明日は明日の恋をする

彩里 咲華

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進藤さんと高瀬さん

ストーリー17

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「進藤さん、帰ってきてるかな」

 タクシーから降りて部屋へと向かう。玄関を開けると進藤さんの靴がある。帰って来てた。

 私は何故だか進藤さんに会わないようコソコソと中へ入り、急いで自分の部屋に向かう。

ーー ガチャ

 部屋までもう少し……というところで進藤さんの部屋のドアが開いた。

「今帰ったのか。酒の匂い……飲みに出かけてたのか?」

「はい。暇だったのでちょっと街中を歩いていたら偶然にも高瀬さんと会いまして。えっと、家飲みに付き合ってました」

「高瀬と?」

「えぇ。進藤さんと高瀬さん、高校時代からの付き合いなんですね。聞いちゃいました」

「ったくアイツは。何か余計なこと言ってなかったか?」

 進藤さんはおでこに手を当て、はぁっと一回ため息をつく。

「いえ何も……あっ、進藤さんには婚約者がいて今日もその方とお会いしていると」

 私は進藤さんの反応を見たくて婚約者の話をしてみた。

「まぁ確かに会ってたが、それにしても高瀬と随分仲良くなったな。早く寝ろよ」

 進藤さんは顔色変えずに婚約者と会っていたのを認め、また部屋に戻った。私も自分の部屋に入る。

「婚約者かぁ。いやいや、そんなの私には関係ないし。もう寝よっと」

 勢いよくベッドに転がり、私は布団を頭まで被り何も考えないようにして眠りについた。

 朝になりリビングに行くと、進藤さんが既に起きていて、ソファーに座ってコーヒーを飲みながら何かの書類を見ていた。

「おはようございます」

 私は進藤さんに挨拶をして自分の分のコーヒーを入れる。それにしても会社はお休みのはずなのに家で仕事なんて大変そうと進藤さんを横目に思いながら温かいコーヒーを口にした。

 しばらくすると進藤さんは書類とにらめっこしながら部屋に戻った。さて、私は休みを頂いたけど何して過ごそう。

「水沢、悪いが今日の昼食を作ってもらってもいいか?」

 進藤さんがまたリビングに来て私に話しかけてきた。

「はい。分かりました」

「3人分頼む」

「3人分……ですか?」

「あぁ。高瀬が後から来る。昼食は何でも良いから頼んだ」

「高瀬さんが来るんですか? 分かりました。では材料の買い出しに行って来ます」

 高瀬さんが来る?

 昨日の今日でどんな顔して会えばいいの?

 取り敢えず私は動揺しているのがバレないようにしながら、昼食の材料を買いに外に出かけた。
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