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第237話 第4ダンジョン 上層攻略開始
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「あー…すまんな。奴さんがあそこまで怒るとは思わなかったぜ。」
「どうせパウロが”アルフレッドパーティーに先を越されるぞ?”とか煽ったんだろ?」
「お、おう。まさにその通りだぜ。お前さんにはまた迷惑かけたな。」
「気にするな。それより早く報告を始めよう。」
どうやらコボルドヒーローの出現は初めてではないらしく、成長増加分の時のように根掘り葉掘り聞かれることはなかった。
そして何の因縁か、コボルドヒーローを倒したのが”深淵を覗く者”らしい。
少し不快感を感じつつも、報告を終えてパーティーハウスに帰った。
「おかえりなさいませ。」
「ただいま。クレア達は?」
「先程お風呂から上がりました。アルフレッド様もどうぞ。」
「ああ。そうさせてもらうよ。」
足を伸ばせる湯船にゆったり浸かり、ダンジョン攻略で溜まった肉体的疲労と先程溜まった精神的疲労を流した。
そしてソフィアの美味しい食事を堪能し、会議室でパーティー会議を始めた。
「明日の予定についてだが…」
「アルフレッド様、その前に1つご報告がございます。」
「何だ?」
「はい。今日16:00頃、第4ダンジョンの最前線パーティー”深淵を覗く者”がこの街に帰還しました。」
「おぉ~!!あたしたちのライバルのパーティーだね~」
「あー…実はさっきギルドでリーダーのヴォルガノフに会ったぞ。」
「どうでしたか?」
「ステータス値は4人より上だな。だがそれより…すまん。そりが合わなくて対立することになった。」
「ど、どうしてなのです!?」
「実は…」
俺は先程ギルドであったあれこれをあくまで客観的に、事実だけを報告した。
あることないこと言って奴の株を落とそうかという考えも一瞬脳裏によぎったが、バレた時に落ちるのは俺の株の方なので辞めておいた。
「挑発したアルフレッドも悪いですが…本能的な拒否であれば仕方ありませんね。」
「だね~!というか勝手に目の敵にしてるヴォル…なんとかって幼稚じゃな~い?」
「オレもそう思う。100歳超えてるんだろ?」
「そんな大人にはなりたくないのです…」
「皆様の仰る通りかと。」
「あ、ああ。」
怒られることはなかったが、4人が思っていたよりも毒舌で驚いた。
今後もこの矛先が俺に向くことが無いように祈ろう。
それから明日の予定を決め、眠りについた。
今までの攻略ペースから考えて目標は120層…ではなくさらにその先の130層である。
”深淵を覗く者”が現れたからと言って焦りはせず、いつも通りのペースで攻略することに決めたのだ。
翌朝
「では皆様、いってらっしゃいませ。」
「ああ。」
ソフィアに見送られ、記録の扉を抜けて100層に転移した。
実は昨晩、ソフィアをサポーターとして同行させるか否かで議論になった。
実力不足と経験不足で危ないので不参加の方が良いというアイリスとイザベルに対し、危なくなっても皆でカバーするから参加した方が良いというクレアとスー。
結果、ソフィア自身が前者についたことで不参加の方向で決定した。
そもそもソフィアの攻略階層は60層までなので、最前線の記録の扉を登録する必要がある。
なので、レベリングと実戦経験を積ませる目的も兼ねて俺と2人で60層から攻略することになった。
もちろん俺は魔物を半殺しにするだけで、トドメは全てソフィアに刺してもらう。
ちなみに相応の実力が付いたと判断したら最前線攻略にサポーターとして同行してもらう予定だ。
『午前とか隙間時間にソフィアと、午後に5人でダンジョン攻略でいいか。』
「アルフレッドどうしたの~?」
「ああいや、なんでもない。」
「101層から更に罠と魔物が強く、増えるんですから集中してください。
「悪い。」
いつも通り”構造探知”、”罠探知”、”魔物探知”を駆使して慎重に進んでいく。
魔物はこの階層に50匹近く配置されており、連戦は免れられないだろう。
さらに罠は即死級のものが多く配置されており、絶対に嵌まるわけにはいかない。
”罠解除”で罠を無効化して前衛の2人とスーの3人が魔物を仕留めて進むこと数十分。
「やっと102層への階段なのです…」
「魔物多すぎじゃない~!?」
「戦闘音を嗅ぎつけてどんどん寄ってきますし。」
魔物との連戦を回避するために高速戦闘で素早く移動すれば罠に嵌まるし、罠を回避するために”罠解除”に時間をかければ魔物が寄ってくる。
何とも嫌な負のスパイラルだ。
「…そろそろ攻略再開しよーぜ。」
「だな。」
それから1層30分前後の攻略ペースで進み、5時間かけてようやく110層ボス部屋前に到達した。
”深淵を覗く者”準備に1ヶ月、攻略に2週間かかったのでそれに比べたら相当ハイペースだ。
とはいえ、彼らは何が待ち受けているか分からない未開拓区域の攻略だった。
対策も分からなければ地図もないので、それくらいかかって当然だ。
「はぁ…はぁ…」
「ちょっと休みましょう…」
「だね~…」
いつもはダンジョン攻略をしても息一つ切らさず、生き生きとした顔で模擬戦を挑んでくる皆が息を上げている。
特に何時間も魔物と戦い続けたアイリス、クレア、スーは疲労困憊といった具合だ。
