218 / 246
第218話 グリフィン伯爵家 奪取
しおりを挟む
『さて…まずは右側の部屋から調べるか。』
4つとも扉に罠と南京錠が設置されているようだが、問題はない。
この前の”交換転移の水晶”を入手時に罠を解除したことで”罠解除”というスキルを習得したからだ。
鍵のほうも”鍵開け”というスキルを習得しており、ちゃちゃっと開けることに成功した。
『部屋の中は…ん?』
扉を開けると、大量の大きな樽が視界いっぱいに広がった。
10個や20個どころではなく、横に倒して積み重ねることで部屋いっぱいに置かれている。
『酒か?俺はあまり飲まないが…まあいいか。とりあえず収納しておこう。』
手をかざして”アイテムボックス”に収納すると、火薬樽×46と表記された。
どうやらこの部屋にあった樽は全て火薬がパンパンに詰まっていたらしい。
『…戦争用か。』
そういえば帝国にいた頃、”王国のグリフィン伯爵家は未知なるを爆発を自在に使う悪魔である”と書かれた書物を読んだことがある。
その”未知なる爆発”の正体がこの火薬樽だったのだろう。
この世界の技術は魔道具に頼り切っているため、こういった科学技術が前世に比べて大幅に遅れている。
火薬の存在もグリフィン伯爵家以外では聞いたことが無いくらいだ。
これだけ火薬があれば銃を作ってみたいところだが、残念ながら構造を知らないので不可能だ。
もしもグリフィン伯爵家の科学技術が進歩したら銃も生み出されるかもしれない。
しかし、俺は今のファンタジーな世界観が気に入っているので火薬樽とその製法が記された書類を回収することでFPSな世界観にならないよう阻止させてもらう。
『火薬の製作者は…誰か分からないしまあいいか。』
詰めが甘いと師範に指摘されてしまうだろうが、今はそんなことよりも金品の奪取だ。
火薬樽倉庫の扉を閉め、南京錠をしておくことで元通りに見せかけた。
これで中身が盗まれたことに気付くのが遅れ、屋敷から逃げ出す時間稼ぎになるだろう。
次は隣の部屋だ。
手慣れた手つきで”罠解除”と”鍵開け”を行使し、扉を開けた。
『おぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!当たりだ!!!!!!!』
目の前に現れたのは、金貨や装飾品が溢れ出た宝箱の山だった。
種類ごとに分けている様子はなく、まるで龍の巣穴のように財宝を貯め込んでいる。
手をかざして”アイテムボックス”に収納し…ようとして手を止めた。
『嫌な噂があるんだよな…全部消毒できないか…?』
現グリフィン伯爵は性欲と物欲が混ざっており、金貨の山に飛び込んでそういった行為をするとの噂だ。
だが、見る限りそのような痕跡は一切残されていない。
おそらくグリフィン伯爵が金や女にがめついことからこのような噂が一人歩きしたのだろう。
『…そうだと信じるしかないな。』
今度こそ手をかざして”アイテムボックス”に収納してみた。
すると金貨×2485、ミスリルのブレスレット×6、etc…と表記された。
そして、表記の中にそういった行為の物的証拠は出てこなかった。
『良かった…これでグリフィン伯爵の体液とか出てきたら鳥肌ものだっただろうな…』
想像しただけでゾッとする。
グリフィン伯爵の性癖がまだまともだったようで助かった。
気を取り直して次は左側の部屋だ。
ちゃちゃっと罠と鍵を解除して扉を開けた。
『部屋の中は…おぉぉぉぉぉぉ!!!!!!ここも当たりだ!!!!!!!』
部屋の壁一面にショーケースが設置されており、その中に魔道具と思しきものが大量に飾られていた。
古代文明都市の展示スペースよりは劣るが、商会を上回るなかなかのものだ。
『これも全部もらって…ん?ショーケースごとに侵入者を知らせる罠があるのか。危ない危ない。』
”罠解除”で全ての罠を解除してショーケースを開け、手をかざして”アイテムボックス”に収納した。
扇子に壺、船の舵、金の盃など1つもダブりがなく表記数が半端ないのであとで確認することにしよう。
念のため隠し階段入り口のように幻術の魔道具で何かを隠していないか探したが、特に見当たらなかった。
やはり見たことがない魔道具なので、それなりに希少なのだろう。
次は隣の部屋だ。
ちゃちゃっと罠と鍵を解除して扉を開けると、花がツーンとするほどの異臭が漂ってきた。
反射的に扉を閉め、匂いの元から離れた。
『臭っさ!!!!嗅覚が完全にダメになったな…』
その異臭はどこかで嗅いだことがあるものだった気がするのだが、強烈過ぎて判断がつかない。
鼻と口に布を巻き、もう一度扉を開けて中に入った。
そこには何やら白色の鉱石らしきものと黒色の粉、そして黄色の鉱石が大量に置かれていた。
『この黄色いのは…硫黄か!!そうだ!!温泉で嗅いだ匂いだ!!』
”鑑定”によるとそれぞれの物質は硝石と炭粉、硫黄だったらしい。
どうやら火薬を作るための材料のようだ。
この強烈な異臭から抜け出すため、罠が無いことを確認してすぐに手をかざして”アイテムボックス”に収納した。
『どうして廊下まで匂いが漂ってこなかったんだ…?』
疑問に思って部屋を見回してみると、扉の裏に長方形の箱のようなものが4つ張り付けられていた。
どうやらこれらは”脱臭の魔道具”で、これによって匂いを防いでいたらしい。
日常で使えそうなのでこれも”アイテムボックス”に収納しておいた。
『さて…最後は奥にある鉄の扉の部屋だな!』
4つとも扉に罠と南京錠が設置されているようだが、問題はない。
この前の”交換転移の水晶”を入手時に罠を解除したことで”罠解除”というスキルを習得したからだ。
鍵のほうも”鍵開け”というスキルを習得しており、ちゃちゃっと開けることに成功した。
『部屋の中は…ん?』
扉を開けると、大量の大きな樽が視界いっぱいに広がった。
10個や20個どころではなく、横に倒して積み重ねることで部屋いっぱいに置かれている。
『酒か?俺はあまり飲まないが…まあいいか。とりあえず収納しておこう。』
手をかざして”アイテムボックス”に収納すると、火薬樽×46と表記された。
どうやらこの部屋にあった樽は全て火薬がパンパンに詰まっていたらしい。
『…戦争用か。』
そういえば帝国にいた頃、”王国のグリフィン伯爵家は未知なるを爆発を自在に使う悪魔である”と書かれた書物を読んだことがある。
その”未知なる爆発”の正体がこの火薬樽だったのだろう。
この世界の技術は魔道具に頼り切っているため、こういった科学技術が前世に比べて大幅に遅れている。
火薬の存在もグリフィン伯爵家以外では聞いたことが無いくらいだ。
これだけ火薬があれば銃を作ってみたいところだが、残念ながら構造を知らないので不可能だ。
もしもグリフィン伯爵家の科学技術が進歩したら銃も生み出されるかもしれない。
しかし、俺は今のファンタジーな世界観が気に入っているので火薬樽とその製法が記された書類を回収することでFPSな世界観にならないよう阻止させてもらう。
『火薬の製作者は…誰か分からないしまあいいか。』
詰めが甘いと師範に指摘されてしまうだろうが、今はそんなことよりも金品の奪取だ。
火薬樽倉庫の扉を閉め、南京錠をしておくことで元通りに見せかけた。
これで中身が盗まれたことに気付くのが遅れ、屋敷から逃げ出す時間稼ぎになるだろう。
次は隣の部屋だ。
手慣れた手つきで”罠解除”と”鍵開け”を行使し、扉を開けた。
『おぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!当たりだ!!!!!!!』
目の前に現れたのは、金貨や装飾品が溢れ出た宝箱の山だった。
種類ごとに分けている様子はなく、まるで龍の巣穴のように財宝を貯め込んでいる。
手をかざして”アイテムボックス”に収納し…ようとして手を止めた。
『嫌な噂があるんだよな…全部消毒できないか…?』
現グリフィン伯爵は性欲と物欲が混ざっており、金貨の山に飛び込んでそういった行為をするとの噂だ。
だが、見る限りそのような痕跡は一切残されていない。
おそらくグリフィン伯爵が金や女にがめついことからこのような噂が一人歩きしたのだろう。
『…そうだと信じるしかないな。』
今度こそ手をかざして”アイテムボックス”に収納してみた。
すると金貨×2485、ミスリルのブレスレット×6、etc…と表記された。
そして、表記の中にそういった行為の物的証拠は出てこなかった。
『良かった…これでグリフィン伯爵の体液とか出てきたら鳥肌ものだっただろうな…』
想像しただけでゾッとする。
グリフィン伯爵の性癖がまだまともだったようで助かった。
気を取り直して次は左側の部屋だ。
ちゃちゃっと罠と鍵を解除して扉を開けた。
『部屋の中は…おぉぉぉぉぉぉ!!!!!!ここも当たりだ!!!!!!!』
部屋の壁一面にショーケースが設置されており、その中に魔道具と思しきものが大量に飾られていた。
古代文明都市の展示スペースよりは劣るが、商会を上回るなかなかのものだ。
『これも全部もらって…ん?ショーケースごとに侵入者を知らせる罠があるのか。危ない危ない。』
”罠解除”で全ての罠を解除してショーケースを開け、手をかざして”アイテムボックス”に収納した。
扇子に壺、船の舵、金の盃など1つもダブりがなく表記数が半端ないのであとで確認することにしよう。
念のため隠し階段入り口のように幻術の魔道具で何かを隠していないか探したが、特に見当たらなかった。
やはり見たことがない魔道具なので、それなりに希少なのだろう。
次は隣の部屋だ。
ちゃちゃっと罠と鍵を解除して扉を開けると、花がツーンとするほどの異臭が漂ってきた。
反射的に扉を閉め、匂いの元から離れた。
『臭っさ!!!!嗅覚が完全にダメになったな…』
その異臭はどこかで嗅いだことがあるものだった気がするのだが、強烈過ぎて判断がつかない。
鼻と口に布を巻き、もう一度扉を開けて中に入った。
そこには何やら白色の鉱石らしきものと黒色の粉、そして黄色の鉱石が大量に置かれていた。
『この黄色いのは…硫黄か!!そうだ!!温泉で嗅いだ匂いだ!!』
”鑑定”によるとそれぞれの物質は硝石と炭粉、硫黄だったらしい。
どうやら火薬を作るための材料のようだ。
この強烈な異臭から抜け出すため、罠が無いことを確認してすぐに手をかざして”アイテムボックス”に収納した。
『どうして廊下まで匂いが漂ってこなかったんだ…?』
疑問に思って部屋を見回してみると、扉の裏に長方形の箱のようなものが4つ張り付けられていた。
どうやらこれらは”脱臭の魔道具”で、これによって匂いを防いでいたらしい。
日常で使えそうなのでこれも”アイテムボックス”に収納しておいた。
『さて…最後は奥にある鉄の扉の部屋だな!』
0
お気に入りに追加
1,275
あなたにおすすめの小説
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
異世界に転生!堪能させて頂きます
葵沙良
ファンタジー
遠宮 鈴霞(とおみやりんか)28歳。
大手企業の庶務課に勤める普通のOL。
今日は何時もの残業が無く、定時で帰宅途中の交差点そばのバス停で事件は起きた━━━━。
ハンドルを切り損なった車が、高校生3人と鈴霞のいるバス停に突っ込んできたのだ!
死んだと思ったのに、目を覚ました場所は白い空間。
女神様から、地球の輪廻に戻るか異世界アークスライドへ転生するか聞かれたのだった。
「せっかくの異世界、チャンスが有るなら行きますとも!堪能させて頂きます♪」
笑いあり涙あり?シリアスあり。トラブルに巻き込まれたり⁉
鈴霞にとって楽しい異世界ライフになるのか⁉
趣味の域で書いておりますので、雑な部分があるかも知れませんが、楽しく読んで頂けたら嬉しいです。戦闘シーンも出来るだけ頑張って書いていきたいと思います。
こちらは《改訂版》です。現在、加筆・修正を大幅に行っています。なので、不定期投稿です。
何の予告もなく修正等行う場合が有りますので、ご容赦下さいm(__)m
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる