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第151話 下見①

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「そういえば…堕天してからどういう経緯で死神になったんだ?」



「ただひたすらイシスへの復讐心にそそられ、魔物を殺して血肉を吸収して…気が付けばこうなっていた。」



「吸収…?」



「うむ。我は”死魔法”と”黒魔法”を合成して”暗黒魔法”を開発した。これの能力で吸収した魔物の生命力に応じて自分の死の魔力がより多く、濃くなるのだ。」



「なるほど…」



死神の禍々しいまでの死の魔力はそのようにしてなっていたのか。



「…ところで汝はどうして死者の魂を使っていたのだ?」



「…あっ!!今死の魔力を中和する魔道具を作ってる最中だったんだ!!」



「なるほど…では我は仕事に戻る。復讐の準備ができたらいつでも呼んでくれ。」



「ああ。」



そう言うと、死神は地面の中へと沈んでいった。

復讐内容や手段について何も聞いていないが大丈夫だろうか?



『…そういえばあの重罪人は?』



辺りを見回すと、すぐ背後に倒れていた。

しかし気絶した後ショック死していたようで、死神に魂を持っていかれていた。



『…まあいいか。とりあえずできるだけ魔道具を作っておこう。』



それから俺は怒涛の勢いで”錬成”、”付与エンチャント”を行使し続けた。

そして何時間も経ち日が沈み始めたころ、ついに1000個目を製作し終えた。



『ふぅ…とりあえずこれくらい作っておけば大丈夫か。』



下見後に営業員が派遣されるであろうことも踏まえ、大分多めに作った。

徒労に終わってしまうかもしれないが、作業中に”効率化”という新しいスキルを習得したので許容範囲内だ。



『…明日は少し早めに着いておきたいからもう寝るか。』



既に民全員に明日下見に人間が来ることを把握してもらっているので、種族間のいざこざは起きないだろう。



『まさか魔族を煽ったり貶すような人はいないと思うが…それにグレイ暴走しないよな?』



ベッドに入り目を瞑っていると、色々と心配をしてしまった。

しかしやるべきことはもう全てやったので、今は無心になって寝よう。



翌朝



予定していた時間より少し早く目覚めてしまった。

そのため早く支度が終わり、集合より20分ほど早いが商会に”転移”した。



「うわっ!ダグラスかぁ…朝から心臓に悪いよ…」



「…すまん。メリルは相変わらず早いな。」



「ふふんっ!商人には時間が大事だからね!!」



周りを見渡すと、既に半数以上が集まっていた。

それから待つこと数分



「ダグラス、全員集まったよ。」



「ああ。みんな、これを身に付けて欲しい。」



俺は全員に銀のブレスレットを手渡した。



「これは…?」



「以前説明したがヴァルハラ帝国内は俺の死の魔力で満ち満ちている。なので、死の魔力を中和する魔道具を作った!これを付けていれば何も心配しなくていい!!」



「お、おおおおお!!!」



「アンタ強いだけじゃなくて魔道具も作れるの!?」



「すげーぞダグラス殿ーーーー!!!」



確かに、皆の俺に対する認識は”海龍を倒した強い人”でしかない。

俺の能力をさらけ出したら、商人より質がよい製品をたくさん作れるので呆れられてしまうかもしれない。

…これからは俺の能力についてあまりばれないようにしよう。



「じゃあ空間魔法で移動するが…みんな魔道具は付けたな?」



「ええ!!」



「じゃあ行くぞ!”領域転移”!」



そしてヴァルハラ帝国の結界内に着いた。



「…人間の街とあまり変わらないな。」



「あれは…屋敷と宮殿か!?」



「なんて綺麗な建築なんだ…!!」



しまった。

この荒れた土地に綺麗な屋敷と玉座はあまりにも不自然すぎた。



「こちらの建築物は一体どうやって…?」



「ああ、それは…以前ダンジョン探索をしていた時に発見したスクロールの効果だ。使い捨てだったからもう消えて無くなってしまったがな…」



「なんと…!!もしや”模倣”のスクロールですか?」



「確か。」



「”模倣”のスクロールは使用者の魔力量に依存していますからね…ダグラス様ならこの大きさの建造物を”模倣”できてもおかしくない…か。」



嘘がばれそうで少しひやひやしたが、何とか乗り越えられたようでよかった。

もしこれで俺の建築関係のスキルがばれていたら、建築商会の助力を得られなくなっていただろう。



「…じゃあ早速街を案内する。」



といっても結界と外壁の中には玉座とその前にある広場、少し離れたところに建ち並ぶ居住地しかないが。

…立派な外壁を築いたことと外観は一つの国っぽいが、中身はこれを国と言っていいのか?

自分で案内して恥ずかしくなってきた。



まず初めに玉座の方に向かって歩いていると、農作業服を着たグレイと出くわしてしまった。

…どうか何事も起こらないでくれ。
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