「…一旦ここで昼食にするか。昼も過ぎてる頃だしな。」
「賛成なのです。」
「どうせパウロが”アルフレッドパーティーに先を越されるぞ?”とか煽ったんだろ?」
「お、おう。まさにその通りだぜ。お前さんにはまた迷惑かけたな。」
「気にするな。それより早く報告を始めよう。」
どうやらコボルドヒーローの出現は初めてではないらしく、成長増加分の時のように根掘り葉掘り聞かれることはなかった。
そして何の因縁か、コボルドヒーローを倒したのが”深淵を覗く者”らしい。
少し不快感を感じつつも、報告を終えてパーティーハウスに帰った。
「おかえりなさいませ。」
「ただいま。クレア達は?」
「先程お風呂から上がりました。アルフレッド様もどうぞ。」
「ああ。そうさせてもらうよ。」
足を伸ばせる湯船にゆったり浸かり、ダンジョン攻略で溜まった肉体的疲労と先程溜まった精神的疲労を流した。
そしてソフィアの美味しい食事を堪能し、会議室でパーティー会議を始めた。
「明日の予定についてだが…」
「アルフレッド様、その前に1つご報告がございます。」
「何だ?」
「はい。今日16:00頃、第4ダンジョンの最前線パーティー”深淵を覗く者”がこの街に帰還しました。」
「おぉ~!!あたしたちのライバルのパーティーだね~」
「あー…実はさっきギルドでリーダーのヴォルガノフに会ったぞ。」
「どうでしたか?」
「ステータス値は4人より上だな。だがそれより…すまん。そりが合わなくて対立することになった。」
「ど、どうしてなのです!?」
「実は…」
俺は先程ギルドであったあれこれをあくまで客観的に、事実だけを報告した。
あることないこと言って奴の株を落とそうかという考えも一瞬脳裏によぎったが、バレた時に落ちるのは俺の株の方なので辞めておいた。
「挑発したアルフレッドも悪いですが…本能的な拒否であれば仕方ありませんね。」
「だね~!というか勝手に目の敵にしてるヴォル…なんとかって幼稚じゃな~い?」
「オレもそう思う。100歳超えてるんだろ?」
「そんな大人にはなりたくないのです…」
「皆様の仰る通りかと。」
「あ、ああ。」
怒られることはなかったが、4人が思っていたよりも毒舌で驚いた。
今後もこの矛先が俺に向くことが無いように祈ろう。
それから明日の予定を決め、眠りについた。
今までの攻略ペースから考えて目標は120層…ではなくさらにその先の130層である。
”深淵を覗く者”が現れたからと言って焦りはせず、いつも通りのペースで攻略することに決めたのだ。
翌朝
「では皆様、いってらっしゃいませ。」
「ああ。」
ソフィアに見送られ、記録の扉を抜けて100層に転移した。
実は昨晩、ソフィアをサポーターとして同行させるか否かで議論になった。
実力不足と経験不足で危ないので不参加の方が良いというアイリスとイザベルに対し、危なくなっても皆でカバーするから参加した方が良いというクレアとスー。
結果、ソフィア自身が前者についたことで不参加の方向で決定した。
そもそもソフィアの攻略階層は60層までなので、最前線の記録の扉を登録する必要がある。
なので、レベリングと実戦経験を積ませる目的も兼ねて俺と2人で60層から攻略することになった。
もちろん俺は魔物を半殺しにするだけで、トドメは全てソフィアに刺してもらう。
ちなみに相応の実力が付いたと判断したら最前線攻略にサポーターとして同行してもらう予定だ。
『午前とか隙間時間にソフィアと、午後に5人でダンジョン攻略でいいか。』
「アルフレッドどうしたの~?」
「ああいや、なんでもない。」
「101層から更に罠と魔物が強く、増えるんですから集中してください。
「悪い。」
いつも通り”構造探知”、”罠探知”、”魔物探知”を駆使して慎重に進んでいく。
魔物はこの階層に50匹近く配置されており、連戦は免れられないだろう。
さらに罠は即死級のものが多く配置されており、絶対に嵌まるわけにはいかない。
”罠解除”で罠を無効化して前衛の2人とスーの3人が魔物を仕留めて進むこと数十分。
「やっと102層への階段なのです…」
「魔物多すぎじゃない~!?」
「戦闘音を嗅ぎつけてどんどん寄ってきますし。」
魔物との連戦を回避するために高速戦闘で素早く移動すれば罠に嵌まるし、罠を回避するために”罠解除”に時間をかければ魔物が寄ってくる。
何とも嫌な負のスパイラルだ。
「…そろそろ攻略再開しよーぜ。」
「だな。」
それから1層30分前後の攻略ペースで進み、5時間かけてようやく110層ボス部屋前に到達した。
”深淵を覗く者”準備に1ヶ月、攻略に2週間かかったのでそれに比べたら相当ハイペースだ。
とはいえ、彼らは何が待ち受けているか分からない未開拓区域の攻略だった。
対策も分からなければ地図もないので、それくらいかかって当然だ。
「はぁ…はぁ…」
「ちょっと休みましょう…」
「だね~…」
いつもはダンジョン攻略をしても息一つ切らさず、生き生きとした顔で模擬戦を挑んでくる皆が息を上げている。
特に何時間も魔物と戦い続けたアイリス、クレア、スーは疲労困憊といった具合だ。
「…一旦ここで昼食にするか。昼も過ぎてる頃だしな。」
「賛成なのです。」
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