129 / 186
第129話 領地拡大
しおりを挟む
グリムらアンデッド軍は影の中に隠れる能力を持っていたため、新たに屋敷を建てずに済んだ。
『今日はもう寝るか…』
ベッドに横になり、そのまま泥のように眠った。
しかし、俺の安眠はすぐさま妨げられた。
ドシドシと、地面が揺れ始めたのだ。
それは地震のそれとは違い、まるで集団の足音のような揺れだった。
『…あぁうるせぇ!!!』
俺は睡眠が非常に好きだ。
言い換えると、睡眠を邪魔されたら相当ムカつくのだ。
『こんな時間になんだよ…!!!』
他の魔王候補者だろうか。
まあこんな順調に勢力を拡大し、力を増していたら接触してくるのも当然か。
「ダグラス殿。」
「どうしたグリム?」
「ただいま巨人の集団の長と話をしたところ、ここの魔王候補者を連れてこいと言っておっての。」
「…今行く。」
装備を整え、来客の前に”転移”した。
すると、目の前には壁がそそり立っていた。
『…は?』
思っていたより巨人たちが大きかった。
全長10mほどだと思っていたが、20~30mあった。
『…そりゃあうるさいわけだ。』
「おいそこの小さいの!!お前が魔王候補者か?」
「…そうだが何か用か?」
安眠妨害とマナーの悪さに怒り、死の魔力を大量に放出しながら答えた。
「…っ!その魔力は…我らが主と同じ。間違いないようだな。」
この巨人たちは他の魔王候補者の配下ということか。
”鑑定”してみたが、この巨人集団の長のステータスはグリムの部下である上位スケルトンにも満たない。
「我らが主がお前と話したいそうだ。明朝、この場所に行け。」
部下に伝言をさせるのはいいが…
時間と場所を勝手に決め、その上配下の質も悪い。
「…お前らの主はたかが知れてるな。」
「何か言ったか?」
「いや、何も。…了解した。」
「そうか。では我々は戻るとしよう。」
そう言って巨人たちはまた地の揺れとともに去っていった。
「ダグラス殿、一人で大丈夫かの?」
「別に一人で来いとは言われてないからな。グレイと一緒に行くよ。」
「ホホッ!!確かにその通りじゃの!!」
「ああ。グリムはヴァルハラの警護を頼む。」
「了解じゃ。」
アンデッド軍は正直、俺でさえ攻略するのが難しいほど強い。
個々の能力はグリム以外大したことないのだが、強さはその連携にある。
グリムの的確な指示があれば大抵の侵入者は殲滅できるだろう。
「グレイ。」
「はっ!」
「明朝他の魔王候補者と会談をしてくる。付いてきてくれ。」
「…しかし、グリムの方が適しているのではないでしょうか?」
「いや、会談中に強襲してくる可能性が高い。だからアンデッド軍にはヴァルハラの警護を頼んだ。」
「そういうことなら承知いたしました。」
平和に事が運んでくれたら嬉しいのだが…
正直前向きな話とは思えない。
『…とりあえず時間まで寝るか。』
そして迎えた翌朝
「じゃあ行ってくる。」
「気を付けるんじゃぞ!」
「ああ。グリムもヴァルハラを頼む。」
「了解じゃ!!グレイ、ダグラス殿を頼むぞい。」
「分かっておりますとも。」
俺はグレイを連れて指定の場所に”転移”した。
そこは火山のふもとで、大地の荒れたところだった。
『肝心の会談相手は…まだ来てないのか。』
呼びつけておいて遅刻とは、いいご身分ではないか。
俺は会談前から殺気立った。
「ダグラス様、暑くはないですか?」
「俺は大丈夫だ。ありがとう。グレイは?」
「私めも大丈夫でございます。」
「そうか。グレイ、何があっても手を出すなよ?お前は前科持ちだからな…」
「…承知いたしました。」
そんな会話をしていると、またドシドシと地面が揺れてきた。
昨日と同じ巨人だろうか。
『…配下はあいつらしかいないのか?』
しかし、そうではなかった。
死の魔力をかすかに放ちながら、通常種より一回り大きい巨人が前から歩いてきたのだ。
『巨人が魔王候補者だったのか…なんか俺の魔王のイメージと合わないな…』
魔王と言えば、角と羽以外限りなく人に似ている魔族を連想する。
…俺だけではないと思うが。
「お前が魔王候補者か?」
「ああ。」
「そうかそうか…」
巨人の魔王候補者は俺をじっくりと見て、何やら舐めた表情をしている。
「…それで、話ってなんだ?」
「オレの軍門に下れ。そうすれば脆弱なお前も、取るに足らないお前の配下どもも酷使してやるよ!!価値がないお前らにようやく存在価値が生まれるんだ!!!嬉しいだろ??」
…本当にクズだ。
何も知らないくせに、なぜそのような身勝手なことを言っているのだろうか。
「…断る。」
「あ?聞こえなかったなぁ!!もういっぺん言ってみろよ?」
「断ると言ったんだ。」
「はっ!羽虫の分際で生意気な!!…まあいい。お前はどうせ絶望するんだからな!!」
「…何をするつもりだ?」
「お前の領地に配下たちを進軍させた!!奪い、犯し、壊せという命令でな!!!」
全く持って予想通りで退屈だ。
この魔王候補者も”鑑定”結果からグレイと同等程度の実力だし、本当につまらない。
「やれるものならやってみろ。用件はそれだけか?」
「はっ!強がりやがって!!死ね!!!!」
