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まさかのWデート
ストーリー34
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「お待たせ」
高瀬さんは私の元へ戻り、進藤さんは美玲さんの部屋の中に入った。
「明日香ちゃん、これ」
「部屋のキー?」
「そっ、俺の部屋のキー。俺はちょっと行くとこあるから、先に部屋に行って待ってて。紅茶を入れててくれると嬉しいな」
私の有無を聞かず、高瀬さんは反対の方を向き歩き始めた。
何処に行くのだろう?
部屋のキーを預かってしまったので、私は高瀬さんの部屋の中に入った。
「紅茶……紅茶はっと。あった」
ティーパックの紅茶を見つけた。紅茶だけでも何種類も用意されていた。他にも色んな種類のお茶やコーヒーも豊富にある。その中から私はレモンティーを選び、2人分入れた。
それにしても、手の痛みが増してきたなぁ。
ーー コンコン
「ただいま」
紅茶を入れ終わった頃、高瀬さんが部屋に戻ってきた。手に何かを持っている。
「明日香ちゃん、ソファーに座って」
「えっ、何? 何で?」
「いいから、いいから」
よく分からないけど、取り敢えずソファーに座る。私が座ると高瀬さんも私の横に座り、手に持っていたものを目の前のテーブルに置いた。
「手を見せてくれる?」
「え?」
私の腕を取り、じぃっと見てくる。
「……腫れてるね。ちょっと失礼するよ」
テーブルの上に置いたもの…それは救急箱だった。さっき行くところがあるって言ったのは、フロントに行って救急箱を借りてきてくれたんだ。
「わざわざすみません。ありがとうございます」
「こうやって手当てしていると、明日香ちゃんと出会った頃を思い出すね」
出会った頃って元彼に振られた時かな。
「そういえば、あの時も高瀬さんが手当てしてくれましたね」
「あの頃は可哀想な子だなってくらいにしか思ってなかったのに、まさかこんなに明日香ちゃんの事を好きになるなんて思わなかったよ」
「そうなんですね。好きに……えっ、好き!? 高瀬さんが私の事?」
手当てをしながらあまりにサラッと言うから私は思わず聞き流してしまうとこだった。
私、もしかして告白された?
「俺、結構アプローチしたつもりだったんだけど……よし、終わり」
私の手に包帯を巻き終わると救急箱を閉じた。
「手当て、ありがとうございます」
「我慢強いのも良いけど、辛い時は辛いって言っていいんだよ。怪我した時も……恋するのが辛い時もね」
高瀬さんは私の顔を見てにっこりとする。
もしかして、全て見透かされてる?
「本当はさ、色々考えたんだ。どんな風に告白しようかって。綺麗な夜景を見ながらとか海辺を歩きながらとか……でも今の明日香ちゃんはきっとOKしてくれないだろうから雰囲気ある告白はやめて、取り敢えず俺の気持ちだけを伝えとこうと思ってさ。だからさっきサラッと言った告白は俺の独り言と思っていいよ」
私の横に座っている高瀬さんは、私の頭に手を乗せポンポンとする。すると何故だか私の目からは涙が溢れ落ちてきた。
「ナオ君……私……」
私は涙が止まらず、手で顔を覆う。高瀬さんは何も言わずただ私が落ち着くのを待っていた。
「ナオ君、私自分でも自分の事がよく分からないの。ただ……好きなのかもしれない」
「……好きって、ケイスケの事でしょ?」
「何で?」
自分でもなかなか気づかなかったこの想いを何故高瀬さんは分かったのだろう。私は勢いよく高瀬さんの方を見た。
「俺みたいなイイ男がいるのにさ、俺じゃなくて他の男を好きになるっていうなら、相手はケイスケしかいないかなって思っただけ。だからハッタリ的な部分もあったんだけど、図星だったんだ」
ハッタリ……やられた。
高瀬さんはニコーッととした表情で私を見る。
高瀬さんは私の元へ戻り、進藤さんは美玲さんの部屋の中に入った。
「明日香ちゃん、これ」
「部屋のキー?」
「そっ、俺の部屋のキー。俺はちょっと行くとこあるから、先に部屋に行って待ってて。紅茶を入れててくれると嬉しいな」
私の有無を聞かず、高瀬さんは反対の方を向き歩き始めた。
何処に行くのだろう?
部屋のキーを預かってしまったので、私は高瀬さんの部屋の中に入った。
「紅茶……紅茶はっと。あった」
ティーパックの紅茶を見つけた。紅茶だけでも何種類も用意されていた。他にも色んな種類のお茶やコーヒーも豊富にある。その中から私はレモンティーを選び、2人分入れた。
それにしても、手の痛みが増してきたなぁ。
ーー コンコン
「ただいま」
紅茶を入れ終わった頃、高瀬さんが部屋に戻ってきた。手に何かを持っている。
「明日香ちゃん、ソファーに座って」
「えっ、何? 何で?」
「いいから、いいから」
よく分からないけど、取り敢えずソファーに座る。私が座ると高瀬さんも私の横に座り、手に持っていたものを目の前のテーブルに置いた。
「手を見せてくれる?」
「え?」
私の腕を取り、じぃっと見てくる。
「……腫れてるね。ちょっと失礼するよ」
テーブルの上に置いたもの…それは救急箱だった。さっき行くところがあるって言ったのは、フロントに行って救急箱を借りてきてくれたんだ。
「わざわざすみません。ありがとうございます」
「こうやって手当てしていると、明日香ちゃんと出会った頃を思い出すね」
出会った頃って元彼に振られた時かな。
「そういえば、あの時も高瀬さんが手当てしてくれましたね」
「あの頃は可哀想な子だなってくらいにしか思ってなかったのに、まさかこんなに明日香ちゃんの事を好きになるなんて思わなかったよ」
「そうなんですね。好きに……えっ、好き!? 高瀬さんが私の事?」
手当てをしながらあまりにサラッと言うから私は思わず聞き流してしまうとこだった。
私、もしかして告白された?
「俺、結構アプローチしたつもりだったんだけど……よし、終わり」
私の手に包帯を巻き終わると救急箱を閉じた。
「手当て、ありがとうございます」
「我慢強いのも良いけど、辛い時は辛いって言っていいんだよ。怪我した時も……恋するのが辛い時もね」
高瀬さんは私の顔を見てにっこりとする。
もしかして、全て見透かされてる?
「本当はさ、色々考えたんだ。どんな風に告白しようかって。綺麗な夜景を見ながらとか海辺を歩きながらとか……でも今の明日香ちゃんはきっとOKしてくれないだろうから雰囲気ある告白はやめて、取り敢えず俺の気持ちだけを伝えとこうと思ってさ。だからさっきサラッと言った告白は俺の独り言と思っていいよ」
私の横に座っている高瀬さんは、私の頭に手を乗せポンポンとする。すると何故だか私の目からは涙が溢れ落ちてきた。
「ナオ君……私……」
私は涙が止まらず、手で顔を覆う。高瀬さんは何も言わずただ私が落ち着くのを待っていた。
「ナオ君、私自分でも自分の事がよく分からないの。ただ……好きなのかもしれない」
「……好きって、ケイスケの事でしょ?」
「何で?」
自分でもなかなか気づかなかったこの想いを何故高瀬さんは分かったのだろう。私は勢いよく高瀬さんの方を見た。
「俺みたいなイイ男がいるのにさ、俺じゃなくて他の男を好きになるっていうなら、相手はケイスケしかいないかなって思っただけ。だからハッタリ的な部分もあったんだけど、図星だったんだ」
ハッタリ……やられた。
高瀬さんはニコーッととした表情で私を見る。
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