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光の聖女編
9.ある傍観者の使命(前編)
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第一学年に在籍するエイベル子爵家の嫡男に兆候を感知。注視せよ。
闇の精霊に連なる小さきものが伝え寄こした、兄の言葉のひとつである。まったく気の毒な話だとサイラスは思う。
当主である父親が財を増やし、ある家にとって望まないかたちで国政における影響力を強めたというだけで、息子に不穏な兆候が出現するのだから。
――たしか、彼は、オリヴィアに好意を寄せていたな。
もっとも、ハロルドと張り合うつもりはいっさいなかっただろうが。彼には彼の婚約者がいる。気弱な性格の彼が、意思のはっきりとしたオリヴィアに、淡い憧憬を抱いていたというだけ。
本来であれば、咎めるようなことではない。だが、彼は、「オリヴィアを悪役に仕立てようとした光の聖女を許せず、彼女を害そうと」してしまった。あろうことか、ジェラルド殿下の目の前で。
まったく、本当に気の毒なことだ。他人事のサイラスの心中をくすくすと笑うように、小さきものは夜の寮の廊下を光らせる。
その光をたどり、サイラスはある部屋の前で足を止めた。びっしりと扉一面に小さな光が点滅するさまは、なかなかに空恐ろしいものがある。
光の聖女を害する者を許さぬという、精霊の強い意思。苦笑いを呑み、サイラスは儀礼として扉を叩いた。
「コンラットさま。失礼してもよろしいでしょうか」
返事はなかったが、部屋の扉はひとりでに開いた。部屋の主が開けたのではない。小さきものが罰することを喜び、扉を開いたのだ。
「それでは扉も開いたことなので、失礼しますね」
にこりとほほえみ、室内に足を踏み入れる。とんでもない自身の行動に我に返り、裏庭から急ぎ帰ったのだろうか。どこか荒れた様子の室内の最奥、寝台の上の膨らみを見とめ、サイラスは再びの苦笑を呑み込んだ。
学園を抜け出す勇気もなく寝台に隠れるなど、幼子そのものではないか。
気の毒に。内心でサイラスは繰り返した。気が弱く、幼気で、純粋で。だから、精霊の影響を強く受けることになる。
「コンラットさま」
あくまでも穏やかに、サイラスは呼びかけた。
「ご安心ください、ということもおかしな話ではありますが。私が足を運んだのは、あの場に居合わせたジェラルド殿下の采配によるものです。我が家の指示ではありません」
自分の家がどのように噂をされているか、サイラスは正しく承知している。強い闇の精霊の加護を受け、この国において珍しい黒の髪と黒の瞳を持つ一族。
だが、「悪魔の血」と評される所以は、それではない。ブライアント王家に仇を為すと自分たちが判じた者を、独断で排そうとするからだ。
びくりと毛布の固まりが震える。顔を出す気配はないものの、必要以上に脅かすとことの進みが遅くなる。その点のみを考慮して、寝台から一定の距離を置いた位置で言葉を重ねる。
「ジェラルド殿下と言えば、ご存じでしたか? ジェラルド殿下は光の聖女のことをとても大切に思っていらっしゃるようなのです」
私は存じませんでしたが、と小さく笑い、サイラスは続けた。
「コンラットさまはクラスもご一緒ですので、知っていらっしゃったのでは? 今回のことは、とてもではないが許せることではないと仰せです」
「お、お許しください!」
とうとう毛布を跳ねのけたコンラットが、転がり落ちるように寝台を降りた。その勢いのまま、自分の足元に頭を擦り付ける。
「お許しください。私もなぜ自分があのようなことをしたのか、理由がわからず」
「理由がわからず、ですか」
震える声の哀願を、サイラスは繰り返した。悪役そのものだな、と。少しばかりおかしく思いながら。まぁ、もっとも否定をする要素はひとつもないのだが。
「不思議ですね、ご自身の行動の理由がわからないとは。幸い光の聖女に怪我はありませんでしたが、当たりどころが悪ければ死んでいてもおかしくない質量だったかと」
「お許しください。本当に私は」
語尾同様、床についた指先は震えている。だが、彼のしたことを考えれば、あたりまえの反応だ。学園の敷地内でなければ、騎士団に即時拘束されていてもおかしくない行為である。
「ですが、そうですね。不思議なことではありますが、最近の学内は精霊の活動が異常に活発でしたから。精霊の気配に敏感な方であれば、影響を受けることもあったのかもしれません」
サイラスの台詞に縋るものを求めるように、ぱっと顔が上がる。その瞳とよくよく視線を合わせるよう、サイラスは膝をついた。不吉と称される黒い瞳に、にこりとした笑みをつくる。
「魔が差した、ということでしょうか」
「は、はい。そのとおりで……」
「もっとも、芽吹いた以上は悪意の種があったということだと思いますが」
固まった瞳を見つめたまま、言い諭す調子で続ける。あくまでも、穏やかに。
「先ほどから私に許しを乞われていますが、判断をする人間は私ではありません」
「あ……」
「ジェラルド殿下は、光の聖女の言葉を信用なさるでしょうね。つまり、彼女が、精霊があなたを犯人と言っていると証言すれば、それ以上の証拠は不要ということだ」
近年のジェラルドは穏やかに立ち居振る舞っているが、彼の本質は苛烈だ。そのことを、コンラットも承知しているに違いない。
「お父さまはお困りになるのではないですか。ご長男のあなたが、一定期間の自由を保障したはずの学園で、光の聖女に仇を為そうとしたとなれば」
蒼白な顔で黙り込んだコンラットに、サイラスは改めて問いかけた。
「おまけに、近くには第二王位継承者であるジェラルド殿下もいらっしゃった。王室はどう判断をするでしょうか」
「私は本当にジェラルド殿下に害を為そうなどとは」
弁明が再び途切れる。彼の視線を辿り、ああ、と納得をした。闇の精霊。小さきものにそそのかされた影響か、はっきりと目視しているらしい。ちょうどいいとサイラスは精霊の言葉をそのまま伝えることにした。
「騎士団の馬車が裏口に到着したそうです」
びくりと大仰に震える肩に、そっと手を伸ばす。
「ですが、こちらまで踏み込んでくることはありません」
ご安心ください、と。サイラスは優しげに見えるようにほほえんだ。
「公私混同が過ぎると叱責を受けるかと悩みましたが、騎士団に所属する兄に配慮を頼みました。日中に学内に騎士団が姿を現わせば、目立ってしまうでしょうから」
「サイラスさま……」
はっきりと縋る色のにじんだ瞳に、握る手はこれしかないのだと告げるように、言葉を続ける。
「光の聖女に対する悪意があっただろうとは申しましたが、精霊の影響があったことも事実でしょう。あなたが望むのであれば同席し、学内で精霊の活動が活発であったことは口添えいたします」
緊張で冷えた肩をさすり、サイラスは黒い瞳をゆるめた。まぁ、退学になることは間違いはないだろうが。心身の不調に寄る自主退学という最低限のていを保つことは可能になるはずだ。
学園を追い出す前に、適当に恩を売っておけ。日中に聞いた精霊を通した兄の声をなぞり、サイラスは気遣う声をかけた。
「悪意と言いましたが、オリヴィア嬢を気の毒に思っただけなのですよね。ジェラルド殿下を害する意図も当然なかった。大丈夫、知っておりますよ」
「サイラスさま」
肩を抱いていないほうの手に、彼の手が伸びる。言葉どおりの縋る強さで握られ、励ます調子の台詞を選ぶ。
「まずは説明をしましょう。そうして、あなたにできる贖罪を。ご安心ください。悪魔の血だのなんのと言われておりますが、手荒な真似は好きではないのですよ」
今は自分の、騎士団では兄の言うことを聞けば問題はないのだ、と。刷り込むように囁き、サイラスは立つように促した。
「一緒に参りましょう」
寮の部屋の扉を開ける。裏口に続く廊下には、来たときと同様、導のように光が道をつくっていた。その道を支えるようにふたりで行く。帰りはひとりだ。
闇の精霊に連なる小さきものが伝え寄こした、兄の言葉のひとつである。まったく気の毒な話だとサイラスは思う。
当主である父親が財を増やし、ある家にとって望まないかたちで国政における影響力を強めたというだけで、息子に不穏な兆候が出現するのだから。
――たしか、彼は、オリヴィアに好意を寄せていたな。
もっとも、ハロルドと張り合うつもりはいっさいなかっただろうが。彼には彼の婚約者がいる。気弱な性格の彼が、意思のはっきりとしたオリヴィアに、淡い憧憬を抱いていたというだけ。
本来であれば、咎めるようなことではない。だが、彼は、「オリヴィアを悪役に仕立てようとした光の聖女を許せず、彼女を害そうと」してしまった。あろうことか、ジェラルド殿下の目の前で。
まったく、本当に気の毒なことだ。他人事のサイラスの心中をくすくすと笑うように、小さきものは夜の寮の廊下を光らせる。
その光をたどり、サイラスはある部屋の前で足を止めた。びっしりと扉一面に小さな光が点滅するさまは、なかなかに空恐ろしいものがある。
光の聖女を害する者を許さぬという、精霊の強い意思。苦笑いを呑み、サイラスは儀礼として扉を叩いた。
「コンラットさま。失礼してもよろしいでしょうか」
返事はなかったが、部屋の扉はひとりでに開いた。部屋の主が開けたのではない。小さきものが罰することを喜び、扉を開いたのだ。
「それでは扉も開いたことなので、失礼しますね」
にこりとほほえみ、室内に足を踏み入れる。とんでもない自身の行動に我に返り、裏庭から急ぎ帰ったのだろうか。どこか荒れた様子の室内の最奥、寝台の上の膨らみを見とめ、サイラスは再びの苦笑を呑み込んだ。
学園を抜け出す勇気もなく寝台に隠れるなど、幼子そのものではないか。
気の毒に。内心でサイラスは繰り返した。気が弱く、幼気で、純粋で。だから、精霊の影響を強く受けることになる。
「コンラットさま」
あくまでも穏やかに、サイラスは呼びかけた。
「ご安心ください、ということもおかしな話ではありますが。私が足を運んだのは、あの場に居合わせたジェラルド殿下の采配によるものです。我が家の指示ではありません」
自分の家がどのように噂をされているか、サイラスは正しく承知している。強い闇の精霊の加護を受け、この国において珍しい黒の髪と黒の瞳を持つ一族。
だが、「悪魔の血」と評される所以は、それではない。ブライアント王家に仇を為すと自分たちが判じた者を、独断で排そうとするからだ。
びくりと毛布の固まりが震える。顔を出す気配はないものの、必要以上に脅かすとことの進みが遅くなる。その点のみを考慮して、寝台から一定の距離を置いた位置で言葉を重ねる。
「ジェラルド殿下と言えば、ご存じでしたか? ジェラルド殿下は光の聖女のことをとても大切に思っていらっしゃるようなのです」
私は存じませんでしたが、と小さく笑い、サイラスは続けた。
「コンラットさまはクラスもご一緒ですので、知っていらっしゃったのでは? 今回のことは、とてもではないが許せることではないと仰せです」
「お、お許しください!」
とうとう毛布を跳ねのけたコンラットが、転がり落ちるように寝台を降りた。その勢いのまま、自分の足元に頭を擦り付ける。
「お許しください。私もなぜ自分があのようなことをしたのか、理由がわからず」
「理由がわからず、ですか」
震える声の哀願を、サイラスは繰り返した。悪役そのものだな、と。少しばかりおかしく思いながら。まぁ、もっとも否定をする要素はひとつもないのだが。
「不思議ですね、ご自身の行動の理由がわからないとは。幸い光の聖女に怪我はありませんでしたが、当たりどころが悪ければ死んでいてもおかしくない質量だったかと」
「お許しください。本当に私は」
語尾同様、床についた指先は震えている。だが、彼のしたことを考えれば、あたりまえの反応だ。学園の敷地内でなければ、騎士団に即時拘束されていてもおかしくない行為である。
「ですが、そうですね。不思議なことではありますが、最近の学内は精霊の活動が異常に活発でしたから。精霊の気配に敏感な方であれば、影響を受けることもあったのかもしれません」
サイラスの台詞に縋るものを求めるように、ぱっと顔が上がる。その瞳とよくよく視線を合わせるよう、サイラスは膝をついた。不吉と称される黒い瞳に、にこりとした笑みをつくる。
「魔が差した、ということでしょうか」
「は、はい。そのとおりで……」
「もっとも、芽吹いた以上は悪意の種があったということだと思いますが」
固まった瞳を見つめたまま、言い諭す調子で続ける。あくまでも、穏やかに。
「先ほどから私に許しを乞われていますが、判断をする人間は私ではありません」
「あ……」
「ジェラルド殿下は、光の聖女の言葉を信用なさるでしょうね。つまり、彼女が、精霊があなたを犯人と言っていると証言すれば、それ以上の証拠は不要ということだ」
近年のジェラルドは穏やかに立ち居振る舞っているが、彼の本質は苛烈だ。そのことを、コンラットも承知しているに違いない。
「お父さまはお困りになるのではないですか。ご長男のあなたが、一定期間の自由を保障したはずの学園で、光の聖女に仇を為そうとしたとなれば」
蒼白な顔で黙り込んだコンラットに、サイラスは改めて問いかけた。
「おまけに、近くには第二王位継承者であるジェラルド殿下もいらっしゃった。王室はどう判断をするでしょうか」
「私は本当にジェラルド殿下に害を為そうなどとは」
弁明が再び途切れる。彼の視線を辿り、ああ、と納得をした。闇の精霊。小さきものにそそのかされた影響か、はっきりと目視しているらしい。ちょうどいいとサイラスは精霊の言葉をそのまま伝えることにした。
「騎士団の馬車が裏口に到着したそうです」
びくりと大仰に震える肩に、そっと手を伸ばす。
「ですが、こちらまで踏み込んでくることはありません」
ご安心ください、と。サイラスは優しげに見えるようにほほえんだ。
「公私混同が過ぎると叱責を受けるかと悩みましたが、騎士団に所属する兄に配慮を頼みました。日中に学内に騎士団が姿を現わせば、目立ってしまうでしょうから」
「サイラスさま……」
はっきりと縋る色のにじんだ瞳に、握る手はこれしかないのだと告げるように、言葉を続ける。
「光の聖女に対する悪意があっただろうとは申しましたが、精霊の影響があったことも事実でしょう。あなたが望むのであれば同席し、学内で精霊の活動が活発であったことは口添えいたします」
緊張で冷えた肩をさすり、サイラスは黒い瞳をゆるめた。まぁ、退学になることは間違いはないだろうが。心身の不調に寄る自主退学という最低限のていを保つことは可能になるはずだ。
学園を追い出す前に、適当に恩を売っておけ。日中に聞いた精霊を通した兄の声をなぞり、サイラスは気遣う声をかけた。
「悪意と言いましたが、オリヴィア嬢を気の毒に思っただけなのですよね。ジェラルド殿下を害する意図も当然なかった。大丈夫、知っておりますよ」
「サイラスさま」
肩を抱いていないほうの手に、彼の手が伸びる。言葉どおりの縋る強さで握られ、励ます調子の台詞を選ぶ。
「まずは説明をしましょう。そうして、あなたにできる贖罪を。ご安心ください。悪魔の血だのなんのと言われておりますが、手荒な真似は好きではないのですよ」
今は自分の、騎士団では兄の言うことを聞けば問題はないのだ、と。刷り込むように囁き、サイラスは立つように促した。
「一緒に参りましょう」
寮の部屋の扉を開ける。裏口に続く廊下には、来たときと同様、導のように光が道をつくっていた。その道を支えるようにふたりで行く。帰りはひとりだ。
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