『今日はもう寝るか…』
ベッドに横になり、そのまま泥のように眠った。
しかし、俺の安眠はすぐさま妨げられた。
ドシドシと、地面が揺れ始めたのだ。
それは地震のそれとは違い、まるで集団の足音のような揺れだった。
『…あぁうるせぇ!!!』
俺は睡眠が非常に好きだ。
言い換えると、睡眠を邪魔されたら相当ムカつくのだ。
『こんな時間になんだよ…!!!』
他の魔王候補者だろうか。
まあこんな順調に勢力を拡大し、力を増していたら接触してくるのも当然か。
「ダグラス殿。」
「どうしたグリム?」
「ただいま巨人の集団の長と話をしたところ、ここの魔王候補者を連れてこいと言っておっての。」
「…今行く。」
装備を整え、来客の前に”転移”した。
すると、目の前には壁がそそり立っていた。
『…は?』
思っていたより巨人たちが大きかった。
全長10mほどだと思っていたが、20~30mあった。
『…そりゃあうるさいわけだ。』
「おいそこの小さいの!!お前が魔王候補者か?」
「…そうだが何か用か?」
安眠妨害とマナーの悪さに怒り、死の魔力を大量に放出しながら答えた。
「…っ!その魔力は…我らが主と同じ。間違いないようだな。」
この巨人たちは他の魔王候補者の配下ということか。
”鑑定”してみたが、この巨人集団の長のステータスはグリムの部下である上位スケルトンにも満たない。
「我らが主がお前と話したいそうだ。明朝、この場所に行け。」
部下に伝言をさせるのはいいが…
時間と場所を勝手に決め、その上配下の質も悪い。
「…お前らの主はたかが知れてるな。」
「何か言ったか?」
「いや、何も。…了解した。」
「そうか。では我々は戻るとしよう。」
そう言って巨人たちはまた地の揺れとともに去っていった。
「ダグラス殿、一人で大丈夫かの?」
「別に一人で来いとは言われてないからな。グレイと一緒に行くよ。」
「ホホッ!!確かにその通りじゃの!!」
「ああ。グリムはヴァルハラの警護を頼む。」
「了解じゃ。」
アンデッド軍は正直、俺でさえ攻略するのが難しいほど強い。
個々の能力はグリム以外大したことないのだが、強さはその連携にある。
グリムの的確な指示があれば大抵の侵入者は殲滅できるだろう。
「グレイ。」
「はっ!」
「明朝他の魔王候補者と会談をしてくる。付いてきてくれ。」
「…しかし、グリムの方が適しているのではないでしょうか?」
「いや、会談中に強襲してくる可能性が高い。だからアンデッド軍にはヴァルハラの警護を頼んだ。」
「そういうことなら承知いたしました。」
平和に事が運んでくれたら嬉しいのだが…
正直前向きな話とは思えない。
『…とりあえず時間まで寝るか。』
そして迎えた翌朝
「じゃあ行ってくる。」
「気を付けるんじゃぞ!」
「ああ。グリムもヴァルハラを頼む。」
「了解じゃ!!グレイ、ダグラス殿を頼むぞい。」
「分かっておりますとも。」
俺はグレイを連れて指定の場所に”転移”した。
そこは火山のふもとで、大地の荒れたところだった。
『肝心の会談相手は…まだ来てないのか。』
呼びつけておいて遅刻とは、いいご身分ではないか。
俺は会談前から殺気立った。
「ダグラス様、暑くはないですか?」
「俺は大丈夫だ。ありがとう。グレイは?」
「私めも大丈夫でございます。」
「そうか。グレイ、何があっても手を出すなよ?お前は前科持ちだからな…」
「…承知いたしました。」
そんな会話をしていると、またドシドシと地面が揺れてきた。
昨日と同じ巨人だろうか。
『…配下はあいつらしかいないのか?』
しかし、そうではなかった。
死の魔力をかすかに放ちながら、通常種より一回り大きい巨人が前から歩いてきたのだ。
『巨人が魔王候補者だったのか…なんか俺の魔王のイメージと合わないな…』
魔王と言えば、角と羽以外限りなく人に似ている魔族を連想する。
…俺だけではないと思うが。
「お前が魔王候補者か?」
「ああ。」
「そうかそうか…」
巨人の魔王候補者は俺をじっくりと見て、何やら舐めた表情をしている。
「…それで、話ってなんだ?」
「オレの軍門に下れ。そうすれば脆弱なお前も、取るに足らないお前の配下どもも酷使してやるよ!!価値がないお前らにようやく存在価値が生まれるんだ!!!嬉しいだろ??」
…本当にクズだ。
何も知らないくせに、なぜそのような身勝手なことを言っているのだろうか。
「…断る。」
「あ?聞こえなかったなぁ!!もういっぺん言ってみろよ?」
「断ると言ったんだ。」
「はっ!羽虫の分際で生意気な!!…まあいい。お前はどうせ絶望するんだからな!!」
「…何をするつもりだ?」
「お前の領地に配下たちを進軍させた!!奪い、犯し、壊せという命令でな!!!」
全く持って予想通りで退屈だ。
この魔王候補者も”鑑定”結果からグレイと同等程度の実力だし、本当につまらない。
「やれるものならやってみろ。用件はそれだけか?」
「はっ!強がりやがって!!死ね!!!!」
0
お気に入りに追加
203
あなたにおすすめの小説
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる