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第217話 グリフィン伯爵家 侵入
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人通りの少ない路地裏や屋根の上を走り、屋敷裏手の外壁に到着した。
警備体制は約10mおきに1人ずつ配置し、さらに6人1組で見回りをしており厳重だ。
昨日両腕を斬り落とした私兵を送り返したからだろう。
「…どうしますか?」
「そうだな…たまには分散して5方向から攻めてみないか?」
「面白そうだな!良いぜ!!」
「ボ、ボクも賛成なのです!」
「じゃあクレアが正面、アイリスが左、イザベル右、スーが裏手でどうだ?」
「アルフレッドはどうするんですか?」
「飛んで上から入る。」
「ついでに誰が1番金品を奪取できたか競おうよ~!!」
「それは構わないが…賞品はどうするんだ?」
「う~ん…アルフレッドとの1日行動権とかどうかな~?」
「乗った!!」
「私もです!!」
俺の人権は一体どこへ行ったのだろうか。
だが、嫌なわけではないので問題ない。
「それじゃあ同時に出るぞ。3、2、1、今!!」
合図と同時に俺は”迷彩偽装”、”無音偽装”、”無臭偽装”を行使して飛翔した。
クレア、アイリス、イザベルの3人は植物に隠れながら屋敷の外壁に沿って移動を開始したようだ。
そしてスーは堂々と外壁を乗り越え、警備兵の前に姿を現した。
「な、何者…ぐぁぁぁ!!!」
「て、敵襲ーー!!…ぐぁぁぁぁ!!!!」
スーの奇襲を受けた私兵達が大声で報告すると、周囲に配置されていた者たちが駆け寄ってきた。
これで裏手の警備がより厳重になり、他方の警備は手薄になったことだろう。
『派手にやってるな。私兵の始末は4人に任せて俺は盗賊の真似事でもするか。』
開いていた2階の窓から屋敷内に侵入し、即座に”気配探知”を行使して私兵達の場所を特定した。
どうやら屋敷内は2人1組で見回りをしており、2階は左20m先と右10m先に計4人だけのようだ。
この部屋から出るなら今が絶好の機会だろう。高級家具以外には特に金品はなさげなので扉に“無音偽装“を行使してこっそりと廊下に出た。
廊下の長さに驚きつつも、私兵に気付かれないようそっと扉を閉めた。
続いて“構造探知“を行使し、屋敷の構造を把握した。
どうやら今いる部屋を含み、2階のほとんどは客室のようだ。
『…ん?地下があるのか。いかにも怪しいな…』
1階は4人が制圧して金品を粗探しすると予想されるので、俺は地下に向かうことにした。
左に進んで少しドキドキしつつ私兵2人の横を通り抜け、1階へ下りた。
現状を把握しつつ、地下へと続く隠し階段へと足を運んだ。
場所はリビングの右端にある暖炉の下なのだが、階段へ辿り着く方法が分からない。
『…おっ、アイリスとクレアが屋敷内に入ったみたいだな。イザベルとスーは…交戦中か。鉢合わせる前に何とか地下に潜りたいな。』
辺りを見て回るも、レバーやボタンらしきものは見当たらない。
思い付きで”罠探知”を行使してみたが、罠ではないので反応はない。
床をぶち抜いて侵入する手段もあるが、それだと隠密行動している意味が無くなってしまう。
『こういう推理系は苦手なんだよな…ん?』
突如、空から降ってきたようにパッと閃いた。
先程から暖炉の側でうろうろしているが、全然暖かくないのだ。
試しに火に手をかざしてみると、予想通り全く熱くなかった。
『そういう仕組みか!!…これで違ったら恥ずかしいな。』
深呼吸して目を瞑り、暖炉へ向かって歩くと火や薪をすり抜けて踊り場に出た。
周囲に見えないとはいえ、ただ壁にぶつかるという結果にならなくて良かった。
改めて分析してみると、どうやらこの暖炉は実態が存在しない幻術だったようだ。
踊り場の隅に置かれている香炉の形をした魔道具がこの幻術を展開しているらしい。
『初めて見たな…レア物っぽいし帰りにもらっておくか。』
隠し階段は成人男性2人が並んで通れるか通れないかくらいの狭い道で、20段ほどと長く続いている。
もし私兵が来たら横をすり抜けられないので、飛んで避けるか私兵に合わせて移動するしかない。
『地下の警備兵…無しか。私兵にも秘密の場所なのか…?』
そんなことを考えていると、リビングに2人の私兵が入ってきた。
もし幻術を抜けてきたらぶつかってしまう。
『…一旦下まで降りるか。』
急いで階段を降りると、左右に2つずつと奥に1つ扉のある細い通路へ到着した。
左右の扉は木製なのに対し、奥の扉は鉄製なのであそこに何かがあるに違いない。
『さっきの私兵は…通り抜けて廊下に出たか。これで一安心だな。』
もしこの後警備兵が下りてきたら、気絶させて5つのいずれかの部屋で寝かせておくことにしよう。
まあ警備兵が来なければ最善なのだが。
『地上の様子は…っ!!私兵が何十人まで減ってる…!!さっきイザベルとスーが交戦してたし2人が殲滅したのか…』
着いた時にはざっと300人ほどいたので、1人で100人以上を倒したということになる。
私兵団の隊長にはご愁傷様としか言いようがない。
『さて…俺は隠し部屋の探索を再開するか!!』
警備体制は約10mおきに1人ずつ配置し、さらに6人1組で見回りをしており厳重だ。
昨日両腕を斬り落とした私兵を送り返したからだろう。
「…どうしますか?」
「そうだな…たまには分散して5方向から攻めてみないか?」
「面白そうだな!良いぜ!!」
「ボ、ボクも賛成なのです!」
「じゃあクレアが正面、アイリスが左、イザベル右、スーが裏手でどうだ?」
「アルフレッドはどうするんですか?」
「飛んで上から入る。」
「ついでに誰が1番金品を奪取できたか競おうよ~!!」
「それは構わないが…賞品はどうするんだ?」
「う~ん…アルフレッドとの1日行動権とかどうかな~?」
「乗った!!」
「私もです!!」
俺の人権は一体どこへ行ったのだろうか。
だが、嫌なわけではないので問題ない。
「それじゃあ同時に出るぞ。3、2、1、今!!」
合図と同時に俺は”迷彩偽装”、”無音偽装”、”無臭偽装”を行使して飛翔した。
クレア、アイリス、イザベルの3人は植物に隠れながら屋敷の外壁に沿って移動を開始したようだ。
そしてスーは堂々と外壁を乗り越え、警備兵の前に姿を現した。
「な、何者…ぐぁぁぁ!!!」
「て、敵襲ーー!!…ぐぁぁぁぁ!!!!」
スーの奇襲を受けた私兵達が大声で報告すると、周囲に配置されていた者たちが駆け寄ってきた。
これで裏手の警備がより厳重になり、他方の警備は手薄になったことだろう。
『派手にやってるな。私兵の始末は4人に任せて俺は盗賊の真似事でもするか。』
開いていた2階の窓から屋敷内に侵入し、即座に”気配探知”を行使して私兵達の場所を特定した。
どうやら屋敷内は2人1組で見回りをしており、2階は左20m先と右10m先に計4人だけのようだ。
この部屋から出るなら今が絶好の機会だろう。高級家具以外には特に金品はなさげなので扉に“無音偽装“を行使してこっそりと廊下に出た。
廊下の長さに驚きつつも、私兵に気付かれないようそっと扉を閉めた。
続いて“構造探知“を行使し、屋敷の構造を把握した。
どうやら今いる部屋を含み、2階のほとんどは客室のようだ。
『…ん?地下があるのか。いかにも怪しいな…』
1階は4人が制圧して金品を粗探しすると予想されるので、俺は地下に向かうことにした。
左に進んで少しドキドキしつつ私兵2人の横を通り抜け、1階へ下りた。
現状を把握しつつ、地下へと続く隠し階段へと足を運んだ。
場所はリビングの右端にある暖炉の下なのだが、階段へ辿り着く方法が分からない。
『…おっ、アイリスとクレアが屋敷内に入ったみたいだな。イザベルとスーは…交戦中か。鉢合わせる前に何とか地下に潜りたいな。』
辺りを見て回るも、レバーやボタンらしきものは見当たらない。
思い付きで”罠探知”を行使してみたが、罠ではないので反応はない。
床をぶち抜いて侵入する手段もあるが、それだと隠密行動している意味が無くなってしまう。
『こういう推理系は苦手なんだよな…ん?』
突如、空から降ってきたようにパッと閃いた。
先程から暖炉の側でうろうろしているが、全然暖かくないのだ。
試しに火に手をかざしてみると、予想通り全く熱くなかった。
『そういう仕組みか!!…これで違ったら恥ずかしいな。』
深呼吸して目を瞑り、暖炉へ向かって歩くと火や薪をすり抜けて踊り場に出た。
周囲に見えないとはいえ、ただ壁にぶつかるという結果にならなくて良かった。
改めて分析してみると、どうやらこの暖炉は実態が存在しない幻術だったようだ。
踊り場の隅に置かれている香炉の形をした魔道具がこの幻術を展開しているらしい。
『初めて見たな…レア物っぽいし帰りにもらっておくか。』
隠し階段は成人男性2人が並んで通れるか通れないかくらいの狭い道で、20段ほどと長く続いている。
もし私兵が来たら横をすり抜けられないので、飛んで避けるか私兵に合わせて移動するしかない。
『地下の警備兵…無しか。私兵にも秘密の場所なのか…?』
そんなことを考えていると、リビングに2人の私兵が入ってきた。
もし幻術を抜けてきたらぶつかってしまう。
『…一旦下まで降りるか。』
急いで階段を降りると、左右に2つずつと奥に1つ扉のある細い通路へ到着した。
左右の扉は木製なのに対し、奥の扉は鉄製なのであそこに何かがあるに違いない。
『さっきの私兵は…通り抜けて廊下に出たか。これで一安心だな。』
もしこの後警備兵が下りてきたら、気絶させて5つのいずれかの部屋で寝かせておくことにしよう。
まあ警備兵が来なければ最善なのだが。
『地上の様子は…っ!!私兵が何十人まで減ってる…!!さっきイザベルとスーが交戦してたし2人が殲滅したのか…』
着いた時にはざっと300人ほどいたので、1人で100人以上を倒したということになる。
私兵団の隊長にはご愁傷様としか言いようがない。
『さて…俺は隠し部屋の探索を再開するか!!』
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