが自分のスマートフォンを私に見せてきた。
『昨日飲みすぎて怠いし眠い。今日の勉強会は中止にしまーす。明日香ちゃんに伝えててね』
高瀬さんからだ。そういえば昨日は真彩さんと高瀬さん、私が帰った後すぐに帰ったのかな? 私はコーヒーを飲みながらふと二人の事を思い出した。
「二日酔いはあるか?」
「え? あっ全然大丈夫」
「じゃあ今日は外に出かけるか」
「何か用事?」
「お前は天然か? デートだよ」
「あ~デートか……ってデート!? 私と?」
「他に誰がいるんだ?」
デート……どうしよう、めっちゃ嬉しい。想像しただけで胸がドキドキしてきた。
「スカート禁止な」
私の頭をポンとして進藤さんは先に出かける準備を始める。私も急いで準備を始めた。
それにしても、何処に行くのかな。
スカートはNGが出たので、ショートパンツに着替えていつもより念入りに化粧をした。
「お、お待たせ」
私は緊張気味に進藤さんの元へ行く。
大丈夫かな?
変じゃないかな?
チラッと進藤さんの方を見る。相変わらずモデルが着るような服を着こなしている進藤さんは格好良い。
私、隣を歩いて大丈夫かな? なんか不釣り合いのような気がする。
「ちゃんとデートするのは初めてだな。行くか」
外は今日も青空が広がり日差しが眩しい。私達は車に乗り込み、最初で……恐らく最後のデートが始まった。
「ねぇ、何処に行くの?」
「何処でもいいか?」
「うん」
進藤さんは笑みを浮かべて運転する。行き先は教えてくれなかった。着いてからのお楽しみって事かな。
近場だと誰かに見られたらいけないし、結構遠出をするみたいでしばらく車を走らせた。
そして目的地に着いたのか、車を駐車場へ停めて車を降りた。
「ここ?」
正直落ち着いた雰囲気の場所でのデートを想像していたが、予想を反した場所だった。私は驚いて思わず進藤さんの方を勢いよくみる。
「お気に召さなかったか?」
「ううん、めっちゃ嬉しい」
進藤さんが連れてきてくれたのはアトラクション満載の遊園地だった。
「この歳になって遊園地に来るとは思わなかったな」
「ねぇ今更なんだけど……進藤さんって何歳なの?」
「知らなかったのか?本当に今更だな。三十歳だよ」
ようやく進藤さんの年齢を聞く事が出来た。三十歳……私が二十四歳だから、私達意外と年の差カップルなんだ。
「ほら、行くぞ」
進藤さんは少し照れた様子で私に手を出してきた。私も照れながら出された手を握り、手を繋いで遊園地の中に入場した。
ふと目を開けると、カーテン越しにも外が明るいのが分かる。気がつくと朝になっていた。
私の記憶では、進藤さんのベッドの上に転がって渡されたファイルを見ていたはず。そのファイルは進藤さんが使っているPCの前に置いてあった。
どうやら私はファイルを見ている途中で寝落ちしちゃったみたいだ。そして進藤さんが布団を掛けてくれたようだ。
「あれ? 進藤さんがいない」
今気づく。部屋には進藤さんがいなかった。私はベッドを降りてリビングへ行ってみた。
コソッと覗いてみると、コーヒーを飲みながらソファーに座ってテレビを見ている進藤さんがいた。
「今起きたのか」
コソッと覗いているのを気づかれてしまった。
「ごめんなさい。寝坊しちゃった」
さっき部屋を出る時にスマートフォンを見たらもう朝の九時を過ぎていた。
「だいぶお酒も飲んでたみたいだし、たまにはゆっくり寝ていいんじゃないか」
そう言うと進藤さんは立ち上がり、私の分のコーヒーを持ってきてソファーの前に置く。
「ありがとう」
私は進藤さんの横に座る。すると、進藤さんが自分のスマートフォンを私に見せてきた。
『昨日飲みすぎて怠いし眠い。今日の勉強会は中止にしまーす。明日香ちゃんに伝えててね』
高瀬さんからだ。そういえば昨日は真彩さんと高瀬さん、私が帰った後すぐに帰ったのかな? 私はコーヒーを飲みながらふと二人の事を思い出した。
「二日酔いはあるか?」
「え? あっ全然大丈夫」
「じゃあ今日は外に出かけるか」
「何か用事?」
「お前は天然か? デートだよ」
「あ~デートか……ってデート!? 私と?」
「他に誰がいるんだ?」
デート……どうしよう、めっちゃ嬉しい。想像しただけで胸がドキドキしてきた。
「スカート禁止な」
私の頭をポンとして進藤さんは先に出かける準備を始める。私も急いで準備を始めた。
それにしても、何処に行くのかな。
スカートはNGが出たので、ショートパンツに着替えていつもより念入りに化粧をした。
「お、お待たせ」
私は緊張気味に進藤さんの元へ行く。
大丈夫かな?
変じゃないかな?
チラッと進藤さんの方を見る。相変わらずモデルが着るような服を着こなしている進藤さんは格好良い。
私、隣を歩いて大丈夫かな? なんか不釣り合いのような気がする。
「ちゃんとデートするのは初めてだな。行くか」
外は今日も青空が広がり日差しが眩しい。私達は車に乗り込み、最初で……恐らく最後のデートが始まった。
「ねぇ、何処に行くの?」
「何処でもいいか?」
「うん」
進藤さんは笑みを浮かべて運転する。行き先は教えてくれなかった。着いてからのお楽しみって事かな。
近場だと誰かに見られたらいけないし、結構遠出をするみたいでしばらく車を走らせた。
そして目的地に着いたのか、車を駐車場へ停めて車を降りた。
「ここ?」
正直落ち着いた雰囲気の場所でのデートを想像していたが、予想を反した場所だった。私は驚いて思わず進藤さんの方を勢いよくみる。
「お気に召さなかったか?」
「ううん、めっちゃ嬉しい」
進藤さんが連れてきてくれたのはアトラクション満載の遊園地だった。
「この歳になって遊園地に来るとは思わなかったな」
「ねぇ今更なんだけど……進藤さんって何歳なの?」
「知らなかったのか?本当に今更だな。三十歳だよ」
ようやく進藤さんの年齢を聞く事が出来た。三十歳……私が二十四歳だから、私達意外と年の差カップルなんだ。
「ほら、行くぞ」
進藤さんは少し照れた様子で私に手を出してきた。私も照れながら出された手を握り、手を繋いで遊園地の中に入場した。
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