36 / 85
まさかのWデート
ストーリー36
しおりを挟む
「……ちゃん、明日香ちゃん。そろそろ起きるよー」
気持ちよく寝ていたが誰かの声に起こされ、私は目を覚ました。
「ん……ここは……」
目をこすりながらキョロキョロとする。そして目が覚めるにつれ、寝る前の記憶が戻ってきた。
「あれ? 私何でベッドの上で寝てるの?」
そして高瀬さんが視界に入る。?マークが飛び交っている私を見ながらクスクス笑っていた。
「明日香ちゃん、話の途中で寝ちゃったんだよ。そのまま襲っても良かったんだけど、疲れてるみたいだったからベッドまで運んだんだ。俺って紳士でしょ?」
「す、すみません」
「七時からディナーだって。着替えて最上階のレストランに行こう」
私は自分の部屋に戻って着替えた。
「お待たせ」
「おっ、雰囲気変えてきたね」
着替え終わった私は、美玲さんに対抗したわけじゃないけど、清楚系のスカートをはき、髪型も髪を下ろしコテで巻いてみた。
「な、何となく」
「可愛いよ。じゃあ行こうか」
最上階のレストランへ着いた。しかしまだ進藤さん達は居なかった。
私達が美玲さんの連れだと分かると、窓側奥の一番良い席に案内された。窓からはライトアップされた夜景が綺麗に見える。
「何か緊張するね。高級感漂ってるし」
「そうだね」
高級感溢れる静かな空間にクラシック音楽が流れている。こんな雰囲気の中、何を話したらいいか考えていると高瀬さんが話を切り出してきた。
「そういや、ケイスケは何でお嬢様と婚約してると思う?」
「何でって……うーん、何で?」
「答えは簡単。ケイスケがお嬢様に気に入られたからだよ。そして有栖川財閥がバックについた進藤コーポレーションの業績は右肩上がり……正式に婚約成立。会社的には有難いけど、拒否権のないケイスケは可哀想だよな」
「それじゃあ……進藤さんの意思は? 美玲さんの事が好きで婚約したわけじゃないの?」
「ケイスケの本音は分からないけど、アイツは真面目な奴だからさ、自分の本音は二の次で、今背負っている進藤コーポレーションの発展と働く社員達を第一に考えているはずさ。だから絶対お嬢様との婚約を解消することはない。万一、婚約解消にでもなったら会社も社員も露頭に迷うことになるからね」
だから進藤さんを好きになっても報われない恋で終わるって事か。でもそれって……何だか進藤さんが可哀想。
「この話はここまでにしよう」
高瀬さんは入り口付近に視線を移す。そこには進藤さんと美玲さんがいた。やっぱりあの二人は遠くからみても華があり人目をひく存在だ。
「お待たせ致しました。遅くなってごめんなさいね」
二人は私達の待つ席へ来ると、進藤さんが美玲さんの椅子を引きエスコートする。
「あら、明日香さん。髪を巻かれたのですね。素敵ですわ。ねぇ、進藤さん?」
さっきまでと違う私の髪型に気づいた美玲さんが、微笑みながら進藤さんに話を振る。
「えぇ、似合ってますね。女性は髪型で雰囲気が変わるから羨ましいです。なぁ、高瀬」
仕事モードの進藤さんは、ちらっと私の方を見るだけですぐに高瀬さんの方を向いた。
「そうですね。でも男でもワックス使って髪型でイメチェンできますよ。社長もやってみますか? イメチェン」
「あら、進藤さんは今のままでもとっても素敵ですわ」
こうして高瀬さんを中心に話は盛り上がり、ディナーの時間は終わった。
それから私達四人は、それぞれ自由に時間を過ごす。とはいえ、後はお風呂に入って寝るだけだ。私は部屋に戻り、手に巻いてる包帯を外しシャワーを浴びた。
ーー コンコン
シャワーを終えて髪を乾かしていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はい」
少しだけドアを開けると高瀬さんが立っていた。
「あ、ごめん。風呂上がり? 髪が濡れてるね」
「今、髪の毛乾かしてたところだった。どうしたの?」
「明日の時間を伝えにきたんだけど……あれ、包帯取ったの?」
「だって、シャワーを浴びる時に濡れちゃうから外しちゃった」
「まだ包帯してた方がいいよ。また救急箱借りてくるから部屋で待ってて」
高瀬さんは救急箱を借りにフロントへ行った。部屋からフロントへ連絡して部屋まで持ってきてもらえばいいのにとも思ったが、働き者の高瀬さんは無意識に自分がやらなきゃって体が動くのかな。
部屋の中に戻り、また髪を乾かそうと洗面台へ向かった時、私のスマートフォンから音がした。
ピロリン♪
メッセージ通知の音。携帯を確認すると、メッセージを送ってきたのは進藤さんだった。
気持ちよく寝ていたが誰かの声に起こされ、私は目を覚ました。
「ん……ここは……」
目をこすりながらキョロキョロとする。そして目が覚めるにつれ、寝る前の記憶が戻ってきた。
「あれ? 私何でベッドの上で寝てるの?」
そして高瀬さんが視界に入る。?マークが飛び交っている私を見ながらクスクス笑っていた。
「明日香ちゃん、話の途中で寝ちゃったんだよ。そのまま襲っても良かったんだけど、疲れてるみたいだったからベッドまで運んだんだ。俺って紳士でしょ?」
「す、すみません」
「七時からディナーだって。着替えて最上階のレストランに行こう」
私は自分の部屋に戻って着替えた。
「お待たせ」
「おっ、雰囲気変えてきたね」
着替え終わった私は、美玲さんに対抗したわけじゃないけど、清楚系のスカートをはき、髪型も髪を下ろしコテで巻いてみた。
「な、何となく」
「可愛いよ。じゃあ行こうか」
最上階のレストランへ着いた。しかしまだ進藤さん達は居なかった。
私達が美玲さんの連れだと分かると、窓側奥の一番良い席に案内された。窓からはライトアップされた夜景が綺麗に見える。
「何か緊張するね。高級感漂ってるし」
「そうだね」
高級感溢れる静かな空間にクラシック音楽が流れている。こんな雰囲気の中、何を話したらいいか考えていると高瀬さんが話を切り出してきた。
「そういや、ケイスケは何でお嬢様と婚約してると思う?」
「何でって……うーん、何で?」
「答えは簡単。ケイスケがお嬢様に気に入られたからだよ。そして有栖川財閥がバックについた進藤コーポレーションの業績は右肩上がり……正式に婚約成立。会社的には有難いけど、拒否権のないケイスケは可哀想だよな」
「それじゃあ……進藤さんの意思は? 美玲さんの事が好きで婚約したわけじゃないの?」
「ケイスケの本音は分からないけど、アイツは真面目な奴だからさ、自分の本音は二の次で、今背負っている進藤コーポレーションの発展と働く社員達を第一に考えているはずさ。だから絶対お嬢様との婚約を解消することはない。万一、婚約解消にでもなったら会社も社員も露頭に迷うことになるからね」
だから進藤さんを好きになっても報われない恋で終わるって事か。でもそれって……何だか進藤さんが可哀想。
「この話はここまでにしよう」
高瀬さんは入り口付近に視線を移す。そこには進藤さんと美玲さんがいた。やっぱりあの二人は遠くからみても華があり人目をひく存在だ。
「お待たせ致しました。遅くなってごめんなさいね」
二人は私達の待つ席へ来ると、進藤さんが美玲さんの椅子を引きエスコートする。
「あら、明日香さん。髪を巻かれたのですね。素敵ですわ。ねぇ、進藤さん?」
さっきまでと違う私の髪型に気づいた美玲さんが、微笑みながら進藤さんに話を振る。
「えぇ、似合ってますね。女性は髪型で雰囲気が変わるから羨ましいです。なぁ、高瀬」
仕事モードの進藤さんは、ちらっと私の方を見るだけですぐに高瀬さんの方を向いた。
「そうですね。でも男でもワックス使って髪型でイメチェンできますよ。社長もやってみますか? イメチェン」
「あら、進藤さんは今のままでもとっても素敵ですわ」
こうして高瀬さんを中心に話は盛り上がり、ディナーの時間は終わった。
それから私達四人は、それぞれ自由に時間を過ごす。とはいえ、後はお風呂に入って寝るだけだ。私は部屋に戻り、手に巻いてる包帯を外しシャワーを浴びた。
ーー コンコン
シャワーを終えて髪を乾かしていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はい」
少しだけドアを開けると高瀬さんが立っていた。
「あ、ごめん。風呂上がり? 髪が濡れてるね」
「今、髪の毛乾かしてたところだった。どうしたの?」
「明日の時間を伝えにきたんだけど……あれ、包帯取ったの?」
「だって、シャワーを浴びる時に濡れちゃうから外しちゃった」
「まだ包帯してた方がいいよ。また救急箱借りてくるから部屋で待ってて」
高瀬さんは救急箱を借りにフロントへ行った。部屋からフロントへ連絡して部屋まで持ってきてもらえばいいのにとも思ったが、働き者の高瀬さんは無意識に自分がやらなきゃって体が動くのかな。
部屋の中に戻り、また髪を乾かそうと洗面台へ向かった時、私のスマートフォンから音がした。
ピロリン♪
メッセージ通知の音。携帯を確認すると、メッセージを送ってきたのは進藤さんだった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
拝啓、私を追い出した皆様 いかがお過ごしですか?私はとても幸せです。
香木あかり
恋愛
拝啓、懐かしのお父様、お母様、妹のアニー
私を追い出してから、一年が経ちましたね。いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
治癒の能力を持つローザは、家業に全く役に立たないという理由で家族に疎まれていた。妹アニーの占いで、ローザを追い出せば家業が上手くいくという結果が出たため、家族に家から追い出されてしまう。
隣国で暮らし始めたローザは、実家の商売敵であるフランツの病気を治癒し、それがきっかけで結婚する。フランツに溺愛されながら幸せに暮らすローザは、実家にある手紙を送るのだった。
※複数サイトにて掲載中です
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません
たろ
恋愛
処刑されたエリーゼ。
何もしていないのに冤罪で……
死んだと思ったら6歳に戻った。
さっき処刑されたばかりなので、悔しさも怖さも痛さも残ったまま巻き戻った。
絶対に許さない!
今更わたしに優しくしても遅い!
恨みしかない、父親と殿下!
絶対に復讐してやる!
★設定はかなりゆるめです
★あまりシリアスではありません
★よくある話を書いてみたかったんです!!
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
忘れられた妻
毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。
セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。
「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」
セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。
「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」
セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。
そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。
三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる