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第214話 グリフィン伯爵家 対立
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「皆に迷惑が掛かるからひとまず裏の訓練場に移動しないか?」
「…いいだろう。」
8人の私兵に挟まれるようにして移動し、訓練場の中央辺りで止まった。
先頭にいた者が合図を出すと、俺を囲うように全員が抜刀してこちらへ剣先を向けた。
「それで俺をどこに連れて行くつもりだ?」
「伯爵様の屋敷だ。」
「…悪いが仲間が家で帰りを待っているものでね。」
「ふんっ!エレノア=ブラッドボーンの弟子とはいえこの状況からどうにかなるとでも?」
「…随分と嘗められたものだな。」
相手の力量も把握できない雑魚が俺を見下して従わせようとする態度にイラっと来た。
私兵の平均Lvはたったの30前後、反撃せずともこの包囲から抜け出す方法などいくらでも思いつくというものだ。
その上ギルド職員も言っていた通り、ギルドは貴族界や政治界とは中立の立場である。
よって、先に中立を破ったのはグリフィン伯爵家の方なので反撃しても正当防衛になる。
『全員気絶させてここを抜け出したら…他の私兵がまた来るだけか。いっそ伯爵家に乗り込むか?』
師範は帝国の総ギルドマスターであるので、最悪帝国に逃げ込むという選択肢もある。
だが、俺は王国の総ギルドマスターが俺達を保護してくれるだろうと踏んでいる。
理由は2つだ。
1つは俺達がダンジョンの未開拓階層を探索できるほどの実力者であるため、手放すと不利益に繋がるということ。
もう1つは王国の総ギルドマスターが師範に数年間従事していた、つまり俺は王国の総ギルドマスターの弟弟子であることだ。
修行の旅をしている時に師範が懐かしむように話していたため、この情報は100%事実である。
「…ところでどうして俺達は連行されるんだ?」
「お前は私兵兼政治の道具にするために、仲間の美女4人は伯爵様の側室にするためだとよ。…まあ俺たちにも回ってくるから嬉しい限りだがな!」
「…このクズが。」
「なんだとっ!?」
「パーティーリーダーさんはこの状況も分からないお馬鹿さんみたいだな。少し痛い目に遭わせてやれ!!」
一斉に突きで攻撃してきたが、その攻撃はあまりにも遅く、弱く、避けるまでもなかった。
Lv差と武器の性能差によって突きは全てローブに阻まれ、HPは1も減少しなかった。
「お前さん!!」
2階のギルマス室の窓からパウロが顔を出してこちらへ話しかけてきた。
何やら分厚い本のようなものを指差し、ウインクしてグッドポーズを取った。
「法律通り殺っちまっていいぜ!!」
「パウロ…了解だ!!」
循環させていたTPを両手に凝縮させ、“武器強化“を施した。
そして手刀でローブに突きつけられた鉄の片手剣8本を全て切り落とした。
「ば…化け物っ!!」
「ひぃ、ひぃぃぃぃ!!!」
私兵達はようやく彼我の実力差を把握すると、顔を青くして蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
だが、それを見逃すほど俺はお人好しではない。
“アイテムボックス“から“鬼神剣“を取り出し、両手剣Lv.9“ノヴァディザスター“を行使して追撃した。
放たれた斬撃は7人の私兵達を次々細切れにしていき、リーダーと思しき者の両腕を切り落として発動を停止した。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!う、腕がぁぁぁぁぁ!!!!痛いぃぃぃぃ!!!」
怒りからふと目が覚めると、いつの間にか訓練場の周囲にはギルド職員や冒険者達が集まっていた。
一方的な殺戮ショーだったが決闘を見ているかのように盛り上がっていた。
その盛り上がりの中、パウロがこちらへ歩いてきた。
「…1人残しておいた方が都合がいいよな?」
「その通りだ。よくやった。」
パウロは一旦私兵の止血をすると、何やら不敵な笑みを浮かべて観衆の方を向いた。
何やら楽しいことになりそうな予感がする。
「グリフィン伯爵家は中立を破り、我らがギルドに手を出した!!!!」
「許せねーよなぁ!!!」
「皆殺しにしちまえ!!!」
「…あろうことか、我らが新星”アルフレッドパーティー”を奪おうとした!!これは許されざる行為だ!!」
「そうだそうだー-!!」
「俺達の目の保養…ゴホンゴホン、希望を奪うなー-!!!」
『今目の保養って言いかけた奴いたな。…まあ事実か。』
「王国法第102条に従い、既に正当防衛は成立した!!俺様は冒険者ギルド迷宮都市支部のギルドマスターとして、ここにグリフィン伯爵家との全面対立を宣言する!!!」
「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
「昔から気に食わなかったんだよなぁ!!!!!」
「いい機会だ!!!あの豚の臓物をぶちまけてやるぞー--!!!!」
冒険者には荒くれ者が多いと言うが、実際は仲間思いで団結する意識の高い者ばかりである。
死にかけた者を見つければ騎士団も脱帽するほど躊躇わずに救助し、苦戦していれば即座に援護する。
そしてスタンピードなどの街の危機に直面すれば、戦闘スタイルもバラバラな者たちが一丸となる。
『…温かいな。本当に。』
「ついでに伯爵家から金目の物も奪ってやろうぜ!!!」
「良いなそれ!!俺達が有効活用してやろう!!」
…前言撤回。
やはり荒くれ者が多いようだ。
「…いいだろう。」
8人の私兵に挟まれるようにして移動し、訓練場の中央辺りで止まった。
先頭にいた者が合図を出すと、俺を囲うように全員が抜刀してこちらへ剣先を向けた。
「それで俺をどこに連れて行くつもりだ?」
「伯爵様の屋敷だ。」
「…悪いが仲間が家で帰りを待っているものでね。」
「ふんっ!エレノア=ブラッドボーンの弟子とはいえこの状況からどうにかなるとでも?」
「…随分と嘗められたものだな。」
相手の力量も把握できない雑魚が俺を見下して従わせようとする態度にイラっと来た。
私兵の平均Lvはたったの30前後、反撃せずともこの包囲から抜け出す方法などいくらでも思いつくというものだ。
その上ギルド職員も言っていた通り、ギルドは貴族界や政治界とは中立の立場である。
よって、先に中立を破ったのはグリフィン伯爵家の方なので反撃しても正当防衛になる。
『全員気絶させてここを抜け出したら…他の私兵がまた来るだけか。いっそ伯爵家に乗り込むか?』
師範は帝国の総ギルドマスターであるので、最悪帝国に逃げ込むという選択肢もある。
だが、俺は王国の総ギルドマスターが俺達を保護してくれるだろうと踏んでいる。
理由は2つだ。
1つは俺達がダンジョンの未開拓階層を探索できるほどの実力者であるため、手放すと不利益に繋がるということ。
もう1つは王国の総ギルドマスターが師範に数年間従事していた、つまり俺は王国の総ギルドマスターの弟弟子であることだ。
修行の旅をしている時に師範が懐かしむように話していたため、この情報は100%事実である。
「…ところでどうして俺達は連行されるんだ?」
「お前は私兵兼政治の道具にするために、仲間の美女4人は伯爵様の側室にするためだとよ。…まあ俺たちにも回ってくるから嬉しい限りだがな!」
「…このクズが。」
「なんだとっ!?」
「パーティーリーダーさんはこの状況も分からないお馬鹿さんみたいだな。少し痛い目に遭わせてやれ!!」
一斉に突きで攻撃してきたが、その攻撃はあまりにも遅く、弱く、避けるまでもなかった。
Lv差と武器の性能差によって突きは全てローブに阻まれ、HPは1も減少しなかった。
「お前さん!!」
2階のギルマス室の窓からパウロが顔を出してこちらへ話しかけてきた。
何やら分厚い本のようなものを指差し、ウインクしてグッドポーズを取った。
「法律通り殺っちまっていいぜ!!」
「パウロ…了解だ!!」
循環させていたTPを両手に凝縮させ、“武器強化“を施した。
そして手刀でローブに突きつけられた鉄の片手剣8本を全て切り落とした。
「ば…化け物っ!!」
「ひぃ、ひぃぃぃぃ!!!」
私兵達はようやく彼我の実力差を把握すると、顔を青くして蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
だが、それを見逃すほど俺はお人好しではない。
“アイテムボックス“から“鬼神剣“を取り出し、両手剣Lv.9“ノヴァディザスター“を行使して追撃した。
放たれた斬撃は7人の私兵達を次々細切れにしていき、リーダーと思しき者の両腕を切り落として発動を停止した。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!う、腕がぁぁぁぁぁ!!!!痛いぃぃぃぃ!!!」
怒りからふと目が覚めると、いつの間にか訓練場の周囲にはギルド職員や冒険者達が集まっていた。
一方的な殺戮ショーだったが決闘を見ているかのように盛り上がっていた。
その盛り上がりの中、パウロがこちらへ歩いてきた。
「…1人残しておいた方が都合がいいよな?」
「その通りだ。よくやった。」
パウロは一旦私兵の止血をすると、何やら不敵な笑みを浮かべて観衆の方を向いた。
何やら楽しいことになりそうな予感がする。
「グリフィン伯爵家は中立を破り、我らがギルドに手を出した!!!!」
「許せねーよなぁ!!!」
「皆殺しにしちまえ!!!」
「…あろうことか、我らが新星”アルフレッドパーティー”を奪おうとした!!これは許されざる行為だ!!」
「そうだそうだー-!!」
「俺達の目の保養…ゴホンゴホン、希望を奪うなー-!!!」
『今目の保養って言いかけた奴いたな。…まあ事実か。』
「王国法第102条に従い、既に正当防衛は成立した!!俺様は冒険者ギルド迷宮都市支部のギルドマスターとして、ここにグリフィン伯爵家との全面対立を宣言する!!!」
「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
「昔から気に食わなかったんだよなぁ!!!!!」
「いい機会だ!!!あの豚の臓物をぶちまけてやるぞー--!!!!」
冒険者には荒くれ者が多いと言うが、実際は仲間思いで団結する意識の高い者ばかりである。
死にかけた者を見つければ騎士団も脱帽するほど躊躇わずに救助し、苦戦していれば即座に援護する。
そしてスタンピードなどの街の危機に直面すれば、戦闘スタイルもバラバラな者たちが一丸となる。
『…温かいな。本当に。』
「ついでに伯爵家から金目の物も奪ってやろうぜ!!!」
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…前言撤回。
やはり荒くれ者が多いようだ。
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