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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 5 ②
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おまけに、岡はやたらと心配そうな顔をしている。中等部にいたころからずっと四谷のグループにいた岡が。その雰囲気に押され、皓太は眉を下げた。
まぁ、なにかしらがあって一度かなりへこんだだろうことは嘘ではない。
「……うん、そうかな。ちょっと気になって」
「だよな。でも、まぁ、教室のほうは俺も気にしておくし、もう言わせないから。安心していいよ」
「言わせないって……。あぁ、もう、四谷と話してくれたんだ?」
「いや」
以前、あのふたりが揉めたときも間に入ってくれたのだったなと思ってほっとしかけていたのだが、岡はまたしてもはっきりと否定した。
「なにか言おうとしたら、間に入るってこと。話すのはもういいよ。選挙の前から、何度も話して、気も使って、それでこれなんだから。朝比奈もさすがに持て余してる」
四谷の、たぶん、一番親しい相手だ。岡の言っていることもわからなくはない。いくら、もともとは仲が良かったとは言え、機嫌の悪い人間にずっと気を遣っていれば、嫌気も差すだろうとわかるからだ。
供給ばかりの対人関係が、いつまでも続くわけがない。
――でも、これ、俺が「そこまでしなくても」って言ったら、また「榛名がかわいそう」になるんだろうな。
こういう感情的なループは、理論的に宥めても逆効果になるだけだ。自分が四谷を擁護することで望んでいない方向に加速させかねない。今は余計なことは言わないほうがいいと判じて、そっか、と皓太は曖昧な相槌を返した。
「わかった。教えてくれてありがと。教室のことはよくわからないから助かった」
「いいよ、ぜんぜん。付き合ってる相手のことだもんな。むしろ、ちょっと安心した」
そういえばそういう設定だったな、と。再び曖昧に頷いた皓太だったが、安心という表現にわずかに首を傾げる。その反応に、岡が笑った。
「さっきもちょっと言ったけど、付き合ってるわりに、高藤、あんまり扱い変えないだろ? 高藤らしいと言えばらしいけど、ちょっとはそうやって大事にしてるところも見せないと。なんだかんだ言っても、やっぱり、榛名もモテるし」
「ああ、……うん、まぁ、そうだよな」
「そうそう。中等部にいたころからそうだったけど、最近はちょっと喋りやすくなったから、たぶん、余計かな。――まぁ、その喋りやすくなった、も、高藤と付き合うようになったからなんだと思うけど」
そんなことは絶対にないんだけど、とも思いつつも、だといいんだけど、と笑みを返す。高等部に上がってから格段に人間が丸くなったのは事実だが、多少大人になっただけだろうと思っている。
……それに、俺っていうか、まぁ、いろいろあったからっていうのはそうなんだけど、でも、一番大きい切欠って、四谷と仲良くなったことだと思うんだよな。
まぁ、なにかしらがあって一度かなりへこんだだろうことは嘘ではない。
「……うん、そうかな。ちょっと気になって」
「だよな。でも、まぁ、教室のほうは俺も気にしておくし、もう言わせないから。安心していいよ」
「言わせないって……。あぁ、もう、四谷と話してくれたんだ?」
「いや」
以前、あのふたりが揉めたときも間に入ってくれたのだったなと思ってほっとしかけていたのだが、岡はまたしてもはっきりと否定した。
「なにか言おうとしたら、間に入るってこと。話すのはもういいよ。選挙の前から、何度も話して、気も使って、それでこれなんだから。朝比奈もさすがに持て余してる」
四谷の、たぶん、一番親しい相手だ。岡の言っていることもわからなくはない。いくら、もともとは仲が良かったとは言え、機嫌の悪い人間にずっと気を遣っていれば、嫌気も差すだろうとわかるからだ。
供給ばかりの対人関係が、いつまでも続くわけがない。
――でも、これ、俺が「そこまでしなくても」って言ったら、また「榛名がかわいそう」になるんだろうな。
こういう感情的なループは、理論的に宥めても逆効果になるだけだ。自分が四谷を擁護することで望んでいない方向に加速させかねない。今は余計なことは言わないほうがいいと判じて、そっか、と皓太は曖昧な相槌を返した。
「わかった。教えてくれてありがと。教室のことはよくわからないから助かった」
「いいよ、ぜんぜん。付き合ってる相手のことだもんな。むしろ、ちょっと安心した」
そういえばそういう設定だったな、と。再び曖昧に頷いた皓太だったが、安心という表現にわずかに首を傾げる。その反応に、岡が笑った。
「さっきもちょっと言ったけど、付き合ってるわりに、高藤、あんまり扱い変えないだろ? 高藤らしいと言えばらしいけど、ちょっとはそうやって大事にしてるところも見せないと。なんだかんだ言っても、やっぱり、榛名もモテるし」
「ああ、……うん、まぁ、そうだよな」
「そうそう。中等部にいたころからそうだったけど、最近はちょっと喋りやすくなったから、たぶん、余計かな。――まぁ、その喋りやすくなった、も、高藤と付き合うようになったからなんだと思うけど」
そんなことは絶対にないんだけど、とも思いつつも、だといいんだけど、と笑みを返す。高等部に上がってから格段に人間が丸くなったのは事実だが、多少大人になっただけだろうと思っている。
……それに、俺っていうか、まぁ、いろいろあったからっていうのはそうなんだけど、でも、一番大きい切欠って、四谷と仲良くなったことだと思うんだよな。
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